就学支援金や奨学給付金を利用して高校進学を目指そう

小・中学校と違い、高校進学にはお金がかかりますよね。経済的な理由から、私立高校への進学を躊躇したり、高校進学自体を諦めてしまう人も少なくありません。ここでは、就学支援金や奨学給付金など、高校進学を支援するさまざまな制度について紹介しています。

就学支援金や奨学給付金を利用して高校進学を目指そう

高校進学にはいくらかかる?

「高校進学はお金がかかる!」といっても、実際どのような用途にどのくらいの金額がかかるのでしょうか? 文部科学省がまとめた「平成27年度私立高等学校等授業料等の調査結果について」のデータをもとに、入学金や授業料など、公立高校、私立高校それぞれにかかる具体的な金額を見ていきましょう。

 

受験料と入学金

高校進学にあたり、まず始めに必要になるのが「受験料」と「入学金」です。

受験料
公立高校…2,200円(福岡県、佐賀県は2,100円)
私立高校…約1万円~(平成27年度の全日制高校の平均額は1万5,898円)
入学金
公立高校…5,650円(鳥取県、福岡県、佐賀県、長崎県は5,550円)
私立高校…約15~25万円(平成27年度の全日制高校の平均額は16万2,362円)

公立と私立では金額にかなり大きな差がありますね。両方を併願する生徒を考慮し、私立高校では公立の合格発表日まで入学金の納入を待ってくれる「延納制度」や、入学を辞退した場合に費用の一部を返金する「返還制度」を設けている学校も増えています。事前に調べておくといいでしょう。

 

学校教育費

次に、授業料や修学旅行の費用、学用品など、日々の学校生活にかかる「学校教育費」はどうでしょうか。まずは費用の大部分を占める授業料から見ていきましょう。

授業料
公立高校…年額11万8,800円(月額9,900円)
私立高校…年額約30万円~(平成27年度の全日制高校の平均額は39万578円)

私立高校の授業料は学校によって金額が大きく異なりますから、希望する高校のHPや要項などを調べてみましょう。

また、2014年度からスタートした新制度「高等学校等就学支援金制度」により、対象者は授業料の一部、または全額が免除されることも。この「高等学校等就学支援金制度」については、下の章で詳しく述べていきます。

 

その他の学校教育費

修学旅行や遠足の費用、学校納付金、生徒会費など、授業料以外の学校教育費についてはどうでしょう。文部科学省がまとめた「平成26年度子供の学習費調査」で詳しいデータを見てみましょう。

公立高校私立高校
修学旅行・遠足・見学費30,43651,766
学級・児童会・生徒会費13,09311,623
PTA会費7,05013,833
その他の学校納付金28,536200,992
寄附金1522,207
教科書費・教科書以外の図書費21,08122,600
学用品・実験実習材料費16,11416,591
教科外活動費39,84045,892
通学費45,25373,525
制服20,23628,056
通学用品費9,2469,716
その他4,0604,801
合計235,097481,602

(円)

いずれの項目も公立より私立の方が高い金額となっていますが、「その他の学校納付金」の金額の差が最も大きいようですね。また、公立・私立共に、「通学費」の金額の高さも目立ちます。自転車や徒歩で通える高校に通うことができれば問題ありませんが、電車やバス通学となると、毎月の定期代もバカにはなりません。高校には給食がありませんから、毎日の昼食代を見ておく必要もあるでしょう。高校生活を送るには、公立でも授業料以外に年間約20万円以上の出費を見込む必要があるということがわかります。

 

<追記>

2020年4月からは私立高校も「実質無償化」に!

高等学校等就学支援金制度の改正により、2020年4月から通信制を含む私立高校の「授業料実質無償化」がスタートします。対象となるのは年収目安が590万円未満の世帯で、私立高校の平均授業料を勘案した額まで支給上限額が引き上げられることに。現在就学支援金の対象となっている学校に適用され、新入生だけでなく在校生も対象となります。

通信制高校も!「私立高校無償化」2020年4月からスタート

 

「高等学校就学支援金制度」とは?

「高等学校就学支援金制度」とは?

ここまで、高校生活に必要なお金について述べてきましたが、日本には、それらの費用を援助してくれる制度があります。

「高等学校就学支援金制度」は、2010年から始まった「高校授業料無償化制度」を見直し、2014年に改正された新制度です。
これは、高校の授業料に充てるためのお金を支給する制度で、受給資格を満たせば、国公私立を問わず就学支援金を受給することができます。

 

「所得制限」に注意!

新制度では、受給資格として所得制限が設けられました。
市町村民税所得割額が30万4,200円(年収約910万円ほど)未満の世帯であれば、支援金を受け取ることができます。

 

支給金額はどのくらい?

授業料の金額を上限として、基本的に月額9,900円支給されます。
上で述べたとおり、公立高校の場合は、授業料が年額11万8,800円(月額9,900円)ですから、この支援金ですべてを賄うことができますね。

<一部例外もあります>
国立高等学校、国立中等教育学校の後期課程…月額9,600円
公立高等学校(定時制)、公立中教育学校の後期課程(定時制)…月額2,700円
公立高等学校(通信制)、公立中等教育学校の後期課程(通信制)…月額520円
国立・公立特別支援学校の高等部…月額400円

 

私立高校では「加算支給」の措置も

私立高校をはじめとした、私立中等教育学校の後期課程、私立特別支援学校、国立・公立・私立高等専門学校、公立・私立専修学校、私立各種学校の場合、世帯収入に応じて月額9,900円のさらに1.5~2.5倍の額が支給されます。
低所得世帯の私立高校への進学をバックアップする仕組みといえますね。

  • 年収250万円未満程度の世帯…年額29万7,000円(2.5倍)
  • 年収250~350万円未満程度の世帯…年額23万7,600円(2.0倍)
  • 年収350~590万円未満程度の世帯…年額17万8,200円(1.5倍)

 

受給するには毎年申請が必要

高校に入学したからといって、自動的に就学支援金を得られるわけではありません。進学先の高校で配られる申請書と課税証明書を提出する必要があるので要注意。進級時も毎年6~7月に申請が必要ですから、忘れないようにしましょう。

 

お金はどうやって支払われるの?

この就学支援金は保護者や生徒に支払われるものではありません。学校が国から直接受け取り、授業料に充てる仕組みになっています。私立高校などで、授業料が受給額を上回る場合は、その差額が保護者や生徒に請求されます。

 

「高校生等奨学給付金制度」とは?

では、授業料以外の教育費について援助を受けられる制度はないのでしょうか。2014年度から始まった「高校生等奨学給付金制度」は、低所得者世帯に対し、国公私立を問わず授業料以外の教育費(教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、校外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費等)を給付する制度です。給付型の奨学金制度のため、返済の必要はありません。

 

対象世帯となる条件は?

「高校生等奨学給付金制度」を利用できる条件は、以下の3つです。

  • 生活保護受給世帯、非課税世帯であること
  • 保護者、親権者が申請する自治体に住所を有していること
  • 子どもが高等学校等に在学していること(特別支援学校高等部の生徒を除く)

 

給付額はどのくらい?

「高校生等奨学給付金制度」の国が定める補助基準は以下の通りです。

国立・公立高校等私立高校等
生活保護受給世帯全日制等・通信制年額 3万2,300円年額 5万2,600円
非課税世帯全日制等(第一子)年額 5万9,500円年額 6万7,200円
全日制等(第二子以降)年額12万9,700円年額13万8,000円
通信制年額 3万6,500円年額 3万8,100円

 

これらはあくまで補助基準であり、自治体によっては給付額が異なるケースもありますから、詳細は各都道府県の担当窓口に問い合わせてみましょう。

<全国の問い合わせ先一覧はコチラ>

 

「教育ローン」とは?

進学、進級時など一度にまとまったお金が必要になる教育費。一括で用意できない場合は、「教育ローン」を利用するという選択肢もあります。

教育ローンとは、その使いみちを教育関係経費に限定したローンのこと。学生本人が借りるのではなく、保護者や親権者の責任で利用するもので、大きく分けて「国の教育ローン」と「民間が扱う教育ローン」の2つがあります。

 

国の教育ローン

「国の教育ローン」(正式名称「教育一般貸付」)は、100%政府出資の機関である日本政策金融公庫が取り扱う公的な教育ローンとして多くの人に利用されています。

三つの特徴

大きな特徴としては、固定金利・長期返済・無担保の三つが挙げられます。

「国の教育ローン」の金利は年1.90%(平成28年5月10日現在)。母子・父子家庭、世帯年収が200万円以内の場合は1.50%となります。固定金利制のため、金利が上がるリスクもなく、返済計画も立てやすいというメリットがあります。

返済期間は15年以内と長めに設定されており、交通遺児家庭や母子・父子家庭、低所得世帯などの場合はさらに18年まで延長することも可能です。

また、ローンを組む際につきものの「担保」のことで頭を悩ませる必要もありません。その代わり、(公財)教育資金融資保証基金か、連帯保証人による保証が必要になります。

利用条件は?

扶養している子どもの人数によって、世帯年収の上限額が決まっています。この金額を超えると、ローンを利用することが難しくなるので注意が必要です。また、世帯年収が200万円以下の家庭には優遇制度も設けています。

子どもの人数世帯年収(所得)の上限額
1人790万円(590万円)※緩和条件あり
2人890万円(680万円)※緩和条件あり
3人990万円(770万円)
4人1,090万円(860万円)
5人1,190万円(960万円)

 

融資限度額や使いみちは?

「国の教育ローン」では、子ども一人につき350万円以内の融資を受けることができます。海外の短大、大学、大学院などに在籍する資金として利用する場合には、450万円以内となります。

またその使いみちについては、入学金や授業料、教科書代、通学費などの他に、高校受験にかかる費用や、学生の国民年金保険料に充てることも認められています。

 

民間の教育ローン

「国の教育ローン」の他に、民間にも、銀行や信用金庫、JAバンク、保険会社などが運営するさまざまな教育ローンがあります。

「国の教育ローン」との違いとしては、比較的金利が高く、その代わり融資ハードルが低めで、融資金額が大きいということが挙げられるでしょう。利用条件に世帯年収が含まれていないのも大きな特徴です。審査のスピードが速く、キャンセルもできるので、滑り止め感覚で「国の教育ローン」と並行し申し込む人も多いようです。

 

まとめ

低所得の家庭であればあるほど、家計を圧迫してしまう教育費。学力などと違って「家庭のお金の問題」は子ども自身ではとても解決できない問題ですし、両親に相談しづらいと感じる生徒も多いでしょう。

しかし、「高等学校就学支援金制度」や「高校生等奨学給付金制度」などの支援制度をうまく利用することができれば、高校進学を諦める必要もなくなります。自分は一体どんな支援を受けられるのか、支援制度について是非一度家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。

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