高校受験に必要な「内申点」とは?

高校受験に大きな影響を及ぼす「内申点」。何となく理解しているつもりでも、実はどんなものかわかっていない人も多いのでは?どうやったら内申点を上げられるのか、内申点が低くても高校に行けるのか…、ここでは内申点にまつわるさまざまなギモンについて解説していきます。

高校受験に必要な「内申点」とは?

内申点が高いほど高校受験に有利

 「内申点」とは、評定(成績)を5段階の数値であらわしたものの合計点です。成績表を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。もっと詳しく言うと、主教科(英語・数学・国語・理科・社会)と、副教科(保健体育・音楽・技術家庭・美術)の9教科を合わせた点数となります。「受験には体育や音楽は関係ない」などと思っている人はいませんか?内申点には副教科の成績も大きく関わりますから、気を抜いてはいけません。

「内申書」という言葉もよく聞く言葉ですね。これは、上で述べた内申点に加え、中学校での活動の成果や遅刻欠席の日数、生活態度などを記録したもので、正式には「調査書」と呼ばれます。これは自分で記載するものではなく、通っている中学校から受験する高校へと提出されます。

この内申点および調査書は、高校受験に非常に大きな影響を与えます。特に推薦入試では、内申点が高ければ高いほど高校の選択肢も広がり、合格の可能性も高まります。また、公立の一般入試の場合は、学力検査の結果と内申点との総合点で合否が決定する場合がほとんど。「学力検査:内申点」の比率は各都道府県や高校によって異なりますが、内申点が高い方が受験を有利に進められるのは事実です。今からでも、この内申点とうまく付き合う努力をしてみましょう。

 

内申点の算出方法とは?

 内申点のもとになるのが評定です。いわゆる、成績表に並んでいるあの数字ですね。これは教科の先生がなんとなくつけているわけではありません。「観点別学習状況の評価」(または「観点別評価」)に基づいて決定されているのです。「観点別評価」とは、

◎関心・意欲・態度(授業態度、宿題などの提出物への取り組みはどうか)
◎知識・理解(学んだことを知識として正しく理解できているか)
◎思考・判断・表現(正しく理解するだけでなく、応用・表現できるか)
◎技能(得た知識を適切な場面で正しく活用できるか)

などの観点から、その生徒がどれだけ目標を達成できたかを分析し、

【A】十分できている
【B】おおむねできている
【C】努力を要する

の3段階で評価するもの。これらの観点別評価を総合的に判断し、最終的な評定が決まります。

この評定は「絶対評価」によって決定されます。かつては「相対評価」によって決定されていましたが、学習指導要領の改訂により2002年ごろから徐々に切り替えが行われ、2016年度には全国すべての都道府県で「絶対評価」が導入されるようになりました。「相対評価」とは、クラス内の順位で評定がつく方法で、“「5」は全体の7%”などと割合が決まっていたため、いくら良い点数をとっても上位の7%に入らなければ「5」がもらえませんでした。対して「絶対評価」とは、クラスの順位に関係なく、個人の到達度によって成績が決まるもの。極端なことを言えば、クラス全員が「5」をもらえる可能性もあるわけです。一見とても良い方式のように思えますが、「絶対評価」は教師の主観でつけられるため、クラスごと、学校ごとに評価の差が生じてしまう恐れがあります。そういった格差をなくすためにも、上で述べた「観点別評価」は非常に重要な判断基準となるのです。

 

都道府県で異なる内申点の算出方法

さて、次に気になるのが、「最終的な内申点の出し方」ですよね。これは、都道府県によって異なります。1~3年生まで、すべての学年の成績を対象とする学校もあれば、3年生の成績のみというところも。また、主教科よりも副教科を重視するというケースもあります。いくつか例を挙げてみましょう。

▼北海道の場合

<対象学年> 中学1~3年
<計算方法>

1年生 9教科の合計×2

2年生 9教科の合計×2

3年生 9教科の合計×3

▼東京都の場合

<対象学年> 中学3年のみ
<計算方法>

主教科 5教科の合計

副教科 4教科の合計×2

▼神奈川県の場合

<対象学年> 中学2~3年
<計算方法>

2年生 9教科の合計

3年生 9教科の合計×2

(すべて平成29年度資料より)

ちなみに、47都道府県のうち1年生の評定を合否対象としているのは33カ所(平成29年度資料より)。多くの地域で、高校入試は中学1年生の時点ですでに始まっているのです。自分が住んでいる都道府県の入試情報を調べてみましょう。

 

内申点を上げるための3つの方法

では、内申点を上げるためには具体的に何をすればよいのでしょうか。上で述べたように、評定はさまざまな観点からの評価を総合して算出されます。いくら定期テストで満点をとっても、5をもらえるとは限りません。以下の3つのポイントを押さえましょう。

 

1、積極的な授業態度

授業では積極的に手を挙げて発言するようにしましょう。また、授業を受けているときの姿勢にも注意。肘をついたり、窓の外を眺めたり、大きく足を開いて座ったりしていませんか?きちんと背筋を伸ばし、正しい姿勢で授業を受けましょう。ノートを丁寧にとるのも忘れずに!

 

2、提出物の締切を守る

主教科の宿題や課題はもちろん、美術や技術家庭などの作品制作も評価の対象になります。重要なのは提出期限を守ること。いくら内容が完璧でも、〆切を守らなければ評価されません。出来栄えに自信がなかったとしても、熱心に取り組んだこと・きちんと提出したことに意味がありますから、苦手な人も諦めずに頑張りましょう。

 

3、テストで高い点数を取る

もちろんテストの点数も大切です。中間テストや期末テストなどの他に、授業で行う小テストなども評価対象となりますから、気を抜いてはいけません。

他にできることとしては、

  • 忘れ物をしない
  • わからない問題は先生に個別で聞きに行く
  • 欠席、遅刻を極力避ける
  • 先生と積極的にコミュニケーションをとる

などが挙げられます。テストの点数を突然上げるのは難しいですが、他の項目は明日からでも取り組めるのではないでしょうか。

苦手な教科は授業などでも消極的になりがち。しかし、テストや実技試験などで成績を上げるのが難しいぶん、他の部分でフォローする必要があります。教科の先生とコミュニケーションをとり、授業に真面目に取り組む姿をアピールしましょう。

 

勉強以外の活動と内申点との関係

 

生徒会活動や部活動でプラス評価に

調査書に記載される事項の中で最も重視されるのが評定をもとにした内申点ですが、次に重要なのが、部活や生徒会活動などについて記す「特別活動の記録」です。県大会やコンクールなどで優秀な成績を残したり、部長や生徒会長を務めた場合は高評価へとつながります。ちなみに、途中退部などの不利な内容は記載されることはないので安心を。調査書には生徒にとって“有利になること”以外は書かれません。

 

英検などの資格も内申点アップにつながる!?

「特別活動の記録」の次に重視されるのが、取得資格や学校外の活動について記載される「その他の項目」です。都道府県や高校によって異なりますが、英検や漢検、数検などの資格を持っていると評価されることが多いようです。「部活には今さら入れないし…」と思っている人は、ぜひ資格試験にチャレンジしてみてください。また、学校外のボランティア活動などに参加するのもおすすめです。

 

都道府県で大きく異なる特別活動の影響度

しかし、都道府県によっては、「特別活動の記録」や「その他の項目」は参考程度で、合否に全く影響を与えないというケースもあります。一方で、生徒会会長は〇点、学級委員長は□点、県大会入賞は△点など、それらの活動を点数化し、合否の判断材料に用いるという学校も。以下では、勉強以外の活動が内申点に加算される都道府県の例をあげてみました。

 

▼青森県の場合

青森県の公立高校には、一般選抜の他に特色化選抜と呼ばれる高校独自の選考基準があります。この特色化選抜では、学生の能力や意欲を適切に評価するため、「特別活動の記録」を点数化する高校も多いようです。

<青森北高校・普通科(特色化選抜)の例>

調査書(220点満点)
内申点(135点) 特別活動の記録(85点)
「特別活動の記録」の得点項目
  • 生徒会活動など…最大20点(生徒会長20点、生徒会委員長10点、学級会長10点)
  • 部活動など…最大65点(全国大会入賞65点、全国大会出場60点、東北大会入賞50点、東北大会出場40点、県大会入賞30点、県大会出場20点)※ただし、中体連・中文連が主催・共催のものを原則とする。

 

▼福島県の場合

福島県の公立高校では、各高校長の判断で「特別活動の記録」が点数化されます(高校によっては、点数化されない場合もあります)。

<Ⅰ期選抜>調査書(満点は高校・学科で異なる)
内申点(135点) 特別活動の記録
(点数は高校・学科で異なる)
<Ⅱ期選抜>調査書(190点満点)
内申点(135点) 特別活動の記録(55点)

 

▼埼玉県の場合

埼玉県の公立高校では、「特別活動の記録」、「その他の項目」を点数化し、内申点との合計点で合否を判定します。加点される内容は学科やコースによって異なります。

<小川高等学校・普通科の例>

調査書(250点満点)
内申点(180点) 特別活動の記録(50点) その他の項目(20点)
「特別活動の記録」の得点項目
  • 生徒会活動など…生徒会会長、生徒会副会長、生徒会本部役員、学級委員、各種学校行事の委員長
  • 部活動など…全国大会、関東大会、県大会等への出場または出展、郡市大会等での優勝、準優勝、部長を務めた場合
「その他の項目」の得点項目
  • 総合的な学習の時間の記録に特に顕著な活動がある場合
  • 英語検定3級以上、漢字検定3級以上、数学検定3級以上の資格を取得している場合、あるいは同等と認められる場合
  • 学校外のスポーツ活動や文化活動で優れた活動実績がある場合
  • 出席の状況が良好な場合

(すべて平成29年度資料より)

 

内申点が低くても入れる高校とは

内申点が低くても入れる高校とは

「学力に自信あり」なら全日制高校も可能

全日制高校の入試は、基本的に学力検査と内申点(場合によっては面接も)の合計点によって合否が決まります。特に公立は調査書を重視する高校が多いため、内申点に不安のある人は私立高校を目指すのがいいでしょう。また、高校によっては「オープン型入試」や「フリー受験」と呼ばれる、学力検査のみで合否を判定する入試方式を取り入れているところも。学力に自信のある人は、この一発勝負型の入試にチャレンジするのもおすすめです。

 

内申よりも面接重視の定時制高校

中学生だけでなく幅広い年齢層の人たちが受験する定時制高校では、調査書の内容が合否判定に用いられることはあまりありません。むしろ大事なのは面接。学力検査の結果が良くても、面接の態度が明らかに悪い人は不合格になる場合もあります。定時制高校の入試では、 “これまでの成果”よりも、面接で“これからのやる気や意欲”を見ているのです。

 

内申も学力も関係なし!サポート体制が整う通信制高校

内申点が低くて悩んでいる人の中には、不登校が理由で評定がつかなかったという人も多いでしょう。通信制高校では、内申点が合否の判断に用いられることはありません。ほとんどの高校で行われる入試面接も、「落とすため」のものではありません。人間関係などに不安を抱える生徒が、快適に高校生活を送るためにはどんなサポートが必要か、面接を通して確認しているのです。

おすすめの通信制高校一覧

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まとめ

多くの都道府県では、中学1・2年の評定も内申の対象となります。しかし、「もう手遅れかも」と志望校を諦めてしまうのは早計です。1年の成績よりも3年の成績を重視する高校も多くありますから、まだまだ挽回できる可能性はあります。まずは、各都道府県のサイトなどで内申点の計算方法を確認し、自分の成績表から仮の内申点を算出してみましょう。また、授業に積極的に参加したり、課題の提出期限を守るなど、“今日からできること”に目を向けて、コツコツ頑張ることが大切です。

 

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