不登校生のための高校選び、5つのポイント

中学校で不登校になってしまった人にとって、最大の悩みともいえる“高校進学”。「自分に入れる高校なんてあるのかな」「また不登校になったら…」など、不安や焦りを感じている人も多いでしょう。ここでは、不登校生ための高校選びについて詳しく説明していきます。

不登校生のための高校選び、5つのポイント

自分の悩みと向き合った高校を選ぼう

ひとくちに不登校といっても、「友だちとの人間関係に疲れてしまった」「先生や親とうまくいかない」「とにかくやる気がでない」など、その理由はさまざま。本人が抱える悩みやトラウマによって、高校選びのポイントや条件も変わってくるはずです。中学までとは違い、高校は自分の意思で選ぶことができます。今どんなことに不安を感じているのか、これからどんな環境に身を置きたいか、どんな高校なら通いたいと思えるのか、自分の心と向き合いながら、あらゆる選択肢を検討してみましょう。

 

「中学の友だちには会いたくない」という人の高校選び

 

少し遠くの高校も候補に入れてみよう

不登校生にとって、高校進学は新しい環境で一からやり直す絶好のチャンスです。そんな時、まわりに中学時代の自分を知っている人がいるとやはり落ち着きませんよね。特に、人間関係に悩みを抱える人は「またあの子と同じクラスになったらどうしよう」という不安もあるでしょう。それなら思い切って、中学のクラスメイトがあまり行かないような、少し遠めの高校を選んでみては? はじめは緊張するかもしれませんが、中学とは違う新しい人間関係を作る良いきっかけになるはずです。

 

広域通信制高校を選んでみる

「遠くの高校は通うのが大変そう…」という人は、広域通信制高校がお勧めです。広域通信制高校とは、学校の所在地である都道府県以外からも入学することができる通信制高校のこと。自宅での自学自習が主となり、インターネット上で授業を受けることができる高校も増えています。広域通信制高校なら、自宅から遠く離れていても無理なく勉強を続けることができますよね。年に何度かスクーリングに出席する必要がありますが、全国規模で生徒を受け入れている高校ですから、そこで中学の同級生と顔を合わせる可能性はほとんどないと言ってもいいでしょう。

全国どこからも入学できる「広域通信制高校」とは?

 

「新しい環境や初対面の人と関わるのが苦手」という人の高校選び

 

同じ中学の生徒が多く通う高校が安心かも

(1)のような新しい環境は不登校を克服する良いチャンスですが、人によっては強いストレスになってしまう場合も。入学直後は同じ中学出身の人同士でグループが出来てしまいがちですし、その中で一人になってしまうのはやはり不安ですよね。「一人ぼっちになるのが怖い」と感じ、また学校から足が遠のいてしまう可能性もあります。人見知りが激しかったり、新しい環境が苦手な人は、地元の友だちが多く通う高校へ進むのが安心かもしれません。顔触れはさほど変わらずとも、クラスや環境が変われば学校に通えるようになるというケースはよくあります。

 

通信制高校なら徐々に登校日を増やしていくことも可能

それでもやはり、初めての場所に慣れるのに時間がかかるという人は、通信制高校を選ぶのも一つの方法です。通学型の通信制高校なら、週1日の登校から始めて、学校に慣れてきたら徐々に登校日を増やしていくなど、個々のペースに合わせた通学スタイルをとることができます。また、クラスメイトも同じような不登校の悩みを持っている場合が多いので、打ち解けやすいというのもメリットでしょう。

おすすめの通信制高校一覧
 

「両親や家族と距離を置きたい」という人の高校選び

 

全寮制の高校を選んでみよう

不登校の理由は必ずしも学校だけにあるとは限りません。両親や家族との不和から部屋に引きこもってしまったり、学校へ行かなくなってしまうケースも多くあります。親元を離れて、生活環境からリセットしたいと考えている人は、全寮制の高校を探してみるのもいいでしょう。また、不登校生はどうしても昼夜逆転の生活を送りがちです。正しい生活リズムを取り戻すためにも、起床時間や就寝時間など、定められた規則のもとで過ごす寮生活は効果的といえます。

アルバイトしながら一人暮らしや寮で高校生活を送れる?

 

「朝起きられるか不安」という人の高校選び

 

家から通いやすい高校を選ぼう

不登校生の多くが、昼夜逆転の生活や心の問題から「朝起きられない」という悩みを抱えています。朝起きられないと、学校に遅刻する⇒学校へ行きたくなくなる⇒不登校になる、という負の連鎖に…。そうならないために、できるだけ家から通いやすい高校を選ぶというのもひとつの選択でしょう。「家から近いというだけで高校を決めてしまうの?」と思う人もいるかもしれませんが、実は通学時間は高校選びをする上で重要な要素のひとつなのです。登下校は毎日のことですから、本人のやる気にも直接影響を与えます。

 

定時制高校・通信制高校なら授業間帯を選択できる

「それでもやっぱり朝がツライ」という人は、定時制や通信制高校を選択肢に入れてみてはいかがでしょう。昔は「定時制=夜間に通うもの」というイメージがありましたが、最近では昼夜3部制など、<午前><午後><夜間>と時間帯を選べる高校も増えています。一方、通信制高校は自宅学習を基本とするため、自分の好きな時間帯に無理なく勉強することができます。通学型の通信制高校の場合でも、授業の時間帯を自分で選べたり、1時間目の開始時刻が遅めに設定されているなど、朝が苦手な生徒でも通えるような配慮をしている高校が多く見られます。

 

「3年間通い続けられるか不安」という人の高校選び

 

単位制の高校なら留年の心配もナシ

中学と高校との大きな違いのひとつに「留年」があります。厳密にいえば中学にも留年(原級留置と呼ぶ)はありますが、ほとんど実行されることはありません。しかし義務教育ではない高校の場合、一般的な学年制の高校では、出席日数や単位が足りない生徒は次の学年へ進むことができません。留年が決まった生徒の中には、学校に居づらくなり中退を選ぶ人も多くいます。そんな中、全日制・通信制を問わず増えているのが「単位制」の高校です。1年ごとに取得単位が決まっている学年制に対し、単位制は決められた単位を3年間のうちに取得すれば良いため、留年がありません。もしも単位を落としてしまっても次の学年でやり直しがきくため、途中の学年でドロップアウトしてしまう心配がないのです。

「学年制」と「単位制」の違い

 

要チェック!不登校支援を行う新タイプの公立高校

要チェック!不登校支援を行う新タイプの公立高校

各地方自治体も、不登校対策に積極的に取り組んでいます。不登校支援に特化した高校が続々と設置されており、「チャレンジスクール」や「アクティブスクール」など、呼び方や取り組みは都道府県によってさまざま。入試のハードルが低いのが特徴で、多部制(昼夜定時制)や単位制を取り入れている高校が多く、不登校生でも通いやすいようなあらゆる工夫がなされています。あなたの住む自治体の取り組みもチェックしてみましょう。

 

▼東京都「チャレンジスクール」

チャレンジスクールとは、小・中学校で不登校を経験した生徒が、新たな目標を見つけて再挑戦するための都立高校です。入試には学力試験も内申書も必要ありません(小論文・面接・志願申告書の提出あり)。単位制の定時制高校で、午前部・午後部・夜間部の三部制を取り入れているため、朝起きられない人でも安心。総合学科を導入し、基礎的な勉強に加え、「情報」「福祉」「芸術」などさまざまな分野の授業を受けることができます。

設置校:桐ヶ丘高校、世田谷泉高校、大江戸高校、六本木高校、稔ヶ丘高校、八王子拓真高校(※チャレンジ枠)

さらに詳しい解説はコチラ(不登校生のための都立高校「チャレンジスクール」とは?

 

▼東京都「トライネットスクール」

トライネットスクールは、3つの“ネット”(①学校に通えない生徒のセーフティ“ネット”・②インター“ネット”を取り入れた教育・③都立高校の“ネット”ワークを活かした幅広い科目)を柱とし、引きこもりなどさまざまな理由から学校に通うこができない生徒のために東京都が設置した、ネットを活用して学習支援を行う通信制高校です。入学にあたっては学力試験があるようですが、「だれでも学べる学校」を目的として設置されているため、入学希望者をできる限り受け入れるスタンスであるようです。

設置校:砂川高校

 

▼埼玉県「パレットスクール」

2001年に既存の県立高校を改編し開校した単位制・総合学科のパレットスクールでは、不登校経験者や高校中退者、社会人などを幅広く受け入れています。こちらも多部制(昼夜定時制)で、授業時間を午前部・午後部・夜間部から選択することができます。入学選考では内申書の提出は必要ありませんが、学力試験は実施されます。

設置校:戸田翔陽高校、狭山緑陽高校、吹上秋桜高校

さらに詳しい解説はコチラ(不登校支援のための公立高校、埼玉県の「パレットスクール」とは?

 

▼神奈川県「クリエイティブスクール」

不登校生や学力不振などの生徒に対し支援を行うクリエイティブスクール。神奈川県のクリエイティブスクールは、全日制・学年制・普通科の高校で、1クラス30人以下の少人数制を導入しているのが特徴です。入学選考では学力試験も内申書の提出も必要ナシ。面接+小論文(作文)で合否判定が行われます。ただし学年制なので、出席日数や単位数に要注意。進級するためには、一定の出席日数・単位数を満たしている必要があります。

設置校:大楠高校、釜利谷高校、田奈高校、大井高校、大和東高校(※大井高校、大和東高校は2017年度より募集開始)

さらに詳しい解説はコチラ(試験・内申なしの公立高校、神奈川県の「クリエイティブスクール」とは?

 

▼千葉県「地域連携アクティブスクール」

「地域連携アクティブスクール」は、“中学校では十分に力を発揮できなかったが、高校ではがんばりたい”という意志を持った生徒たちを支援すべく設置された学校です。先生や学習サポートボランティアによる少人数制・習熟度別の授業が行われており、スクールソーシャルワーカーによる不登校生へのサポートケアも充実しています。入試内容は、一期は国・数・英の学力試験+作文+面接、二期は国・数・英の学力試験(学校独自問題など)や口頭試問+面接が行われます。他の支援教育を行う高校に比べ、入試ハードルはやや高めかもしれませんね。

設置校:泉高校、天羽高校、船橋古和釜高校、流山北高校

さらに詳しい解説はコチラ(不登校支援にも対応する千葉県の「地域連携アクティブスクール」とは?

 

▼大阪府「クリエイティブスクール」

大阪府でもクリエイティブスクールの設置が進んでいます。不登校生や中途退学者など、これまで能力や適性を十分に発揮できなかった生徒を対象としており、入学選考では学力試験と面接が実施されます。多部制(定時制)の単位制高校で、普通科・総合学科があり、少人数制授業によるきめ細やかなサポートを行っています。

設置校:咲洲高校、成城高校、和泉高校、東住吉高校、箕面東高校、桃谷高校

 

▼茨城県「アクティブスクール」

茨城県で2011年からスタートした「アクティブスクール」。全日制の単位制高校で、少人数制・習熟度別の細やかな指導や、卒業までに自分のやりたいことを見つけられるよう、キャリアデザインを重視したカリキュラムが充実しているのが特徴です。入試選考にあたっては「共通選抜」を受験する必要があり(一部高校では「特色選抜」と呼ばれる推薦入試での選考を行っています)、内申書の提出も必須となります。

設置校:茨城東高校、石下紫峰高校

さらに詳しい解説はコチラ(キャリア教育に重点を置く茨城県の県立高校「アクティブスクール」とは?

 

まとめ

不登校生にありがちなのが「どうせ自分が受かる高校なんてない…」と自信を失ってしまうこと。「ここなら自分でも受かりそう…」という消極的な理由で志望校を選ぶのは絶対にやめましょう。高校は合格して終わりではありませんよ。合格したら、3年間通わなくてはならないのです。ぜひあなたが「通ってみたい」と思える高校を探してください。そのためには今一度、自分の心と向き合って、どんな高校に通いたいかをじっくり考えてみてくださいね。

 

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