子どもが発達障害と診断されたら…? 学校は?進学は?就職は?

もし自分の子どもが発達障害と診断されたら、学校や将来の仕事はどうすれば良いのでしょうか。ここでは、発達障害を持つ子どもが学校を選ぶポイントや就労支援についてお話しします。

子どもが発達障害と診断されたら…? 学校は?進学は?就職は?

発達障害の子どもが通える学校

発達障害といっても、その症状は一人一人違います。得意なことや苦手なこと、ストレスを感じる場面や行動・考え方の癖など、二人として同じ症状を持つ人はいません。

発達障害があると判明した場合、まず学校のどのクラスに通うかがポイントになります。学校には通常学級と特別支援学級があり、それぞれに向いているタイプ・向いていないタイプがあるのです。

 

通常学級へ進む場合

通常学級は「勉強は苦手だけれど人とコミュニケーションを取るのに大きな困難が無く、グループ活動や団体行動ができる」タイプの子どもに向いています。こういったタイプの子どもは、友達が多いことも珍しくありません。無理に特別支援学級に在籍させると、

「自分は変なんだ」

「自分はみんなと違うんだ」

と落ち込んでしまうことがあります。

ただし、勉強が苦手だったりすると、どうやっても失敗の経験が多くなるのでその都度周囲の大人がフォローする必要があるでしょう。

また、中には「はっきりとした理由はわからないけれど、変なヤツだ」と発達障害がある子どもに意地悪をしたりする子どもも居ます。エスカレートするといじめに繋がりかねないので、できるだけ毎日本人から学校の様子を聞き、兆候が現れたらすぐに動けるよう日頃から学校との連携を密にしておきましょう。

 

特別支援学級へ進む場合

「クラスの人間関係やグループ活動、団体行動に不安が強いタイプ」の子どもは、特別支援学級の方が向いていると言えます。

不安やストレスが強くなると、腹痛や頭痛といった体の不調が現れたり、時にはうつ病などの心の病になったりしてしまうことも珍しくありません。発達障害のある子どもは、そうでない子どもに比べてとても繊細で傷つきやすいことが多く、大人や定型発達の子ども(発達障害を持たない子ども)が気にも留めないようなことで深く傷ついたりします。不安な気持ちが強い場合は、無理をせず特別支援学級で本人のペースに合わせた学校生活を送れるようにすると良いでしょう。

通常学級のほうが多くの人と関われるのは確かです。さまざまなコミュニケーションを通じて少しずつ人との関わり方を学んでいくことは、将来の自立や就職に重要であることは言うまでもありません。しかし、人とコミュニケーションを取れば、発達障害があることで感じる強烈な疎外感や孤独感も付きまといます。

できることなら通常学級に通わせたいという親の気持ちはもっともですが、ぜひ本人がのびのびと過ごせる居場所としての学級を選択しましょう。

特別支援学級については、こちらの記事(特別支援学級と特別支援学校、何が違うの?発達に合わせた学校の選び方)でも詳しく解説しています。

 

学校の外の支援の場としてのフリースクール

学校以外にも、発達障害を持つ子どもをサポートしてくれる場所があります。

発達障害を持つ子どもをサポートしてくれるフリースクールという選択肢もたとえばフリースクールなどがそうです。フリースクールでは、さまざまな理由で学校に行っていない子どもたちが、勉強をしたりそのほかの活動をしたりして過ごしています。活動の内容はフリースクールごとに違いますが、多くのフリースクールでは「子どもたちが自身がどうしたいか」を第一に考えて活動内容を決定しているようです。

子どもの居場所となると、家庭か学校かの二択になってしまいがちですが、家庭や学校以外に人と繋がれる場所があるというのは、子どもの成長にとっても大きなプラスになります。

フリースクールに通ってくる子どもは、あたりまえですが、年齢が様々です。年の離れたお兄さんお姉さんもいるでしょうし、年下の子どももいるでしょう。そういった「幅広い年齢の人と関われる場所」は人との関わり方を学ぶ上で非常に良い場所だと言えます。

フリースクールに申し込むにあたっては、一度子どもと一緒に見学に行ってみましょう。どんな人が居て、どんなことをしていて、どんな場所なのかというのを実際に目で見て確かめてください。発達障害がある子どもを受け入れているフリースクールに関する情報は、住んでいる場所の療育センターなどで集めると良いでしょう。

 

発達障害がある生徒を支援してくれる高校

発達障害は、多くの場合コミュニケーションの困難を伴います。人とうまく関われなくて孤立してしまったり、一見上手く関わっているように見えても本人が疎外感を感じていたりすることは珍しくありません。

そんなコミュニケーションの問題が一気に表面に出てくるのが思春期です。思春期になると、人はそれまでと違ったコミュニケーションを始めます。女子であればグループを作ったりするでしょう。また異性を気にし始める年齢でもあります。その中に入れず「自分はおかしいんだ」と自分を否定してしまう発達障害の子どもは決して少なくありません。

発達障害があることで進学に不安を持つ親もたくさんいることでしょう。

中学校までは義務教育ですから、スムーズに入学・卒業できたとしても、そこから先が不安だという声を多く耳にします。そんな時は、発達障害がある生徒も受け入れてくれる、支援してくれる高校を選んでみるというのも一つの手です。

 

高校を選ぶ時のポイント

  • 発達障害に対して理解があること
  • 発達障害に関する知識があり、一人ひとりに合ったケアをしてくれるスタッフがいること
  • SST(社会生活技能訓練)やライフプランなどについて学べる授業があること

の3つの点に注目して学校を選ぶと良いでしょう。

発達障害のある生徒を受け入れている公立高校は、小中学校に比べて少ないと言わざるを得ません。通信制高校には比較的発達障害に対して理解のある学校が多いので探してみてください。

通信制高校については、こちらの記事(通信制高校とは?全日制高校との違いを紹介)でも詳しく解説しています。

また、東京都であれば「チャレンジスクール」という場所もあります。チャレンジスクールは、さまざまな理由で学校になじめなかったり、学校を辞めてしまったりした生徒が、自分に合っているものやこと、自分が興味ある分野を見つけるための場所です。学校ごとに特色があるので、気になる人は一度東京都のチャレンジスクールについて調べてみましょう。

この他には、定時制高校や高等専門学校などもあります。定時制高校は、かつては「働きながら高校に通う人のための夜間高校」というイメージでしたが、現在は午前だけ・午後だけ・夜間だけ、などさまざまなタイプがあります。3〜4年かけて卒業する高校が多いようです。

高等専門学校は、5年間の一貫教育です。ただし、学校によっては寮への入寮が必要だったりと、グループ活動や団体行動が苦手な子どもにとってストレスがかかる場面もあるので、子ども一人一人の個性に合わせて進学先を選ぶのが重要です。

 

発達障害の人のための就労支援

発達障害があっても、いつかは自立して自分で生活費を稼ぐ必要があります。そんな時に利用したいのが「就労支援」です。就労支援を提供している機関は、大きく分けて2つあります。

1つは社会福祉法人や住んでいる場所の障害者就労支援センターなどの公的機関。
もう1つは民間の就労支援です。

公的な機関の場合、支援を受けるのに障害者手帳や療育手帳の取得が必要な場合があります。窓口は住んでいる自治体の福祉課です。そこで就労移行支援などの支援を受けることができます。

就労移行支援では、さまざまな作業を通じて働くという感覚を身に付けていきます。その中で人との関わり方を学んだり、自分の得意・不得意を知ったりして、どうすればより負担なく働けるかということを考えていくのです。

自治体によっては、インターンシップなどを実施しているところもあります。人と関わることに強い不安があったり、いきなり働き始めるのが不安だという人はまず就労移行支援から始めてみましょう。

民間の就労支援では、より実践的な就労移行支援を受けることができます。

株式会社Kaienでは発達障害がある人に特化した就労支援を行っています。就労支援プログラムの中で数十の職種を体験しながら自分に合っている職業を探すこともでき、実際の作業を通じて仕事をする感覚を養っていくのです。

株式会社Kaienでは、就労後も相談できる体制が整っています。発達障害の人の場合、人と関わるのが苦手なことから、就職してもすぐに離職してしまう人が少なくありません。自分に合った企業に就職したら、できるだけ長くそこで働き続けるためにこうしたサポートがあると、非常に心強いのではないでしょうか。

発達障害がある人の就労ですが、一般企業に一般枠で就労している人もいれば、障害者枠で就労している人もおり、一概に「発達障害があるから、こういうスタイルの働き方が良い」ということはできません。

また、就職している先もさまざまです。大手企業に勤めている方もいれば、中小企業で自分の強みを生かして働いている人も数多くいます。

 

まとめ

子どもが発達障害と診断されたら、不安になるのは親であれば当然のことです。進学はどうなるんだろう……。就職はできるのかしら……。将来、自分の力で生きていけるのかしら……

とにかく不安は尽きないでしょう。

そんな時は、ぜひ積極的に支援を受けてください。学校と密に連携を取り、公的機関や民間の支援を上手に利用することが本人を将来に大きな影響を及ぼします。

発達障害は、人よりも得意・不得意の差が大きいのが特徴です。そして、人とのコミュニケーションが取れないわけでなく、大多数のコミュニケーション方法と少しズレた方法でコミュニケーションを取ってしまう障害です。

そのため、子どもの頃はひとりぼっちになったり、他の子どもにいじめられたりすることも珍しくありません。そういった経験は子どもの心に大きな傷を負わせます。

ぜひ、発達障害のある子がのびのびと、そして明るく暮らせることを第一に教育を受ける場所や受ける支援を選んでください。

 

発達障害があるあなたへ

発達障害があるということで、

「自分は普通じゃないんだ」
「自分はおかしいんだ」

と思ったりしていませんか?

学校という場所は、「みんな同じ」であることが良いことと言われる場所です。人よりちょっとだけ個性的で、人よりちょっとだけ得意なことと不得意なことの差が大きいあなたは、そんな場所で目立ってしまうのです。

もし辛いことが多くて、もう頑張れそうにないと思ったら、あなたを攻撃する人が居ない場所や、学校の外の世界に行きましょう。学校の外には広い世界が広がっていて、いろんな人が居ます。そこで、たくさんの人と出会ってください。

将来が心配になることもあるでしょう。進学や就職が不安になることもあるでしょう。そんな時こそ、周囲の人の助けを借りましょう。世の中にはフリースクールや就労支援など、あなたを助けるための場所がたくさんあります。

あなたが得意なことは、きっと誰かの役に立つことです。多くの人との出会いから、将来の夢が見つかるかもしれません。

 

出典
発達障害 通常学級が向いている子・合わない子 – 臨床心理士による子育てのヒント | 発達の気になるお子さんに
東京都教育委員会都立高校検索サイト
高等専門学校(高専)について:文部科学省
定時制高校とは : 京都市立洛陽工業高等学校定時制
株式会社Kaien – 発達障害の方のための就職応援企業

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