子どもがいじめで不登校に!どんな対応がふさわしい?
子どもがいじめのために不登校になった時、親はどのように対応すればよいのでしょうか。いじめを避けることは恥ずかしいことではありません。引っ越しや転校、フリースクール登校など、いじめが原因で不登校になった場合の対応をご紹介します。
目次
いじめの年代別発生件数・認知件数データ
いじめは、子どもたちにとっておそらく最も身近な犯罪だと言えます。「いじめ」という呼び方から、子ども同士の軽いトラブルという印象を抱いてしまう大人も少なくありませんが、行われていることは犯罪と変わりません。
いじめの認知件数は、
小学校 :122,721件
中学校 :52,969件
高等学校 :11,404件
特別支援学校:963件
となっており、合計で188,057件ものいじめが認知されています。これは、あくまでも認知された数なので、認知されていないいじめも含めると、これよりもっと多い数のいじめが行われている可能性があります。
いじめの年代別発生件数は、小学校の場合は4年生の時が最も多く21,656件、次いで2年生21,368件、5年生20,412件です。統計では女子よりも男子のいじめが多いとされていますが、女子の場合は陰口や無視、仲間外れといった「見えにくいいじめ」を行う傾向があるので、「女子のほうがいじめをしない」と断言することはできないのが現実です。
中学校に入ると、学年が上がるにつれていじめの発生件数も減っていきます。最も多くいじめが起きているのは中学1年生の時です。平成26年度は26,953件のいじめが確認されています。しかし、中学生になり思春期に入ると、親に悩みを話すことが少なくなり、親や周囲の大人が気付かないままいじめの被害に遭っていることも珍しくなくなります。子どもは何も言わなかったけれど、後から本当はいじめられていたのを知ってショックを受ける親も少なくありません。思春期は親離れ・子離れを始める時期でもありますが、日頃から子どもとのコミュニケーションを密にし、いじめに限らずさまざまなことを子どもと話し合える環境を作っておきましょう。
高校でも、中学校と同様に1年生の時に最もいじめが多く発生しています。ただしその数は5,704件(平成26年度)と格段に少なくなっているのが特徴です。高校の場合、義務教育ではないので、いじめなどの犯罪行為が発覚すれば退学や停学といった処分がなされます。
これらの統計から言えることは、「いじめは決して他人事ではない」ということです。いつ被害者になってもおかしくないのがいじめという犯罪です。
いじめで不登校になった場合の5つの対応
いじめが原因で不登校になってしまったらどうすれば良いのでしょうか。
いじめは放置すると持ち物を隠されたり暴力をふるわれたり、窃盗や傷害といった犯罪にも発展しかねません。我慢せずに逃げても恥ずかしいことではありません。では、どんな対処法があるのか紹介していきます。
(1)学校に相談する
いじめられている事実をまずは学校に相談しましょう。学校、というとイコール担任の先生、と考えがちですが、いじめられていることを止めてくれない時点で、担任の先生はもしかしたら味方になってくれない可能性もあります。
担任の先生以外にも、学年主任の先生・部活の先生・下級生の時の担任の先生・保健室の先生・スクールカウンセラー・校長先生…など、相談できる可能性がある先生は他にもいます。自分の、子どもの味方になってくれそうな先生を探し相談してみましょう。
(2)保健室登校・別室登校をする
いじめがあるなら、そこから距離を置いて身を守るべきです。しかし不登校になってしまうこと自体は、友だちが作れなかったり、勉強が遅れてしまったり、自分にとってデメリットしかありません。中学生になると、出席日数が少ないということで内申点が低くなり、受験の時不利にもなりかねません。
もし、いじめをする友だちや先輩と顔を合わせなければいじめが避けられるのなら、保健室登校や別室登校で学校に通いましょう。
いじめる人が同じクラスにいるのであれば、クラス替えまでは保健室登校や別室登校で我慢するのも一つの方法です。
(3)警察に相談する
窃盗や傷害など、いじめが犯罪レベルに発展していたら迷わず警察に相談しましょう。もしケガをするようなことがあれば、病院に行って診断書をとっておくこともおススメします。できるだけ、犯罪の証拠を残しておくようにしましょう。
(4)転校をする・引っ越しをする
(1)や(2)で解決しなければ、さっさと転校してしまうのも手です。以前は、公立学校の場合いじめを理由にした転校は認められず、引っ越しや住所変更をする必要がありましたが、最近ではいじめが理由でも転校が認められるようになってきました。
高校の場合、遠方への引っ越しなどの理由以外では全日制の学校から全日制の学校への転校は認められないケースがほとんどです。しかし、通信制高校であれば転校が可能です。通信制高校の場合、現在通っている高校の単位を引き継げるところが多いので、1年生からやりなおす必要もありません。通信制高校は、歴史的に不登校の生徒を受け入れる場所として機能してきたという側面があります。そのため不登校の期間が長く続いてなかなか学校に通えない、友だち作りがうまくできない、という生徒の対応にも慣れているので安心です。
友だち関係や、部活動などでいじめられているのであれば環境が変わることで不登校が解決するケースもあります。転校や引っ越しは有効な手段です。
(5)フリースクールへ通う
(2)でも書いたように、不登校になると友だちが作れなくなってしまいます。人と人との付き合いは学校を卒業した後も一生続くものであり、特に学生時代はその年齢でしかできない付き合い方ができ、一緒に遊んだり時にはふざけ合ったり、悩みを相談したり、人間形成のうえでとても大切な時間です。
学校以外で友だちづくりや居場所づくりが出来る場所として「フリースクール」があります。「フリースクール」は、民間の企業やNPO法人が運営していて、不登校や引きこもり、発達障害や病気で学校に行けない子どもなどが通っています。
フリースクールによって若干違いますが、
- 不登校になると朝起きられなくなったり不規則になったりしがちなので、まずは毎日決まった時間に通学することで規則正しい生活を送れるようになること
- 学校以外で友だちを作り、子どもの居場所を作ること
- 不登校で勉強が遅れている生徒への学習のサポート
を主な目的として運営されています。
フリースクールは学校教育法が定めるところの「学校」ではなく、要は塾のようなもので、通学しても正規の学校に「出席」したことにはなりません。しかし、最近では小学校・中学校でもその校長の判断でフリースクールに通っても正規の学校に「出席」扱いにしてくれるケースも増えてきたようです。学校に相談してみると良いでしょう。高校の場合は出席扱いにしてもらうことはほとんどありませんので、フリースクールは小学生・中学生を対象にしたところが多くなっています。
通信制高校やサポート校の中にも付属の「中等部」的な扱いでフリースクールを運営しているところもあります。その場合、フリースクールで出来た友だちと一緒に通信制高校に入学できるので、安心感をもって高校に進学できるというメリットがあるようです。
学習塾などが運営しているフリースクールだと「学習のサポート」を得意としている場合もあります。また、医療機関と連携して発達障害などの病気の子どもでもスタッフがサポートできる体制を整えているフリースクールもあります。
フリースクールに関して、こちらの記事(不登校の支援の場・フリースクールってどんなところ?)でも詳しく解説しています。
まとめ
「いじめに遭うのはいじめられる側にも問題がある」ということを言う人もいますが、いじめは立派な犯罪です。どんなにいじめられる側に問題があったとしても、いじめて良い理由にはなりません。その犯罪から逃げるのではなく「避難する」勇気を持つのは恥ずかしことではありません。不登校になって家に閉じこもってしまうのは、友だちも出来ず勉強も遅れてしまい、自分の将来に大きな影響を及ぼします。
「転校する」「(学校以外の居場所として)フリースクールへ通う」……外の世界にはいろいろな選択肢があります。
あなたの心と未来、そして命を守るために、新たな道を歩んでいきましょう。