高校入試の「面接」で失敗しない5つの対策
高校入試のカナメとなる面接試験。これが“人生初の面接”となる人もたくさんいるのではないでしょうか。「どんなことを聞かれるの?マナーや手順は?」など、わからないことも多いはず。ここでは高校受験の面接試験を成功させるためのコツについて詳しく解説していきます。
目次
1.高校入試での「面接」の重要度は上がっている
入試に面接がある理由
最近は私立だけでなく、公立の一般入試でも面接試験を行う高校が増えています(神奈川県や静岡県、秋田県の一部の全日制公立高校では必須)。面接と聞くと「緊張してうまく話せないかも…」とマイナスなイメージを持ってしまいがち。しかし、高校入試の面接は基本的に「落とすため」に実施しているものではありませんから安心を。ではなぜ面接試験を行うのでしょうか?その理由としては、
- 学生の普段の様子を知るため
- その高校への入学に対する意欲を見るため
- コミュニケーション能力や基本的なマナーを見るため
などが挙げられるでしょう。つまり、学力検査や内申書などの書面だけではわからないことを、面接を通して直接確かめているわけです。面接試験の重視度は都道府県や高校によって異なりますが、「油断しすぎ」も「緊張しすぎ」も良い結果をもたらしません。きちんと対策をしたうえで、リラックスしてのぞみましょう。
定時制高校や通信制高校では入試で面接を実施する高校が非常に多く、また「学力も内申点も問わない」という高校ほど、面接結果が重視される傾向にあります。いくら筆記試験で良い点数をとっても、面接の態度(やる気がない・態度が悪いなど)によっては不合格となる場合もありますから要注意。一部の通信制高校では、高校生活での人間関係に不安を抱える生徒に対し、適切な心のケアやサポートを行うために面接を行っているというケースもあります。
2.面接時には服装や身だしなみに注意
第一印象を左右する身だしなみ
「面接って、ただ質問に答えるだけでしょ?」と思っている人はいませんか?面接官がまず見るのは、あなたの“身だしなみ”です。頭髪や服装などは日頃の生活態度をあらわすもの。逆に言うと、身だしなみをきちんとするだけで、面接官に良い印象を与えられるということ。当日の髪型や服装には十分に気を付けましょう。
【正しい身だしなみチェック項目】
- 茶髪やパーマはNG!
- 前髪は目にかかっていないか
- 制服に汚れや破れなどはないか(クリーニングに出しておくのがベスト)
- 制服を正しく着ているか(詰襟のホックやシャツのボタンは上まで留まっているか、ネクタイやスカーフは曲がっていないかなど)
- スカートの丈やズボンの裾が短すぎ・長すぎないか
- 靴・靴下は汚れていないか
- 爪は短く切り揃えられているか
- ヒゲはきちんと剃られているか
- 装飾品(ピアスやネックレス)を着けていないか
- 化粧やマニキュアはしていないか
制服がない場合は男子であれば「ジャケット+シャツ+カジュアルすぎないパンツ+革靴」、女子は「ジャケット+ブラウス+スカート+革靴」など制服に準じた服装でのぞみましょう。また、雨天の場合は、試験会場で靴の汚れを確認するのを忘れずに!
3.面接の入室&退室のマナー
入退室の流れは頭に入れておこう!
さて、実際の面接はどのような手順で行われるのでしょうか。多くの受験生が戸惑うのが、入室・退室の際の一連の動作のようです。当日パニックにならないためにも、基本的な流れを事前にチェックしておきましょう。特に一礼するタイミングは押さえておきましょう。
【面接の流れ】
▼控室
控室では服装や身だしなみの最終チェックを。静かに順番を待ちましょう。
▼入室
- 2~3回軽くノックをし、「どうぞ」という返事があったら「失礼します」と言います。
- ドアを開け、入室したら一礼しましょう。
- 椅子の横まで進み、「(氏名)です。よろしくお願いします」と言い、再び一礼。
- 面接官から「おかけください」または「どうぞ」と言わたら「失礼します」と言い、静かに座りましょう。※勝手に座ってはいけません。
▼面接中
- 面接官からの質問に、はきはきと答えましょう。
- 椅子には深く腰掛け、背筋を伸ばしましょう。
- 手は、男子は太ももの上に、女子は膝の上で揃えましょう。
▼退室
- 面接終了を告げられたら「はい」と返事をし、立ち上がります。
- 椅子の横で「ありがとうございました」と一礼し、出口へ向かいます。
- ドアの前で再び面接官に向き直り、「失礼します」と一礼してから退出しましょう。※最後の一礼を忘れがち。部屋を出るまで気を抜かないで!
お辞儀や挨拶の仕方に気を付けよう!
さて、一連の流れが頭に入ったところで、次はそれぞれの所作に気を付けてみましょう。意外と難しいのが“正しいお辞儀の姿勢”です。面接中に一礼をする場面は全部で4回。お辞儀が正しくできているかどうかで、面接官に与える印象は大きく変わってきます。
【正しいお辞儀の仕方】
- 背筋をしっかり伸ばしましょう。
- まず、相手の目を見て「失礼します」や「ありがとうございました」などの挨拶をします。
- 言い終わってから、あごを引き、背中を丸めずに腰から折るようにしましょう。
- 手の位置は、男子はズボンのライン、女子は右手を下にして重ねましょう。
※お辞儀の角度についてはそこまで気にしなくても大丈夫。しかし誠意を伝えるためにも45度くらいのお辞儀をするようにしましょう。
このとき、お辞儀をしながら「ありがとうございました」と言ったり、ドアを開けながら「失礼します」と言ったりする、「ながら動作」は絶対NG!それぞれの動作を区切ってひとつひとつ行うように心がけましょう。
4.面接でよく聞かれる質問とは?
定番の3大質問を押さえよう!
さて、面接で最も気になるのが「何を聞かれるのか」ですよね。全日制・定時制・通信制問わず、よく聞かれるのが
- 志望動機
- 中学時代に頑張ったこと
- 高校でやりたいこと
の3つです。これらの質問に対する答えは必ず用意しておきましょう。
【志望動機についての答え方】
最も避けるべきは消極的な理由です。例えば「家から学校が近いから」「試験が簡単で入りやすそうだったから」など。また、「自分に合うと思ったから」「楽しそうだと思ったから」など、漠然とした答えもいけません。「見学会に参加し、学校の雰囲気に好感をもったから」「説明会で在校生の話を聞いて、ぜひ通ってみたいと感じたから」など、その高校でなくてはならない具体的な理由を考えましょう。
【中学時代に頑張ったことについての答え方】
部活動、生徒会活動、ボランティア、勉強など、自分が力を入れてきたことを具体的に述べましょう。もちろん学校以外のことでも構いません。「特に何も目立った活動はしていない…」と悩んでしまう人が多いようですが、目立った活動である必要はありません。例えば「3年間で〇冊の本を読んだ」「委員会の仕事を頑張った」「勉強と部活の両立を頑張った」「無遅刻無欠席を達成した」など、自分の中で頑張ったと思えることを伝えれば問題ありません。また、ただ「頑張った」だけではなく、どのように頑張ったのか・どんなことが大変だったかを具体的に伝えるようにしましょう。
【高校でやりたいことについての答え方】
中学時代に頑張ってきたことを継続してもいいですし(部活動なら、高校でも同じ〇〇部に入り活躍したいなど)、中学時代にできなかった・頑張れなかったことに挑戦したいという内容でもいいでしょう。また、将来就きたい職業などがある場合は、「夢である〇〇に近づけるように高校では〇〇の勉強を頑張りたい」などとしてもいいですね。
他には
- 将来の夢について
- 自分の長所と短所
- 中学時代でいちばん印象に残っている思い出
- 最近気になったニュースについて
- 部活動や生徒会活動について
- 得意な教科・苦手な教科について
- 高校までの交通手段
- 自己PR
なども聞かれることが多いようです。「最近気になったニュース」については、普段から新聞やニュースを見ていないと答えられませんから注意が必要です。また、事前に自己PR用紙などを提出している場合は、それにまつわることも聞かれますから、そのつもりでのぞみましょう。
不登校について聞かれたら…
中学時代に不登校だった場合、「不登校について聞かれたらどうしよう…」と不安になりますよね。実際に、面接では不登校の理由を聞かれることがあります。しかし、それはあなたを不合格にするためではありません。正確な事実を把握し、あなたが高校にきちんと通えそうかどうかを判断するためです。
- いつから学校に行っていないのか
- なぜ学校にいけなくなったのか
- 学校に行っていない間は何をしているのか
- 不登校から学んだことはあるか
- 高校にはきちんと通えそうか
- 高校で学ぶ意欲はあるか
などについて、きちんと答えられるようにしておきましょう。面接だからとポジティブな内容ばかり並べると、逆に面接官に「本当のことを言っているのか」と不信感を持たれかねません。不登校の理由などは正直に伝えつつ、高校進学への熱意もきちんと伝えるようにしましょう。
5.面接での答え方のコツ
その1:噓をつかず正直に答えよう
受かりたいからと言って、噓をついてはいけません。万が一噓がばれてしまった場合、他のすべての発言の信ぴょう性を疑われてしまいます。しかし、噓をつかないのと、全て正直に答えるのとでは少しニュアンスが違います。例えば、その高校を志望した理由が「家から距離が近いから」であっても、それを正直に言ってはいけません。そういった場合は二番目、三番目の別の理由を述べるようにしましょう。正直すぎるのもいけないのです。判断が難しいという人は、親や先生に相談してみましょう。
その2:大きな声で、相手の目を見て答えよう
何気ないことに思えますが、声の大きさは面接においてとても重要です。声が大きいだけで、元気で明るく、積極性のある生徒であるように感じられ、発言にも説得力が生まれます。相手の目を見て話すのも同様です。普段から「自分は声が小さい」と感じている人は大きな声を出す練習をしておきましょう。
その3:質問には要点をまとめて話そう
自分の発言に自信がない人ほど、焦って長く喋ってしまいがち。要点を絞って相手にわかりやすく伝えるようにしましょう。最初にまず結論を述べ、そのあとで「なぜなら~」と理由を付け加えるのがいいでしょう。
その4:わからない時は「わかりません」を言う
質問に対して黙り込んでしまうのは絶対NG。答えに時間がかかる場合は「すみません、少し考える時間をください」、わからないことには「わかりません」、質問がよく聞こえなかった場合は「もう一度お願いします」と素直に言いましょう。
その5:丁寧に、自分の言葉で話そう
面接では、ていねいな言葉で話すよう心がけましょう。ただし、普段言いなれない敬語を多用すると、言い淀んでしまったり、自分の思ったことを率直に表現できない恐れが。フランクすぎる言葉遣いはもちろんNGですが、かしこまりすぎるのも相手に意欲ややる気が伝わらない場合があるので注意しましょう。
まとめ
面接に自信がない人はもちろん、人と喋るのは得意という人も、ぜひ一度家族や学校の先生を相手に面接の練習をしてみてください。お辞儀がうまくできていなかったり、無意識に答えながら髪の毛を触っていたり…、思いがけない自分のクセに気づくことがあるかもしれません。また、練習は自信へとつながります。その自信が、当日あなたの背筋をぴんと伸ばしてくれたり、緊張を和らげてくれるはずです。人生初の面接に気圧されず、堂々とした受け答えができるといいですね。