高卒認定試験、過去問から見る「現代社会」の傾向と対策

社会の選択科目のひとつである「現代社会」。哲学、政治、経済など幅広い分野からまんべんなく出題される現代社会は、「勉強するのが大変そう…」と感じる人も多いようです。ここでは、過去問から、現代社会の出題傾向や対策について解説していきます。

高卒認定試験、過去問から見る「現代社会」の傾向と対策

 

1.「現代社会」の問題構成と出題範囲

選択科目では「現代社会」を選ぶのがオススメ

高卒認定試験の社会は選択制になっており、現代社会もそのなかのひとつです。ここで、社会の選択科目について整理してみましょう。

地理歴史世界史必修
日本史日本史 or 地理
どちらかを選択
地理
公民現代社会現代社会 or 倫理と政治経済
どちらかを選択
倫理 + 政治経済

公民分野は、「現代社会」1科目か、「倫理」と「政治経済」2科目のどちらかを選択しなければなりません。後者の場合、受験科目が1教科増えますから、ここは「現代社会」を選んだ方が得策と言えるでしょう。

【参考記事】高卒認定試験、過去問から見る「世界史」の傾向と対策

 

平成27年度から問題構成が大きく変化

小問数は24問と以前から変わりませんが、大きく変わったのが問題の後半部分。それまで後半の大問は選択式でしたが、平成27年度以降はすべて共通問題に。平成28年度も同様の傾向が続いたため、今後もしばらくは同じパターンで出題されると見ていいでしょう。過去2年間(第一回のみ)の問題構成と配点は以下の通りです。

平成27年度

大問1【現代社会の諸課題】地球環境問題3問(合計12点)
大問2【現代社会と青年期】青年期の特質3問(合計13点)
大問3【憲法】基本的人権と日本国憲法3問(合計12点)
大問4【政治】民主政治のしくみ3問(合計13点)
大問5【経済】現代の経済と国民福祉5問(合計21点)
大問6【国際】国際社会のしくみと国際経済の動向5問(合計21点)
大問7【現代社会の諸課題】資源、エネルギー問題2問(合計8点)

 

平成28年度

大問1【現代社会の諸課題】高度情報化社会の現状と問題点3問(合計12点)
大問2【現代社会と青年期】哲学と人間3問(合計13点)
大問3【政治】現代日本の政治のしくみと問題点3問(合計12点)
大問4【憲法】現代社会と法3問(合計13点)
大問5【経済】経済のしくみ5問(合計21点)
大問6【国際】国際経済と国際政治の動向5問(合計21点)
大問7【現代社会の諸課題】資源、環境問題2問(合計8点)

 

目指すは10問正解!出題範囲は「広く浅く」

現代社会の1問あたりの配点は4〜5点です。10問正解を目指せば、合格ラインの40点を突破することができるでしょう。現代社会、教科書の全範囲から「広く浅く」出題されるのが特徴です。あまり突っ込んだ内容は見られず、教科書を理解していれば解けるレベル。ひっかけ問題などは出題されません。

 

2.「現代社会」の4つの出題傾向と対策

 

3分の2は「読解力」でカバーできる

現代社会は日々変化する「現代」の世の中について学ぶ教科ですから、教科書や参考書に載っていない問題も多く出題されます。教科書の知識が問われるのは、実は全体の3分の1程度。しかし、習ったことのない内容が出ても焦る必要はありません。教科書の知識がなくても、問題文や資料を読み解く力があれば解ける問題がほとんどなのです。では実際に、過去に出題された問題を見ながら4つの出題傾向とその対策について述べていきましょう。

 

【1】避けて通れない長文読解

高卒認定試験の社会科全般に言えることですが、とりわけ現代社会では“問題文の長さ”に注意しなくてはなりません。これは大問の冒頭の文章(大問文)だけでなく、各小問の問題文にもあてはまります。この問題文に1ページ以上を割かれるケースも多く、国語顔負けの長文があちこちに用意されています。現代社会では、これらを根気よく読み解く読解力が必要になってきます。

例えば、平成28年度(第一回)の大問2では、以下のような問題が出題されています。大問文で「新渡戸稲造と青年期」についての文章を読ませた直後、問1でまたも長文の問題文が示されています。この長さに圧倒されてしまう人も少なくないのではないでしょうか。

(平成28年度第一回試験問題より)

(平成28年度第一回試験問題より)

問1では、大問文の下線(a)に関する問題が出題されています。

空欄Aは、前後の文章からイデア論を唱えた「プラトン」であるとわかりますね。この時点で、答えは②か③のどちらかとなります。あとは主張(ア)と(イ)のどちらがプラトンで、どちらがアリストテレスの考え方であるかを見極めればいいわけです。「哲人政治」、「ポリス的動物」といったキーワードから、空欄Bは主張(ア)、空欄Dが主張(イ)であるとわかるでしょう。よって、正解は③だと導くことが出来ます。

お気づきの通り、小問1の内容は、大問文の内容とは全く関係がありません。実は、現代社会では大問文を読まなくても解ける問題が少なくないのです。では、大問文を読むべきかどうかは、いったいどこで見極めればいいのでしょうか?

 

大問文に「空欄」があるかないかをチェック!

大問文は、大きく以下の3つのタイプに分けられます。

① 文中に「空欄」がある
② 文中に「下線」がある
③ 文中に「空欄」と「下線」の両方がある

ちなみに「空欄」と「下線」とは、下図のようなものを指します。

(平成28年度第一回試験問題より)

(平成28年度第一回試験問題より)

 

大問文に空欄があるときは、そこに当てはめる語句を選ぶ「穴埋め問題」があとから出題されることを意味しています。よって、①や③のタイプの場合は、大問文の空欄の前後をきちんと読み解く必要があります。

②のように大問文に空欄が無い場合は、小問の問題文から解答を導き出せるケースが多いため、先に小問を解いてみてから大問文を読むかどうかを判断するのがお勧めです。ただし、文中に下線がある場合、あとからその語句について問われる長文問題が出題される可能性がありますから、注意してのぞみましょう。

長文を読むのは確かに大変ですが、そのぶん答えのヒントが潜んでいることもあります。平成28年度に出題された、製造物責任(PL)法の問題を例に挙げてみましょう。

(平成28年度第一回試験問題より)

(平成28年度第一回試験問題より)

製造物責任(PL)法とは、「製造物」の欠陥によって生じた損害に対する賠償責任について定められた法律です。①のアイスクリーム、②のコンサートチケット、④の航空券は「製造物」ではありませんから、答えは携帯電話について述べている③であるとすぐにわかるはず。「PL法ってなんだっけ?」という場合でも、文章中の、“この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。”という文言から答えを導き出すことは可能です。答えがわからないときは、あきらめずに問題文のすみずみまで読んでみましょう。

 

【2】絶対に押さえておきたい!グラフや表の読み取り問題

現代社会の大きな特徴のひとつとして、グラフや表の読み取り問題があげられます。提示されたデータについて述べられた文章の中から正しいものをひとつ選ぶもので、ほとんどのグラフの読み取り問題が同じようなパターンで出題されています。

下図は、平成28年度(第一回)の問題です。一見難解に見えますが、解き方はいたってシンプル。選択肢の内容とグラフとを照らし合わせながら、文章の正誤を確かめていくだけです。この時、文章が「正しいかどうか」ではなく「間違っているのはどこか」という観点で読み解くのがポイント。誤りと思った部分には下線を引いておきましょう。最後に見直しをする際に役立ちます。

(平成28年度第一回試験問題より)

(平成28年度第一回試験問題より)

この問題では、「日本人の生活目標」についてのあらゆるグラフが示されていますね。それぞれの設問文をグラフの内容と照らし合わせると、赤い下線部分が誤りであることがわかります。

①…≪利志向≫は増加している年もあるため×。③…1983年の60歳後半の男性で最も多いのは≪愛志向≫であるため×。④…初めて50%以上となったのは2008年なので×。よって、正解は②であるとわかります。

根気よく読み解いていけば正解できるのがグラフ問題のいいところ。しかし、グラフの数も多く、設問文も長文であるため、解くのに時間がかかってしまうのが難点です。スピーディーかつ正確に問題をこなせるよう、過去問題をできるだけ多くこなしておきましょう。

 

【3】グラフ読み取りと長文の融合問題

会話文とグラフや資料を融合させた問題も、近年よく見られるようになった出題パータンのひとつです。とにかく長文であることが特徴で、会話文の途中にグラフや資料が示されます。平成28年度には、以下のような問題が出題されています。

(平成28年度第一回試験問題より)

(平成28年度第一回試験問題より)

これは、該当防犯カメラの設置について調べた資料をもとに、先生と生徒たちが意見を交わしたものです。複雑そうに思えますが、すでに述べてきた【1】と【2】の内容を踏まえて解けば大丈夫。実際に、問題を解いてみましょう。

まずは大問文のパターンを確認してみましょう。本文中に空欄がありますから、大問文をしっかりと読み解く必要がありそうですね。また、文の最後には下線(a)が引かれているようです。

次に、小問の内容をチェックしてみましょう。
まず問1では、以下のような穴埋め問題が出題されています。

(平成28年度第一回試験問題より)

(平成28年度第一回試験問題より)

空欄AとBにはグラフ1~3について述べた内容が入りますから、設問文とグラフを照らし合わせ、「誤っている部分」を探しましょう。

グラフ1を見ると、全国とY警察署管内の刑法犯認知件数の増減比の差は平成21年に減少していますね。よって、(イ)の「一貫して拡大している」は誤り。空欄Aに当てはまるのは(ア)となります。次に、グラフ2の「全く思わない」と「あまり思わない」の合計は58%。グラフ3の「全く思わない」と「あまり思わない」の合計は61%ですから、(ウ)の内容は誤りとわかります。これらの答えから、問1の答えは②の(ア)、(エ)の組み合わせであるとわかります。

 

問2は、残りのC、Dに関する穴埋め問題です。

(平成28年度第一回試験問題より)

(平成28年度第一回試験問題より)

大問文の空欄の前後を確認してみましょう。先生が空欄の直前で「二人の意見を整理しましょう」と言っていることから、CとDには、会話文を要約した内容が入ることがわかります。

会話のやりとりから、さやかさんは防犯カメラに対し肯定的、はやとさんは否定的であることが読み取れますね。(カ)の「カメラに頼りすぎると治安が悪化する」「設置には一定の制限を設けるべき」は、さやかさんの意見とは矛盾していますから、空欄Cは(オ)となります。また、(ク)は防犯カメラの設置を推進する内容ですから、これも誤り。これらの答えから、問2の答えは①の(オ)、(キ)の組み合わせであるとわかります。

 

最後に問3では、下線部(a)についての問題が出題されています。

(平成28年度第一回試験問題より)

(平成28年度第一回試験問題より)

文中の「これらの意見を偏りなく取り入れる必要があります」という文言から、大問文を読み解かなくとも答えは導き出せるはず。①~③はいずれもどちらか一方を優先した内容になっていますから、答えは④であるとわかります。

 

【4】世の中の「今」を切り取った問題が増加

近年では、実際に起こった出来事や事件を取り上げる問題も増えています。世の中でどんなことが起こっているのか、時事問題には常に関心を寄せておくようにしましょう。平成27年度、平成28年度には、以下のようなテーマを扱った問題が出題されました。

 

▼2014年(平成26年)のノーベル平和賞について

(平成27年度第一回試験問題より)

(平成27年度第一回試験問題より)

▼選挙権年齢の引き下げについて

(平成28年度第一回試験問題より)

(平成28年度第一回試験問題より)

 

ほかにも、少子化問題や地球温暖化問題、北方領土問題、うなぎの絶滅危惧種の問題など、地球規模の環境話題から身近な経済問題まで、実にさまざまな話題が取り上げられています。

また、平成28年度には、英国大統領のツイッターの投稿内容から問題が作成されました。

(平成28年度第一回試験問題より)

(平成28年度第一回試験問題より)

 

出題された問題の内容自体は「マグナ・カルタ」や「ソクラテス」など、現代社会の知識を問う問題でしたが、今後は若者文化やSNSなどを題材とした問題が増えるかもしれませんね。

では、今後は一体どんな話題に注目しておけばいいのでしょうか?筆頭に挙げられるのが2020年の東京オリンピック関連の話題でしょう。ほかにも、相次ぐ大地震や大雨などの自然災害皇室典範の改正問題アメリカの大統領選など、メディアを騒がせている話題が題材になってくると予想されます。

 

3.「現代社会」を攻略する三つのポイント

 

【その一】過去問で問題の“クセ”に慣れよう

現代社会の出題範囲は教科書の中身だけとは限りません。グラフの読み取り問題や長文読解など、高卒認定試験ならではの出題パターンに慣れておく必要があります。そのためには、過去問題を解くのがいちばんです。特に平成27年度・平成28年度の問題を重点的にこなすといいでしょう。

 

【その二】日頃からニュースや新聞をチェックしよう

重大事件や世間の関心の高い出来事などはしっかりと押さえておくようにしましょう。机に向かうだけでなく、テレビやネットのニュース、新聞などに目を通すのも現代社会の勉強法のひとつです。

 

【その三】時間配分がカギ

とにかく長文読解やグラフを読み解く問題が多い現代社会は、一つひとつの問題に時間を取られがち。50分という限られた時間の中で、問題をどうこなしていくかがポイントです。「時間が足りない!」とパニックにならないように、時間配分はあらかじめ決めておきましょう。

 

まとめ

歴史や地理などに比べ、常に出題範囲や内容が変動する現代社会は、自分で勉強しづらいイメージがありますね。しかし、環境問題や経済など、我々の生活に直結する内容が多いぶん、理解しやすい教科であるとも言えます。家族や友達と、今話題のニュースについて話し合いながら知識を深めるのもいいでしょう。

 
 

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