自分に合った通信制高校の選び方、6つの比較ポイント
通信制高校に進学しよう!と思った時に、何を基準に高校を選んだろ良いんだろう、と迷ってしまいますよね。全日制のように通信制高校には偏差値はありません。通信制高校は一校一校に特色があり、いろいろな視点から見ていく必要があります。今回は、その選び方を、比較検討するポイントごとに紹介していきます。
目次
通信制高校を選ぶ際の6つの比較ポイント
(1)学費
通信制高校には、全日制高校と同じく、「公立」と「私立」があり、公立の方が学費は安くなっています。私立にも通学日数やコース、カリキュラムによっていろいろ幅があり、年間30〜100万円程度かかります。
(2)以降の比較ポイントで見て行くと、学費に関しては大まかに以下のような傾向があります。
・通学タイプ > 在宅タイプ
・専門科 > 普通科
・サポート校 > 通信制高校
・合宿型のスクーリング > 通学型のスクーリング
もちろん、それぞれにメリット・デメリットがあり、費用が高いからダメというわけではありません。自分の学びたいことや、学校の雰囲気などを見てから判断するのが良いでしょう。
また、学費を1年間分まとめて一括払いなのか、月々の分割払いにできるのかも学校によって違ってくる部分です。
学費について
通信制高校やサポート校の学費はいくらかかるの?
(2)通学タイプか在宅タイプか
通信制高校は基本的には自宅で、自分で学習を進めていくスタイルの高校です。しかし、最近では、それだけでなく、月1回、週5日など頻度を選んで学校に通いながら学習を進めるコースを持つ通信制高校が増えています。
〈通学タイプ〉
メリット:
生活のリズム・ペースが整えやすい。友だちが作りやすい。レポートの進度も安心。
デメリット:
不登校だったり体調の問題で通学しにくい人にはつらい。在宅タイプよりは自由な時間が減る。
〈在宅タイプ〉
メリット:
自由に時間を使って勉強ができる。一人が好きな人には良い環境。人間関係などを気にせずに済む。さまざまな事情で通学がしにくい人にはぴったり。近頃はネットや動画などを使って学習できる学校もある。ネット学習が必須の高校の場合、パソコンやタプレットの購入費用が別途必要な場合も。
デメリット:
生活のリズムが崩れやすく、自分一人で勉強に集中するのが難しい人だと必須のレポート提出が遅れがちになる(そうすると3年で卒業できなくなる)。高校での友だちが作りにくいという点もデメリットかもしれません。
このように、どちらも良い点悪い点があるので、大事なのは自分の状況や背景・性格や生活スタイルなどを考えて、勉強しやすいスタイルを選ぶことになってきます。無理なく楽しく高校生活を送れるのが一番です。
中には学期や学年ごとにコースを変更できる高校もあるので、今後どうなるか…やってみないと…という人はそのような制度があるかどうかも確認しながら高校を選ぶといいかもしれません。通学タイプにも、最初は月に数日レベルから、徐々に登校日数を増やせる通信制高校もあります。
(3)普通科か専門科か
全日制高校にも、普通科や商業科、工業科などさまざまな科がありますよね。普通の科目(国・数・英など)に加えて商業(簿記や情報処理など)や工業(機械や電子、建築など)などの専門性のある授業を受ける科のことを「専門科」と呼びます。
通信制にも普通科と専門科があり、デザイン・調理・メイク・ネイル・ダンスなど、比較的新しい分野を学べる専門科が増えています。この場合には通信制高校と近隣の専門学校などが提携して行っていることも多いです。
〈普通科〉
- 基本的な科目をしっかり学べます。今はまだ将来やりたいことがちゃんと決まっていない人はこのコースがおすすめです。大学進学を目指すコースもここに含まれます。
- 学費は通常料金になる場合がほとんどです。
〈専門科〉
- デザイン、調理など、将来やりたいことが明確に決まっていて、専門学校に進学する前に少しやっておきたい!という人に特におすすめです。分野によっては高校在学中に専門分野の資格取得を目指すものもあったりするので、将来に直結させることができます。
- 同じ趣味し好の生徒が集まることになるので、友だちが作りやすい面もあるかもしれません。今までなかなか周りの子と気が合わなくて学校に行きづらかった…という人でも安心な点です。
通常の高卒資格を取る普通科の学費に加えて、教材費が別途かかる場合もあります。また、専門科をメインとしている場合、通信制サポート校であるケースが多いので、その分費用は高くなりがちです。
普通科であっても、全日制高校の普通科に比べると、少し変わった科目が用意されている場合もあります。例えば「科学と人間生活」や「英会話」、英語以外の外国語など…。もちろんどの高校であっても履修しなければいけない必修科目はありますが、それ以外の部分は高校によってさまざまなので、カリキュラム表やシラバスを見せてもらうと内容が分かると思います。
また、こういった専門科は体験授業を受けられることも多いので事前に参加するのも手です。
(4)通信制高校かサポート校か
通信制高校を検討していると、サポート校という言葉を目にすると思います。注意したいのは「サポート校」に通うだけでは高校卒業資格はもらえないという点です。
「サポート校」はあくまで在籍している通信制高校を卒業できるように「サポート」を行う第二の学校です。実際毎日通っているのが「Aサポート校」だったとしても、正式には「B通信制高校」の生徒なのです。
なので、厳密には、
「通信制高校のみ」か「通信制高校+サポート校」か
のどちらかを選ぶことになります。
〈通信制高校のみ〉
メリット:学費が安め。登校日数が少なくて済む。
デメリット:自学自習で進めていくため自律が求められる。
〈通信制高校+サポート校〉
メリット:しっかり授業が受けられる。日々の学習をトータルサポートしてもらえる。
デメリット:通信制高校の他にプラスで支払うことになるので、その分学費は高め。
(5)将来は大学進学か、就職か
通信制高校では基本的には高校を卒業することが第一の目標になってきますが、中には大学進学の指導に強い通信制高校もあります。その高校の過去の合格実績を確認したり、学校推薦が可能かどうかも聞いておくと良いでしょう。また、大学受験については通信制高校を最低限の高校卒業資格を取得する場として考え、受験に向けての勉強は別途塾や予備校でやるという方法もあります。最近ではレベルの高い高校に行っていても塾や予備校を併用することは多いですよね。
また、インターネット教材や参考書・問題集なども普及してきているので、場合によっては独学での受験対策も可能かと思います。それもやはり時間に自由ができる通信制高校ならではのやり方ですね。
高校卒業後に就職を希望であれば、応募書類の作成や面接の練習などの就職サポートなどを行っている学校かどうか確認する必要があります。
通信制高校の大学進学について
通信制高校でも大学ヘ行ける?大学進学に力を入れている通信制高校・サポート校
(6)スクーリングの内容
通信制高校でも、各科目年に何回かの出席が必要になります。これはふだんの学習サポートの通学とは全く別になっていて、出席が必須のものになるので注意してください。
このスクーリングの内容がどのようなものになっているのかが高校によって全く違う部分になります。
よくあるパターンが、スクーリングでは遠方に出向いて他の生徒と一緒に寝食を共にする合宿型で、その中で学習や課外活動を行うパターンです。この場合はまとめて授業時間を確保するので年に1回くらいで良いところが多いですが、あまり会ったことのない生徒と一緒に何日間も寝起きするというのができる人は良いのですが、苦手な人は、この形式のスクーリングが必須かどうかよく確認しておきましょう。
集団で過ごすのが苦手で通信制高校を選ぶ人も多いと思いますが、この合宿型のスクーリングの存在を知らずに入学してしまい、後からどうしても参加ができずに卒業できなくなってしまったという事例もあります。また、このような形態では発達障害があったり、持病などで体調に不安がある人もなかなか厳しいかもしれません。また、費用面から見ても、入学時に説明された学費と別に合宿型のスクーリング費用がかかるところも少なくないので、要チェックです。合宿型のスクーリングの料金は含まれていますか?と聞いてみましょう。
合宿型の良い点としては、この時に友だちができたり、修学旅行のような雰囲気を味わいながら楽しみながら授業が受けられ、単位認定につながり、まとめて一気に出席日数が得られるので効率も良いところがあげられます。
合宿型以外のスクーリングでは、ふだんとは違うきちっとした講義形式の授業を受けるパターン、博物館や文化施設などで校外学習を行うパターンなどがあります。どちらも、遠方に行かなければいけない学校と、近場(市内など)のみで行う学校があります。これらはインターネットの情報や学校案内だけではなかなか分からない情報なので、実際に入学相談に行ってみたり、最寄りのキャンパスに聞いてみたりするのが良いでしょう。また、公式ホームページ以外にも、各通信制高校がやっているブログやSNSなどを見ると、ふだんのスクーリングの様子が記載してある場合もあります。
スクーリングについて
通信制高校で必須のスクーリングとは?
(7)その他
その他気になるポイントをまとめました。
〈制服・校則〉
校則は基本的にないことが多いですが、念のため確認しておきましょう。制服は自由購入で用意しているところが多いです。自由な服装で楽しく通いたい人は私服で、ある程度高校生らしい格好をしていたいということで制服を買う人もいます。
〈教員・先生〉
勉強を教わる先生の雰囲気や性格も気になるところですが、教員免許の有無という点からも見ていくことが大事かもしれません。全日制高校ではありえないことですが、通信制高校の特に株式会社が設立している高校の中には、教員免許を持っていない教員もいたりします。もちろん一概に悪いとは言えませんが、大学進学などを目指している場合は全体的な教員の質もチェックしてみると良いかもしれません。
〈校風〉
基本的に通信制というと自由で、特に学校生活に関しては生徒一人ひとりに任せていることが多いです。その中でも雰囲気は校風や校舎によっても違ってくるので、一度確認してみると安心できます。
〈相談体制〉
全日制高校や、中学校でもあったように、「三者面談」や「進路相談会」などが行われているか確認してみましょう。形は違っても学校生活を送る中で、人間関係や、勉強、進路のことなどで少しなりとも悩みが出てくるかもしれません。そのときに保護者も交えてしっかり相談ができる機会があると心配ないですよね。
また、不登校などに悩んだ経験がある人は、スクールカウンセラーが校内にいれば心強いかもしれません。チェックしてみましょう。
まとめ
学科から制服の有無まで、ポイントになる項目を説明してきましたが、一度高校や学習センターまで詳しい話を聞きに行ってはじめて教えてくれる情報もかなりあります。
インターネット上やパンフレットだけではあくまでもイメージしかわからないので、ぜひ一度見に行ってみることをおすすめします。