「引きこもり」とは?引きこもりの定義と統計データ

厚生労働省のデータによると、「引きこもり」は約70万人いると言われ、大きな問題になっています。しかし、「引きこもり」とはどんな状態のことを言うのでしょうか?またどうして「引きこもり」になってしまうのでしょうか?さまざまなデータを元に解説していきます。

「引きこもり」とは?引きこもりの定義と統計データ

広義の「引きこもり」は約70万人

「引きこもり」と一口に言っても、その状態は人それぞれです。自分の部屋から出られない人もいれば、部屋からは出られても家からは出られない人、近所のコンビニなどであれば一人で外出できる人、趣味に関する外出ならできる人など、とにかく色々な人がいます。

厚生労働省では、「引きこもり」を次のように定義し、状態ごとに次のように呼んでいます。

「引きこもり」とは

様々なできごとが理由で、学校に行ったり仕事をしたり、家族以外の人と交流したりすることを避け、6カ月以上自宅に留まり続けている状態。
買い物などで外出することがあっても、他の人と交流することが無い状態。

「狭義の引きこもり」とは、

  • 自室からほとんど出ない
  • 自室から出ても自宅からほとんど出ない
  • 普段は家にいるが、近所のコンビニなどには外出する

「引きこもり」と聞いて皆さんがイメージするタイプの多くは、この「狭義の引きこもり」です。上記のような「狭義の引きこもり」に当たる人は、23.6万人いるとされています。

「広義の引きこもり」とは、「ふだんは家に居るけれど、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する」タイプの人です。「広義の引きこもり」に該当する人は46万人にも上るとされています。

いずれの状態でも、人との関わり・社会とのかかわりが無いか極めて少ないのが特徴です。友達がいないという人も珍しくありません。

厚生労働省の調査によると、現在「引きこもり」と呼ばれる状態にある人は、全体で69.6万人にもなると言われており、大きな問題になっています。

また、引きこもりの高齢化も目立ってきています。
若い時にひきこもってしまい、そのまま年齢を重ね、気が付けば40歳を超えていたという引きこもりの人も増えてきているのです。

実は、厚生労働省が発表している69.6万人という数字も、15〜39歳までに限定した調査なので、40歳以上も合わせれば引きこもりの人数はもっと多いと考えられています。

そうなると再び自分の部屋や自宅から出て、通学や就労といった社会とのかかわりと持つことが難しくなります。

もし自分自身や、家族が引きこもりになってしまったら、早いうちに何らかの行動を起こしましょう。

 

引きこもりになった年齢・理由は?引きこもりの実態調査

ここでは厚生労働省が、平成27年度に行なった「若者の生活に関する調査報告書」から、引きこもりに関するさまざまなデータを見ていきます。

引きこもりの実態調査を見てみよう

引きこもりになった時の年齢

  • 14 歳以下…12.2%
  • 15~19 歳…30.6%
  • 20~24歳…34.7%
  • 25~29 歳…8.2%
  • 30~34 歳…4.1%
  • 35~39 歳…10.2%

15歳〜24歳だけで全体の約65%以上を占めており、高校進学、大学進学、就職など、人間関係や生活環境の変化が起こる時期に引きこもりが発生しやすいようです。

 

引きこもりの状態になってからの期間

  • 6ヶ月~1年…12.2%
  • 1~3年…12.2%
  • 3~5年…28.6%
  • 5~7年…12.2%
  • 7年以上…34.7%

1年以上が約9割にも達し、3割以上が7年以上という結果に。一度引きこもりになってしまうと、長期化しやすい傾向が読み取れます。

 

引きこもりになったきっかけ(複数回答可)

  • 不登校(小学校・中学校・高校)…18.3%
  • 職場になじめなかった…18.3%
  • 就職活動がうまくいかなかった…16.3%
  • 人間関係がうまくいかなかった…16.3%
  • 病気…14.2%
  • 受験に失敗した(高校・大学)…6.1%
  • 大学になじめなかった…4.0%
  • その他…30.6%

「その他」については、「無気力」「特に理由はない」「インドアなので」「特に思いつかない」「会社が営業譲渡された」「好きな事をしていたいから」などのアンケート調査が出ています。

いずれにしても、不登校や身近な人との関係が上手くいかなくなってしまったり、何らかの挫折したことがきっかけで引きこもりになってしまうことがわかるのではないでしょうか。

ちなみに、平成22年度の同様の調査では「不登校」を理由とした人が11.9%でしたので、最新の調査では数値が大幅に大きくなっています。代わりに、「病気」を理由とした人が23.7%から14.2%に減少しています。

 

ひきこもりの状態について、関係機関に相談したいか

  • 非常に思う…4.1%
  • 思う…4.1%
  • 少し思う…24.5%
  • 思わない…65.3%

 

ひきこもりの状態をどのような機関なら相談したいか(複数回答可)

  • 親身に聴いてくれる…30.6%
  • 無料で相談できる…22.4%
  • 心理学の専門家がいる…16.3%
  • 精神科医がいる…16.3%
  • 自宅から近い…16.3%
  • 同じ悩みを持つ人と出会える…12.2%
  • 匿名で相談できる…12.2%
  • 医学的な助言をくれる…6.1%
  • 自宅に専門家が来てくれる…4.0%
  • 公的機関の人や民間団体である…2.0%
  • どのような機関にも相談したくない…28.5%

「関係機関に相談したいと思わない」という人が65%以上という結果に。一度引きこもりになってしまうと、「立ち直りたい」という気力すらも失われてしまうのかもしれません。

とはいえ、「どのような機関なら相談したいか」というアンケートでは、「相談したいと思わない」人の割合はだいぶ減っていますので、相談相手次第では、引きこもりから立ち直るきっかけは作れるようです。

医学や心理学の専門家からの助言も求められていますが、「親身である」「同じ悩みを持つ人と出会える」といった、「共感」欲求も高くなっています。また、「無料」「近所」といった、気軽さも必要なようです。

 

まとめ

一度引きこもりになってしまうと、そこから立ち直るのはとても大変です。

ひきこもっている期間が長ければ長いほど、もう一度社会に出ていくことが難しくなります。長期に渡って引きこもりを続けていると、生活のリズムが乱れ、精神疾患を発症してしまう場合もあります。うつ病やパニック障害、対人恐怖症などの病気が原因で引きこもりになった人であれば、その病気が悪化してしまう恐れもあるのです。

また、引きこもっている人の中には、統合失調症が原因で引きこもっている人も少なくないと言われています。なかには家族や身近な人に暴力をふるってしまう人もいます。

一時はひきこもっていたけれど、今は引きこもりから立ち直り、いきいきと社会で活躍している人もたくさんいます。芸能人の中にもひきこもっていた経験がある人がいるのです。

ひきこもってしまったら、早めに専門機関に相談するようにしましょう。本人だけでなく家族の人も相談できるので、気軽に相談してみてください。

 

引きこもりに関する支援機関に関しては、「引きこもりに対する公的機関のサポートとその利用方法」で紹介しています。

 

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