通信制高校の授業内容とは?ひとりで勉強して3年間で卒業できる?
通信制高校の授業内容とはいったいどんなものなのでしょう。通信教育なの?学校に行かなくていいの?自宅で勉強?テストはあるの?ここでは通信制高校の基本的な授業内容やテスト、卒業のための条件などを紹介します。
目次
通信制高校を卒業するために必要な3つの条件
(1)在籍年数が3年以上
通信制高校にかぎらず、全日制高校や定時制高校においても、学校教育法では高校の卒業要件として「3年以上の在籍を満たしていること」と定められています。ですから、1、2年目でどれだけ沢山の単位をとっても、必ず3年間の在籍が必要です。
通信制高校に他の高校から編入、転入する場合は、それまでの高校での在籍期間が加算されることになります。
(2)合計74単位以上の科目の修得
これも通信制高校に限らず、全日制や定時制の高校でも一定の単位取得で卒業が認められます。通信制と全日制の単位取得の違いは、全日制は時間割が決まっていて1年次、2年次と学年制をとっており、その中に科目を割り振っているわけです。
そのため、単位が取れないと留年ということもあります。ですが、通信制高校の場合は学年制をとっておらず、レポート提出、スクーリング、単位認定試験の繰り返しで単位を取得するシステムです。全日制高校は学年制、通信制高校は単位制、という考え方が一般的です。
通信制高校で単位をとるためには、先ほども書きましたがレポート提出、スクーリング、単位認定試験の3つが柱となっています。
レポート
ふだんは自宅でテキストやネット動画、DVDを見たりなどの自学をして、その理解度を学校が審査するためにレポートを期限までに郵送などで提出します。
このレポートを提出しなかったりすると、単位認定試験を受けることができなくなってしまうので、ふだんから自学のコツや習慣を身につけておくことが必要でしょう。
スクーリング
通信制高校はふだん学校に登校することがないのですが、科目に応じてスクーリングといって学校などに登校し、実際に授業を受ける必要があります。
スクーリングの実施については学校によってさまざまなので、入学する前に確認しておくことが大切です。毎週1日登校するものから、年に一度合宿形式で行うスクーリングの高校などもあります。ただスクーリングも欠席してしまうと、単位認定試験が受けられなくなるので、注意が必要です。
単位認定試験
そして、単位をとるための単位認定試験があります。ほとんどの通信制高校は2学期制をとっているため、前期と後期の最後に試験が行われます。1学期制の高校だと、年度末に行われることが多いようです。
これも登校して試験を受ける必要があります。ですが仕事や何らかの事情がありどうしても試験の日にやむを得ない事情で登校出来ない場合は事前に学校に相談しましょう。
単位認定試験の難易度はそれほど高いものではなく、レポートの課題の範囲内から出題されます。ふだんレポートを提出し添削を受けていれば、テストを受けて単位取得は難しくはありません。またテキストの持ち込みが可能であったり、ふだんのスクーリングで先生がテスト範囲を教えてくれる場合もあるので、それをチェックしておくことも大切です。
また、通信制高校に転入、編入した場合はその前の高校の単位が認定され加算されることになりますので、カリキュラムを組む際には考慮しましょう。
(3)特別活動30単位の取得
通信制高校にも、実はホームルームや体育祭、文化祭、修学旅行などの特別活動と呼ばれる単位を年間10単位、3年間にすると30単位取得する必要があります。
ですが、今はホームルームなどはネットで行ったり、スクーリングの際に課外授業や運動会などを行うことによって単位が取得出来るようになっている学校がほとんどなので、ふだん学校に行かず特別活動の参加に抵抗がある生徒さんにも、配慮がなされています。またこのような活動を通して友達が出来たりなど、メリットをあげる在校生の人もたくさんいます。
通信制高校を3年で卒業できるのは3割程度
通信制高校の場合、自分のペースで勉強できたり、アルバイトをしながらでも時間を有効に使って勉強出来るというメリットもあります。
ですが、基本的にひとりで勉強することになるので、将来の目標が明確でない人や、なんとなく通信制高校に入ってしまった場合に多いのが、自分だけで勉強をすすめるのが難しいということになってしまいます。学校に行けないままの人は、何年も高校に在籍することになる場合も多いです。
これは、ふだんの勉強も時間が学校によって決められているわけではないので、自分で学習時間を決めて勉強しなくてはいけないことに難しさを覚える場合があるからでしょう。このような場合は、通信制高校を3年で卒業するのも大変で、実際統計上通信制高校を3年で卒業する割合は全体の3割程度と言われています。
3年で卒業するために存在する「サポート校」
通信制高校の自学自習だけで卒業するのは難しそう、という人のために、「サポート校」というものがあります。
サポート校とは、通信制高校に通う人が3年で卒業出来るように単位取得や、相談事などの学校生活全体の支援をするところです。通信制高校に附設されている場合もあり、現在ではサポート校の数は全国で200校以上もあると言われています。
(1)通信制高校とサポート校の違いとは
「サポート校」は通信制高校と違い、学校教育法で定められているところの「高等学校」ではありません。ですから、サポート校に行くだけでは高校卒業単位は得られません。あくまで通信制高校と同時に通う「塾」のようなものと考えればわかりやすいかもしれません。高校卒業資格を得るためには、同時に通信制高校に入学することが必要です。
また、運営母体は通信制高校を経営している教育機関をはじめ民間の予備校などが多いです。もちろん通信制高校に加えてサポート校に通う場合には、サポート校の学費も別にかかるため、卒業への学費はそれなりに高額になります。
(2)主なサポート校の紹介
ここでは、通信制高校と同時に通えるサポート校をいくつかご紹介します。
おおぞら高等学院
「屋久島おおぞら高等学校」という通信制高校に附設しているサポート校です。
この通信制高校に入学し、サポート校に並行して入学することによって3年間での卒業を目指します。屋久島といっても広域通信制高校なので、どの地域に住んでいても入学することが出来ます。サポート校のおおぞら高等学院も東京、横浜、大阪、名古屋など、自宅近くのキャンパスを選んで通学することが可能です。
コースはさまざまで、3年間での卒業を目指すと共に進学コースなども設けられています。留学についてのプログラムがあるのも特徴です。また同時に通う屋久島おおぞら高等学校でのスクーリングは、年に1度、屋久島で合宿形式で行われ、さまざまな体験学習も用意されています。
トライ式高等学校
各種専門コースから進学まで多様なコースが特徴のサポート校です。また、家庭教師のトライが母体のため、マンツーマン形式で勉強をサポートしてくれます。
キャンパスは全国47都道府県にあり、自宅に近いところに通うことが出来ます。もちろん、自宅か通学のどちらかでコースを選ぶことも可能です。なかなか外に出れない人でも、自宅でサポートを受けられるのが特徴のひとつです。簿記や、TOEICなどの資格を取りたい人のコースも設けられています。
中央高等学院
もともとは高卒認定(旧大験)コースを主とした東京・吉祥寺に本校のある、30年以上の比較的長い歴史のあるサポート校です。
選べるコースも多様で、通信制サポートコースの他にも、中学生のコースや、高認資格取得コース、大学入試コースなどがあります。カウンセラーも学校には在籍しており、日頃の悩みの相談など精神面でのサポートも揃っています。母体となる広域通信制高校・中央国際高等学校の卒業資格がもらえます。
WILL学園
学習教材の出版などで歴史のある、学研が運営しているサポート校です。
東京・高田馬場に本校があり、首都圏の他、大阪、神戸、つくばにもキャンパスがあります。毎日通学したい人のための週5回コースから、在宅コースまで通学回数がコースによって選べます。このようなコースの他にも、中学生のコースがあったり、高卒認定のための指導もあります。また不登校の生徒さんに対するケアも行っています。
マイン高等学院
九州各県(熊本を除く)にキャンパスのあるサポート校です。
母体は塾や家庭教師などの運営をしているディック学園グループです。どのキャンパスでも通学コースから在宅コースまで選ぶことが出来て、自宅に先生が学習指導に来ることもあります。またトライアルレッスンといってネイルアートやパソコン教室など、50種類の講座があり、自分のやりたいことを見つけられます。キャリアカウンセリングで進路指導も行います。
まとめ
通信制高校の卒業の条件から、サポート校の紹介までの流れまでを解説しました。
やはり通信制高校はふだんのレポート提出は自学自習してひとりでしなければなりませんし、スクーリングなどに難しさや抵抗がある人も多いと思います。
それほどレポート内容や試験内容が難しくないというのが通信制高校ですが、不登校などが原因で、学力に不安がある場合もあると思います。そんな場合は常に勉強や精神面でフォローしてくれたりするのもサポート校の役割です。
また自分にあった勉強を特別にしたい、将来専門的な職業を目指している、大学受験に力を入れたい、といった場合には、サポート校への入学を、通信制高校入学と併せてはじめから選択肢に加えてみるのも、学費面も考慮しながら考えるのも、高校卒業や進学への近道かもしれません。