失敗しない高校の選び方、7つの比較ポイント
高校受験の際に大切な志望校選び、「偏差値」だけで決めていませんか?小・中学校の義務教育とは違い、高校は自分の行きたい学校を選んで受験することができます。自分に合った高校を選ぶには一体どうすればいいのでしょうか。ここでは、高校選びのポイントについて詳しく説明していきます。
志望校を見極める7つのポイント
高校受験生の皆さんは、「絶対にここに通いたい!」と心に決めている高校がありますか?「特にない」という人も多いのではないでしょうか。その場合、数ある高校の中から、自分に合った高校を見極めなくてはなりません。高校選びに失敗しないためには、偏差値だけではなく、さまざまな観点から高校を分析する必要があります。高校について調べるときは、どんな点に注意すればいいのでしょうか。以下に7つのポイントを挙げてみました。
ポイント1:校風は合うか
校風とは、言い換えればその学校の性格ということ。性格が合わない人と3年間毎日一緒にいるのは大変ですよね。それは高校も同じです。しっかりと志望校の性格を見極めましょう。私立はもちろんですが、公立の高校にもそれぞれ個性があります。例えば、「学業優先の進学校」か、「部活動が活発な文武両道の高校」かでも毛色は大きく異なります。他にも、制服がない・髪型自由など「生徒の自主性を尊重する高校」もあれば、規律や礼儀作法を重んじる「校則の厳しい高校」もありますね。留学制度が整っているなど「国際教育に力を入れている高校」も増えています。また、共学かそうでないかも高校の性格を決定づける大きなポイントでしょう。「男女問わず人間関係を広げたい」と思うか、「異性がいない方が気楽だし勉強がはかどる」と思うかはアナタ次第。その高校の校風に自分が馴染んでいけるかどうか、じっくりと検討しましょう。
ポイント2:学びたい学科やコースはあるか
中学校と違って、高校にはさまざまな学科やコースがあります。高校の学科は大きく分けて3種類。中学と同じようにいろいろな教科をまんべんなく学ぶ「普通科」、専門的知識を学ぶ商業科や工業科などの「専門学科」、興味のある科目を自分で選択し、あらゆる分野について幅広く学ぶことができる「総合学科」です。どの学科へ進んだらいいか分からないという人は、
- 大学進学を考えている⇒普通科へ
- 将来の夢がすでに決まっている⇒専門学科へ
- これからやりたいことを見つけたい⇒総合学科へ
と考えるとわかりやすいかもしれません。また、高校によっては普通科の中に「専門コース」も設けている学校も多くあります。進学コースや資格取得コース、英語コース、スポーツコース、音楽コースなど、コースの内容は高校によってさまざま。希望する学科・コースがある場合は、事前にきちんと調べておくことが重要です。
ポイント3:学校の雰囲気はどうか
次に、その高校の「雰囲気」はどうでしょうか。ポイント1で述べた「校風」と少し似ていますが、ここで注視してほしいのはもっと直感的なもの。校舎や校庭の雰囲気、在校生や先生の雰囲気などから、学校全体の“空気”を感じられるはずです。入りたい部活が決まっている人は、部活動の様子も見てみましょう。入部したい部活がない可能性だってありますし、運動部であれば、強豪校の場合大会で活躍できる半面、練習は厳しいかもしれません。「なんとなくいやだな…」「自分には合わないかも」と感じた場合は、無理に受験をする必要はありません。「そんな理由で決めていいのかな」と不安になるかもしれませんが、その高校へ3年間通うのは他の誰でもない自分自身。その直感を軽視してはいけません。こればかりは先生や親は判断することができませんから、人任せにせず必ず自分の目で見て判断するようにしましょう。
ポイント4:受験の難易度
さて、偏差値ばかり気にしてはいけないと言いつつも、やっぱり気になるのが「合格できるかどうか」ですよね。「自分には少しレベルが高いかも…?」と不安になる人も多いでしょう。それを見極める上で重要なのが学校の内申点と模試の偏差値です。まず、自分の内申点はどのくらいなのかを確認しましょう。その点数によって、学力検査でのボーダーライン(何点取れば合格できるか)が変わってきます。内申点と学力検査の比率や、内申点の算出方法は都道府県や高校で異なりますから、中学校や塾の先生に相談するのが最も確実で安心です。また、「ちょっと上の高校を狙いすぎかな?」と感じても、安易にレベルを下げるのはオススメしません。みなさんの学力は入試直前まで伸びる可能性があるからです。受験生の多くが本腰を入れて勉強を始めるのが、部活を引退する中3の夏休み。ゆえに、入試直前の秋~冬に学力が急上昇する生徒が非常に多いのです。ただし、第一志望を目指す一方で、確実に入れそうな「すべり止めの高校」を検討しておくのも忘れないようにしましょう。
※高校入試や内申点に関してのさらに詳しい解説はコチラ
全日制・定時制・通信制の高校入試の違い
高校受験に必要な「内申点」とは?
ポイント5:通学時間
学校の雰囲気や校風、教育方針など、たとえ他のすべてが気に入っても、片道2時間以上かかる高校は志望候補から外した方が無難です。部活の朝・夕練や生徒会活動、授業の補修や毎日の宿題、定期試験の勉強など、高校生活は中学より確実に忙しくなります。その上、登下校にも時間を取られたら…。初めのうちは緊張や期待感から長い通学時間も苦にならないかもしれません。しかし、それが3年間ほぼ毎日続くとなると、学校に通うのが嫌になってしまう恐れも。また、電車通学の場合は、乗り換えの回数や駅から学校までの距離もチェックしましょう。特に都市部では朝のラッシュの度合いについても見ておく必要があります。また、公立高校の場合、「最寄り駅からバス」という学校も多く、朝夕のバスは乗車時間が予定より長くかかる場合もあります。そういったことも考慮に入れて「通学時間」を計算してみましょう。
ポイント6:学費
小・中学校と違い、高校へ通うには学費がかかります。私立と公立、どちらへ進むかによっても異なりますが、一般的に私立の方が入学金・授業料は高くなります。加えて、制服や教科書代、修学旅行代、学校納付金など、授業料以外の費用について調べておくのも忘れずに。電車・バス通学の場合は定期券の金額もチェックしておきましょう。以下は、公立・私立高校の受験料、入学金、授業料の目安です。
公立高校
- 受験料
2,200円(福岡県と佐賀県は2,100円) - 入学金
5,650円(鳥取県、福岡県、佐賀県、長崎県は5,550円) - 授業料
年額11万8,800円(月額9,900円)
私立高校
- 受験料
約1万円~(平成27年度の全日制高校の平均額は1万5,898円) - 入学金
約15~25万円(平成27年度の全日制高校の平均額は16万2,362円) - 授業料
年額約30万円~(平成27年度の全日制高校の平均額は39万578円)
こうやって見てみると、授業料だけでもかなりの金額がかかることがわかります。しかし、日本には高校の授業料を支援してくれる「高等学校就学支援金制度」や、低所得者世帯を対象とした「高校生等奨学給付金制度」など、あらゆる支援制度があります。「私立は学費が高いから無理」と諦める前に、家族に相談してみましょう。
※就学支援金や奨学給付金に関してのさらに詳しい解説はコチラ
ポイント7:進学実績
志望校選びをしていると、「この高校に入ったら〇〇がしたい、××部に入りたい」といった夢や希望がわいてきますよね。しかし、さらに先の進路を見据えた高校選びをすることも大切ですよ。大学進学を目指すのか、専門学校へ進みたいのかによっても、選ぶ高校は変わってきます。まず高校のホームページなどに出ている「進学実績」を見てみましょう。全体の何%が大学へ進学しているでしょうか。専門学校、就職の割合はどのくらいでしょうか。自分の目指す進路と、卒業生の進路とを照らし合わせ、その高校が自分に合っているかを見極めましょう。すでに志望する大学や専門学校が決まっているという人は、その学校の合格者数を見るのも忘れずに。同じ目標を持った仲間が多くいればいるほど、高校での受験勉強にも身が入ります。
絶対に参加しておきたいオープンキャンパス
オープンキャンパスを積極的に活用しよう
さて、ここまで7つのチェック項目について述べてきましたが、学校の雰囲気や在校生の様子、通学路など、実際に高校に足を運んでみなければわからないこともたくさんありますよね。そこでお勧めしたいのが「オープンキャンパス」です。「学校説明会」と混同しがちですが、学校説明会は主に保護者向けに実施されるのに対し、オープンキャンパスは実際の授業や部活動を見学、体験することができる学生対象のイベントです。近年、オープンキャンパスを実施する高校が非常に増えており、学校によっては中学の先生が引率してくれる場合もあります。気を付けたいのが「ただぼんやり見て帰ってくるだけ」というパータン。参加する前には、あらかじめ高校の下調べをしておきましょう。確認しておきたい「チェック項目」を作成し、当日持参するのもオススメです。また、オープンキャンパスは事前予約が必要な場合もあるので、ホームページなどで早めに確認しましょう。
第三、第四志望の高校にも足を運んで
「オープンキャンパスに参加するのは第一志望だけでいいや」と考えている人も多いのでは?時間も取られますし、面倒だと思ってしまう気持ちも分かります。しかし、それはとても怖いことですよ。入試では、何が起こるかわかりません。第一志望に合格できる確証はどこにもないのです。一度も見学したことのない高校を受験するのは不安ですし、モチベーションもあがりませんよね。少しでも受験する可能性のある高校は、前もって見学に行っておくことをオススメします。
兄姉が通っているから必要ないは大間違い
上にお兄さんやお姉さんがいる場合、同じ高校へ進学しようと考える人も多いでしょう。しかし、だからといって見学しなくていいということにはなりません。しっかりと自分の目で見て、この高校で良いのかを判断しましょう。特に、お兄さんやお姉さんが卒業してから時間が経っている場合は、校内の雰囲気が一変している可能性があります。オープンキャンパスに参加して、最新の情報をゲットすることが大切です。
志望校はいつまでに決めるべき?
情報集めはすぐにでも始めよう
後悔しない高校選びをするためには、さまざまな高校をじっくり比較検討することが大切です。オープンキャンパスもなるべくたくさん参加したいところですよね。そのためにも、高校の情報集めは早めにとりかかりましょう。また、早い段階から「こんな高校に行きたいな」「高校って楽しそうだな」という気持ちが芽生えることで、受験に対する意識も違ってきます。
中学3年の夏までに志望校を絞ろう
気になる高校がいくつか見つかったところで、次に志望校を絞り込んでいきましょう。ここで大切になってくるのが、上で述べた7つの比較ポイントです。まず、この7項目の優先順位を決めていきましょう。自分の中の「譲れないポイント」がわかったところで、候補に上がった高校を比較していきます。入試対策に取り組む中学3年の夏休みまでには、第一志望は決定しておきたいところです。
公立は焦らず1月、私立は早めの決断が吉!
志望校の最終決定は、公立の場合、12月の三者面談を終えた1月に決定する人がほとんどです。先に述べたように、学力は入試直前まで伸びる可能性がありますから、ギリギリまで様子を見ましょう。一方私立の場合は、私立高校と中学校の間で12月中旬に行われる「事前相談(入試相談)」がカギとなってきます。これは、中学での実力テストや模試の結果をもとに、その生徒の合否の可能性を話し合うもの。結果次第では、合格内定をもらえるケースもあるため、私立の志望校は「事前相談」までに決めた方が断然有利というわけです。私立の場合は11月くらいまでには志望校を決断した方が良いでしょう。
まとめ
志望校を決めるには、難易度や学費、通学時間などの要素を総合的に見る客観的な視点と、「自分がここに通いたいと思うか」という主観的視点の二つが必要になってきます。もちろんどちらを優先するかは自由です。ただひとつ忘れてはならないのは、志望校は親でも先生でもなく、受験生である“あなた自身”が決めるということ。思い立った今日から、自分に合った志望校探しを始めましょう!