センター試験がなくなる?「教育の2020年問題」とは?

2020年、日本の大学入試のあり方が大きく変わろうとしています。「教育の2020年問題」と呼ばれ、巷でも話題となっているこの改革。2016年の今からじわじわと変化は始まっているようです。ここでは「教育の2020年問題」について詳しく解説していきます。

センター試験がなくなる?「教育の2020年問題」とは?

「教育の2020年問題」とは?

 

センター試験がなくなるってホント?

「センター試験がなくなる」という噂を聞いたことはありませんか?2014年頃から各方面で話題となっている「教育の2020年問題」。この改革を推し進めているのが、文部科学省内の中央教育審議会(中教審)です。

「教育の2020年問題」とは、「2020年から高等学校と大学の教育内容を変えよう!」という国の方針に伴ってもたらされる、様々な教育改変のこと。もちろんその中には大学入試も含まれます。まだ詳しい内容は決まっていないものの、中教審によれば、現在のセンター試験は2019年度で廃止となる予定。2020年度からは新しい入試制度がスタートすることとなります。

2017年5月17日に文科省より発表された「大学入学共通テスト(仮称)」最終案:
センター試験どう変わる?文科省が新テスト実施案を公表

 

変化の直撃を受けるのは 2002年度生まれ。でも油断は禁物!

この2020年度に大学受験に挑むのが、2017年春に中学3年へと進級する学年です。この話を聞いて、「自分には関係ない」と思った人もいるのでは?

それがそうでもないのです。完全実施は2020年度からとされていますが、個別入試に関しては、本年度から新しい入試制度を導入している大学もちらほら。「教育の2020年問題」は、これから大学受験を控えるすべての学生に影響を与えると言っても過言ではないのです。

 

なぜ今入試制度の改革が必要なの?

そもそもなぜ今、このような改革が進められているのでしょうか?

それは、「社会に出てから求められる力」と「高校の試験や大学入試で求められる力」のミスマッチにあります。中教審は、今後の時代を生きる上で必要となる資質・能力として、以下の「学力の3要素」を唱えています。

①十分な知識・技能

②それらを基盤にして答えが一つに定まらない問題に自ら解を見いだしていく思考力・判断力・表現力などの能力

③これらの基になる主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度

今の入試制度は学力や暗記力に頼った内容が多く、思考力や判断力、表現力はあまり必要とされません。しかし、社会に出てからは②や③の能力を求められる場面の方が圧倒的に多いのです。これからの国際社会で十分に活躍できる人材を育成するために、高校や大学の教育から変えていこうというのが、この改革の大きな狙いなのです。

また、深刻な少子高齢化も大きな要因の一つ。いわゆる生産年齢人口が激減してゆく中で、少しでも労働生産性を向上させるために、教育の改革は欠かせない国家施策なのです。

 

「教育の2020年度問題」以降、具体的に何が変わるのか

各大学の入試はどう変わるの?※以下の内容は2016年3月に公表された「高大接続システム改革会議」の「最終報告」に基づいています。今後の検討によっては内容が変更される恐れがありますので、ご注意ください。

 

センター試験が無くなる

2019年度で廃止されるセンター試験に代わり、新しく行われるのが「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」です。

 

「高等学校基礎学力テスト(仮称)」とは

「高等学校基礎学力テスト(仮称)」(以下基礎学力テスト)は、高校で身につけるべき学力が備わっているかどうか、学力の到達度をチェックするテストです。希望参加型で行われ、試験は個人ではなく学校単位で実施されます。実施時期や回数、対象学年については、各学校での判断に委ねられており、試験の結果は調査書に記入され、大学側が高校での学力を把握するための参考資料となります。

ただし、2022年度までは「試行実施期」として、基礎学力テストの結果を大学入試に利用しないことが決まっています。

【開始時期】2019年度より実施

【対象科目】国語、数学、英語(選択受験も可能)の3教科。共通必履修である「コミュニケーション英語Ⅰ」「数学Ⅰ」「国語総合」が上限となります。また、英語は「話す」「書く」「聞く」「読む」の4技能を測る内容が検討されています。

【出題内容】基礎的な「知識・技能」を測る問題が中心。バランスを見ながら、「思考力・判断力・表現力」を見る問題も出題されるとのこと。

【試験方式】コンピューターを利用して実施。複数の試験結果を比較できる「IRT方式」を導入することが検討されています。

 

「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」とは

今行われているセンター試験の後継に位置づけられるのが、この「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」(以下学力評価テスト)です。大きく変わるのは、記述式問題の導入でしょう。対象科目は「国語」と「数学」で、短文の記述問題を想定しているとのこと。難易度は今のセンター試験より上がると見られています。また、以前から議題に上がっている、試験を年複数回実施する案については、引き続き検討中となっています。

【開始時期】2020年度より実施

【出題内容】「思考力・判断力・表現力」を重視した問題が中心。基礎学力テストと同様に、英語は「話す」「書く」「聞く」「読む」の4技能を重視する方向です。

【試験方式】選択式の他、記述式問題も導入。また、選択式でも「正解が一つに限られない」など、より深い思考力・判断力が問われる内容の問題が出題されるようです。基礎学力テストと同様に、コンピューターの導入も検討されています。

 

大学の個別試験が変わる!

センター試験だけでなく、各大学が行う個別試験の内容も大きく変わります。

 

アドミッション・ポリシーに注目を

中教審は、入試制度の改革にあたり大学側に対し、

①「卒業認定・学位授与の方針」(ディプロマ・ポリシー)②「教育課程編成・実施の方針」(カリキュラム・ポリシー)
③「入学者受入れの方針」(アドミッション・ポリシー)

の三つの方針を明確にすることを求めています。

大学側に求める学生像を考えさせることで、ペーパーテストのみに頼らず、より学生の「人間性」を重視する試験を行うよう促しているのです。また、学生も大学側がどのような人物を求めているかを把握できるため、これまでの「偏差値重視」の大学選びに比べて、入学後のミスマッチを減らすことができます。

 

「学力の3要素」を多面的に評価する方法へ

「学力の3要素」のうち、「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」は学力評価テストである程度評価することが可能です。個別試験では、3つめの「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を重視するものが多くなると見ていいでしょう。大学入学希望理由書や面接、グループディスカッションを取り入れるなど、ちょうど今のAO入試や推薦入試に近い入試方式へ変わってゆくと予想されています。

近年、多くの国立大学がAO入試や推薦入試を導入し始めたのも、この影響と言われています。

 

AO入試・推薦入試の学力不問に“待った”が

一方で中教審は、学力試験を一切行わないAO入試や推薦入試を実施している大学に対しても改善を求めています。学力試験を経ずに入学した学生が、大学での学業に支障を来すケースが増加しているからです。それを回避すべく、AO入試や推薦入試においても、「学力の3要素」をバランスよく評価できる仕組みへ変えていくべきとの見方が出ているのです。

 

英語は「聞く」「話す」能力も問われる

グローバル人材の育成が叫ばれる今、各教科の中で最も変わろうとしているのが「英語」です。基礎学力テスト・学力評価テストでも、「話す」「書く」「聞く」「読む」の4技能を重視することが示されましたが、各大学の個別試験でも同様の傾向が見られます。

民間の英語検定(英検、TOEIC、TOFLEなど)を活用する大学も増えており、例えば、「一定のスコアを取得していれば英語の試験が免除される」、「スコアを得点に換算して加点する」など、導入方法も様々です。この英語検定の利用が広まれば、高校の英語の授業も「読む」「書く」中心から、「聞く」「話す」も取り入れた内容へと変わっていくことが予想されます。

 

もう始まっている!各大学の新型入試

新しい入試制度が本格始動する2020年を前に、各大学ではすでに新たな取り組みが始まっています。具体的な各大学の動きについて見ていきましょう。

 

慶應義塾大学の「未来構想キャンプ」

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)が2011年から現役高校生を対象に実施しているのが「未来構想キャンプ」。SFCのキャンパスを舞台に、高校生とSFCの教員がさまざまな研究テーマについてグループワークを行います。このワークショップでの活躍が認められると、SFCのAO入試の出願資格として認められ、1次試験の書類審査を「必ず」通過できるようになります。

また、2016年からスタートしたのが「キャンパス滞在型」のワークショップ。なんと1泊2日で行われ、教員と共にひとつ屋根の下で過ごすというもの。これで好成績をおさめた学生は、大学の研究プロジェクトにインターンとして参加する権利が得られます。

 

お茶の水女子大学の「新フンボルト入試」

お茶の水女子大学は、現行のAO入試をモデルチェンジした「新フンボルト入試」を2017年度入試からスタートさせます。

一次選考では、大学の教授が行う「プレゼミナール」に参加し、授業レポートを提出します。二次選考では、文系は「図書館入試」、理系は「実験室入試」を実施。「図書館入試」は2日間に渡って行われ、図書館で文献や資料を調べながら課題を解決していくというもの。「実験室入試」では丸一日をかけて、各学科の専門性に即した実験や、高校での学びを活かした課題研究発表などが行われます。

 

大阪大学の「世界適塾入試」

大阪大学で、2017年度から導入されるのが「世界適塾入試」です。「グローバル社会で活躍する優れた人材を多様に集積することを狙い」とし、AO入試と推薦入試を全学部で行うというもの。これに伴い、一般入試後期日程が廃止となります。

 

東北大学の「国際バカロレア入試」

国際バカロレア(International Baccalaureate:以下IB)とは、1968年に設置されたIB機構が提供する教育プログラムのこと。これを修了すれば、国際的に通用する大学入学資格が得られます。

文部科学省が、2018年度までにIBの認定校・候補校となる高校を200校まで増やすという目標を掲げたことから、日本でも注目を集め始めたIB入試。東北大学では、2017年度からIB取得者を対象とした「国際バカロレア入試」を開始します。他にも早稲田大学や慶應義塾大学など、多くの大学がIB入試を実施しています。

 

まとめ

2020年の大改革へ向け、めまぐるしく変わってゆく大学入試制度。検討段階である今は、気分が落ち着かない中高生も多いことでしょう。

ひとつ言えることは、大学入試は「解答用紙」だけではなく、「人」を見る入試へと変わってゆくということ。高校3年から本腰を入れて…という従来の考え方では、対応が難しくなるかもしれません。

目の前の勉強や試験に本気で取り組むことが、今できる最も有効な受験対策と言えるでしょう。

 

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