通信制高校とはどんな学校?その仕組みを解説します
通信制高校とは「通信による教育課程がある高校」のことで、卒業すれば高校の卒業資格を与えられます。全日制高校から転入・編入した人や高校に行けなかった人などが所属しており年齢層に幅があるのが特徴です。ここでは通信制高校の基本的な仕組みについてご説明します!
目次
通信制高校と全日制高校・定時制高校の違い
通信制高校 | ・年間数日の登校。ふだんは自宅で学習し、定期的に課題(レポート)を提出 ・多くは「単位制」を採用 ・3年間以上の在籍期間で卒業 |
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全日制高校 | ・毎日5時間程度、週5〜6日通学 ・多くは「学年制」を採用 ・毎年の進級条件を満たすことで進級し、3年間で卒業 |
定時制高校 | ・「午前のみ」「午後のみ」「夜間のみ」など、毎日3時間程度の授業を週5〜6日受ける ・多くは「学年制」を採用 ・基本は4年間での卒業。多く授業を受ければ3年間で卒業できる高校もある |
「全日制高校」「定時制高校」「通信制高校」、いずれの高校でも、卒業すれば高校の卒業資格として同等のものが与えられます。また通信制高校は、十代で学校にいけなかった人や、全日制高校から転入・編入した人、芸能活動やスポーツに打ち込んでいる人、その他の理由により高校にいけなかった人など様々で、年齢にも幅があるのが特徴です。
戦後高校に入学出来なかった学生に対して出来たのが本来の通信制高校(定時制高校も含む)ですが、いまでは新しい学びの場としても注目を集めており、生徒数の数は概ね増加の傾向にあります。
通信制高校の基本的な仕組み
通信制高校の単位を取るためには主に3つが挙げられます。まず中心となる「レポート」、実際に学校に通い授業を受ける「スクーリング」、そしてテストである「単位認定試験」です。これらの単位取得の要件を全て満たした上で高校の卒業資格が得られます。ではこの3つはどのようなものなのでしょうか。
レポート
ふだんの学習で一番主になるのは「レポート」の提出です。教科書を見ながら、一人で学習していきます。難易度としては難しくはない場合がほとんどです。レポートを作成し、2週間〜1か月に一度くらいのペースで学校に提出します。学校は添削をして、単位を習得していく流れです。
レポートは郵送などで送るのが一般的ですが、最近ではネットを介して提出できる通信制高校もあります。
スクーリング
「スクーリング」というのはその名の通り、体育など学校に行かないと単位が取得できない科目の授業を、実際に登校して単位を習得することをいいます。
スクーリングについては開催時期も日数も各学校ごとに異なり、夏季休暇や冬季休暇などに行うものもあれば、週に数回登校したり、月に数回通うスタイル、泊りがけの合宿型など、様々なものがあるので自分にあったスタイルの通信制を選ぶことも必要かもしれません。
また、ふだんは顔を合わすことのない他生徒とHRや授業などを通して交流したりできる良い機会でもあります。
単位認定試験
「単位認定試験」は、通信制は単位制であるため、卒業条件を満たすために単位を取得するという試験です。これにはふだんのレポート授業などの条件を満たしていることが必要で、単位認定試験を受けはじめて単位がもらえるといった仕組みです。以前は実際に学校に行き試験を受ける形が一般的でしたが、これもインターネットが普及した現在はネット上で試験を受けるというスタイルが増加してきています。
通信制高校の学費
公立 | 一般的には年間4〜5万円(入学金含む) |
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私立 | 一般的には年間20〜80万円(入学金含む) |
通信制高校にも全日制高校と同じく「公立」と「私立」があり、「公立」のが安くなっています。
昨今ではさまざまな通信制高校があり、週5日登校する通信制もあれば、それぞれの学力に合わせて週に何回か登校するスタイル、また従来のように夏季や冬季、土日などにスクーリングを行う高校など、様々なスタイルの通信制高校があります。そういった学習スタイルの違いによって、費用の差が出てきますのでホームページを見たり、実際に通信制高校に問い合わせるなどして、比較検討してみるのが良いでしょう。
通信制高校の学費について
通信制高校やサポート校の学費はいくらかかるの?
通信制高校の入学から卒業までの流れ
通信制高校は単位制で卒業
通常、通信制高校には全日制や定時制のような「1年次」「2年次」というものが存在しません。それは、通信制高校が決められた単位をすべて取得して卒業が認められるため、何年次で何科目単位必須ということが設けられていないからです。
ですから自分の空いた時間を有効に使い、単位習得に向けて学習することが必要になってきます。
単位制について
高校の「学年制」と「単位制」の違いとは?
通信制高校の入学や卒業の時期
多くの通信制高校は、2学期制などを採用しているケースが多いので、入学時期は4・10月、卒業時期は3・9月が多いのが現状なようです。
入学にあたっては、簡単な書類選考が中心で、転入は多くの通信制高校で随時募集されているようです。
卒業の際には定められた単位を全て取得することが条件です。
通信制高校の学校行事・イベント
通信制高校には、全日制と同じような「HR」や体育祭、文化祭、遠足など(これらを学校教育法では特別授業といいます)が存在しないという印象があるかもしれません。
ですが、通信制高校でも学校教育法で定められている年に10時間以上の特別授業が実は存在します。ですが、大概の通信制高校では全日制高校と同じ形では実施されません。HRに関してはスクーリングの際に行われますし、それを補う形で「ネットHR」という形でインターネット配信を行っている高校が殆どのようです。
勿論録画して後から視聴することも可能で出席扱いにもなりますので、全日制高校ほどの重要性はあまりないと言えるでしょう。ただ各学校によって違う点もある場合があるので、入学前に確認しておくことをお勧めします。
通信制高校の年間行事・イベントについて
通信制高校にも修学旅行ってあるの? さまざまな年間行事を紹介
「通信制高校」と「サポート校」
通信制高校について調べていると、「サポート校」というものを目や耳にすると思います。「通信サポート校」とも呼ばれるもので、通信制高校と似通っており混乱するかもしれません。私立の通信制高校の場合はその母体がサポート校を経営している場合が多くあるので、区別がつけづらいと思います。
ですが「通信制高校」と「サポート校」は法律的にも違うものなので、どちらにするか悩んでいる人は学校見学などに足を運んでみるのが良いでしょう。
サポート校について
サポート校とは?学費など、通信制高校との違いを解説
まとめ
いかがでしたでしょうか。
通信制高校は昔ながらの歴史の名残ともいえますが、時代の変化によって変わりつつあると言えるでしょう。前述したように、戦後の時代は戦争によって高校に入学出来なかった人たちが通うひとつの手段でしたが、今は不登校であったり、ひきこもりであったり学校に対して関わりが持てない生徒のための受け皿という認識が強くなってきています。サポート校にも同じことが言えると思います。また、入学は簡単ですが、卒業するのは3年では難しいことも事実です。
ですが、本人に勉学の意思があり、普通の全日制高校では出来ないことにチャレンジ出来ることも通信制高校のひとつの魅力です。時間と場所にとらわれず、自分の夢や目標、やりたいことがある人には、通信制高校も選択のひとつと言えます。それらのさまざまな目標を持っている人にとっては、全日制高校では体験出来ない専攻コースが存在し、そのための実習などに力を入れられる通信制高校も存在します。
ただ通信制高校に入るだけでは、自主自学の単位制なので、必要なのは自学出来る環境を自分で作る意思と場所を持つことが大切になってきます。基本的に「絶対やらなくてはいけない」という環境に追い込まれない分、本人のやる気が必要です。
その点では、通信制高校に入学する本人がどのように学生生活を送るのか、活かすも殺すも本人次第で決まるのが、通信制高校の最大の特徴と言えるのではないでしょうか。