発達障害にはどんな種類がある?それぞれの症状は?

近年「発達障害」と診断される人が増えてきています。多くは子どもの時に定期健診などで発見されますが、中には大人になってから診断されるケースもあります。
ここでは「発達障害」の種類と、その症状と特徴について解説します。

発達障害にはどんな種類がある? それぞれの症状は?

発達障害は大きく3つのタイプに分類される

発達障害といっても、大きく3つのタイプに分けられます。

  • 広汎性発達障害
  • 注意欠陥多動性障害(ADHD)
  • 学習障害(LD)

です。

発達障害の場合、障害といっても非常に個人差が大きいものです。そのため同じ障害を持つ人でも、二人として同じ症状・困難を抱えている人はいないと言われています。ここでは、それぞれの特徴や症状について見ていきたいと思います。

広汎性発達障害の症状と特徴

広汎性発達障害にはアルペルガー症候群・自閉症・高機能自閉症が含まれます。以前はそれぞれに診断していましたが、最近では診断基準が変わりこれら3つの症状を併せて「自閉症スペクトラム」と呼んでいます。

政府の調査によると、自閉症スペクトラムに属する人は約100人に1人~2人と決して少なくありません。女性よりも男性に多く見られる症状です。

自閉症スペクトラムに属する人は

  • こだわりが強い
  • 嫌なことをいつまでも忘れられない
  • 人とコミュニケーションを取ることが苦手である

という共通点があります。
人によっては、人よりも聴覚や触覚、視覚が敏感で、大きな音や人との接触、特定の色や強い光が苦手な人もいます。

広汎性発達障害の場合、子どもの頃より大人になってから特徴が現れてくる人が珍しくありません。思春期頃から特徴が現れ始め、大学進学や社会人になってからどうしようもない生きづらさを抱えて病んでしまう人も少なくないのです。極めて特徴がマイルドな人は、発達障害があることに気付かれない場合もあります。

広汎性発達障害の生きづらさは難治性のうつ病などの症状となって現れることもあるので、気になることがあれば一度発達障害に詳しい医師に相談してみると良いでしょう。

発達障害は非常に個人差が大きいもの

アスペルガー症候群

アスペルガー症候群の特徴は

  • 空気が読めない(場違いな発言をしたりする)
  • 「暗黙の了解」など明文化されていないものを読み取る力が弱い

といった症状が強く出ます。
アスペルガー症候群には

①積極奇異型……積極的に人と関わろうとする
②受動型……物静かでおとなしく、人の意見に流されてしまう
③孤立型……一人でいることを好み、マイペース

の3つのタイプがあり、タイプによって人との関わり方に特徴が出ます。

一般的にアスペルガー症候群というと①の積極奇異型の人を思い浮かべる人が多いようです。人との距離感が極めて近く、人によっては馴れ馴れしいという印象を持ちます。本人に悪気はないのですが、自分のことばかりを話し続けてしまったり、むやみにボディタッチをしたりして相手に嫌な思いをさせてしまうことも珍しくありません。

本人は全く悪気がないので、どうして避けられたり嫌われたりするのか理解できない場合があります。本人にしてみれば、相手に対する自分の好意を素直に表しているだけなのです。

アスペルガー症候群の人は、人とコミュニケーションを取ることが苦手な一方で

  • ルールをきちんと守る
  • 正直である
  • 細かいところに気が付く
  • 公平や平等に対する気持ちが強い

といった特徴もあります。
パターンや規則性のある作業が得意で、コツコツと粘り強く取り組むことができるのもアスペルガー症候群の人の強みです。

アスペルガー症候群の場合、言語の遅れは無く、IQも高い値を示すことが珍しくないため、症状がマイルドな人の場合は社会人になるまで見過ごされているケースも少なくありません。

思春期になると空気が読めなかったり、場違いな発言をしてしまうことからいじめを受けてしまう人もいます。すると、「こだわりの強さから、嫌なことを忘れられない」という特徴のため長い間苦しみ、心を病んでしまう人も自閉症スペクトラムでない人に比べて多いと言えます。

また、発達障害があることで、得意なことと不得意なことの差が大きく、自分に自信が持てなくなってうつ病などを発症してしまう人もいます。
こういった二次障害を防ぐためには、なるべく早めにその人に合ったケアを行うことが重要です。

自閉症

アスペルガー症候群の特徴に加えて、言語の遅れや知的な遅れが見られる場合は自閉症と診断されます。

初めて訪れる場所や急な予定変更などでパニックを起こしやすいことも特徴の一つです。人と目線を合わせようとしなかったり、人との距離感が掴めないといったコミュニケーションの困難もあります。また、人と関わることを好まず、一人でいることを好むという特徴もあります。

自閉症の場合は乳幼児期の健診で見つかる場合が多く、早期に適切なケアを受けられる可能性が他の発達障害に比べて高いと言えます。耳で聞くよりも目で見て理解することが得意な人が多いので、何かを伝えるときは絵や写真を見せて伝えると伝わりやすいでしょう。大きな声を出したりしても逆効果です。

自閉症の人には、自分の気持ちを言葉で表現するのが苦手な人もたくさんいます。自分の気持ちを上手く伝えられなくてパニックになってしまうこともあるので、周囲の人が積極的に本人の気持ちを理解しようとすることが大切です。もし言葉で表現するのが難しい場合は、イラストを描いたカードや写真などを準備するというのも良い方法だと言われています。

高機能自閉症

高機能自閉症は、知的発達の遅れを伴わない自閉症のことを指します。言語発達の遅れは見られ、

  • コミュニケーションの困難
  • こだわりの強さ
  • 興味や関心の狭さ

といった特徴も持っています。

言語の発達の遅れがあることから、TPOに合わせた言葉遣い・振舞いができず孤立しがちです。自閉症と違い孤独を好む人は少なく、他人と関わりたいという気持ちを持っている人も珍しくありません。

しかし、人とスムーズにコミュニケーションを取ることが苦手なので、どうやっても孤立してしまいがちになります。特に雑談などの場面に入っていけないことが多く、冗談や例え話が通じないことも少なくありません。耳で聞くよりも目で見て判断するほうが得意なので、メモやカードなどを使って指示をしたほうが伝わりやすいのも特徴と言えるでしょう。

注意欠陥多動性障害(ADHD)の症状と特徴

注意欠陥多動性障害(ADHD)は、衝動性・多動性・不注意に症状が現れる発達障害です。

文部科学省による調査では、ADHDが疑われる子どもは約100人に2~3人とされています。大人になってから症状が改善していく人も多いので、生涯にわたってADHDの困難さを抱える人は1.5%~1.7%と言われています。女性に比べて男性の当事者が多く、多くの場合男性は8歳ごろ、女性は12歳ごろからその特徴が出てくるという調査結果があります。

ADHDの特徴的な症状は以下の通りです。

  • 衝動性
    衝動を抑えられず、大きな声を出したりしてしまう
    思いつくとすぐ行動に移してしまう
  • 多動性
    じっとしていられない
    落ち着きが無い
  • 不注意
    集中力が続かない
    忘れっぽい
    気が散りやすい

これらの症状がいくつか組み合わさって現れるのがADHDの特徴です。
忘れ物や失くし物が多かったり、集中できるときとできない時の差が激しかったりといった特徴から「怠けている」とか「わがまま」という見方をされてしまいやすいのも、ADHDの生きづらさに拍車を掛けています。

一方で

  • とてもエネルギッシュで明るい
  • ユニークなアイディアを思いついたりする

といった長所もあります。

現在は服薬することで症状をある程度マイルドにすることもできるようになり、服薬しながら日常生活を送っている人もたくさんいます。また、成長するにしたがって症状がマイルドになってくる人も珍しくありません。

ただし、早めに診断を受け、適切な工夫とケアを行うことは当事者にとって非常に有益であることは間違いないでしょう。ADHDの当事者は、自分に自信が持てず、自分で自分を認める力(自己肯定感)が育ちにくい傾向にあります。その結果、うつ病などの精神疾患を発症してしまう人も珍しくないのです。適切に対処することでこういった二次障害を予防することができるので、気になる場合は一度医師に相談してみると良いでしょう。

学習障害(LD)の症状と特徴

学習障害は、全般的な知能の遅れはないものの、特定のことが極端に苦手な障害です。
例えば

  • 文字を読むことはできても、聞くのが苦手
  • 数字の読み書きはできるけれど、計算ができない
  • 言葉を聞いたり書いたりするのは得意でも、話すのが苦手

などです。

文部科学省の定義によれば

学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。

となっています。

これらの症状は学童期になって判ることが多く、苦手なことが増えてくると学校に行きたがらなくなる子も珍しくありません。無理に苦手な分野をどうにかしようとするよりも、本人の苦手を少しでも和らげられるように工夫することが重要です。電子デバイスなどを使用しながら学習している当事者もたくさんいます。

また、LDと診断されていても俳優として活躍している人や、建築家・写真家として活躍している人もいます。世の中には様々な道具があるので、賢く利用して少しでも本人の苦手を和らげる工夫をしましょう。

まとめ:発達障害は甘えや育て方が原因ではありません

一昔前は「発達障害は親の育て方が原因だ」とか「甘えているだけだ」と言われていましたが、最近の研究で脳の機能に偏りがあることが原因だと解っています。

発達障害を持っている人は、その特徴からいじめのターゲットになりやすかったり、自分に自信が持てなかったりということが珍しくありません。また、感覚が過敏で、発達障害を持たない人にとってはなんでもない音や刺激も、本人にとっては身を切られるほど辛いものである場合があります。大人になってから診断を受ける人も増えていますが、できるなら子どものうちに診断を受け、適切なサポートを受けることが望ましいでしょう。

発達障害は、治るものではありません。しかし、それぞれの長所を伸ばし、短所や特徴をマイルドにすることはできます。一人ひとりに合った工夫をして、得意なことと苦手なことの差を小さくしていくことが重要です。

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