大学入試ってどんなことするの?受験の仕組みや流れを理解しよう!
センター試験や一般入試、AO入試など、いろいろな単語が飛び交い複雑なイメージのある大学入試。受験勉強を始める前に、そのしくみについてしっかりと理解しておきましょう。ここでは、入試の流れや国公私立の違いなど、大学入試に関する基礎知識をまとめています。
入試の種類にもいろいろある
一昔前までは、「大学受験と言えば一般入試」というイメージがありましたが、最近は入試方式の多様化が進んでいるようです。
現在行われている大学入試は、大きく「一般入試」「推薦入試」「AO入試」「センター試験利用入試」の4つに分けられます。
(文部科学省平成27年度入学者選抜実施状況の概要より)
文部科学省によるデータを見ると、この15年で推薦入試やAO入試枠による大学入学者数が大幅に増加していることがわかりますね。それぞれ、選考方法や実施する日程などがまったく異なりますから、自分に合った入試方法を選びましょう。
まずは、この4つの入試方法の違いについて説明していきます。
学力勝負の「一般入試」
私たちが大学入試と聞いてまず思い浮かべるのが、この一般入試でしょう。
出願資格などは特になく、高校卒業資格を持っていれば、誰でも受験することができます。国公立と私立では大きくしくみが異なりますが、国公立ではセンター試験が実施される1月中旬から、私立ではセンター試験の終わった1月下旬から受験スタートとなり、基本的には“学力勝負”であると考えていいでしょう。詳しくは下の章で解説していきます。
高校生活が重視される「推薦入試」
推薦入試とは、文字通り、誰かに推薦をもらって受験する入試のこと。その種類は大きく「指定校制推薦」と「公募制推薦」の二つに分けられます。
「指定校制推薦」とは、大学が指定する高校の生徒にのみ出願資格が与えられるというもの。狭き門ではありますが、校内選考により推薦枠が獲得できた場合は、ほぼ100%の確率で合格することができます。
そして、国公私立を問わずほとんどの大学が実施しているのが「公募制推薦」です。成績基準などの大学ごとの出願資格を満たし、在籍する高校から推薦書をもらえれば誰でも受験することができます。
推薦入試の場合、基本的には他大学との併願を認めない「専願」が条件となりますが、私立大の公募制推薦のなかには、併願を可としている大学もあります。選考方法は書類審査や小論文、面接が主。高校での学習成績や部活動の内容なども重視されます。中には、センター試験を課すケースも見られます。
自己アピールがカギとなる「AO入試」
最近よく耳にする「AO入試」という言葉。AO入試とは、「アドミッションズ・オフィス入試」の略称で、大学が提示する「アドミッション・ポリシー(大学側が求める学生像)」に、学生がマッチしているかどうかで合否を決定する入試方式のことです。つまり、学力ではなく、学生の意欲や熱意、考え方を重視する入試といえるでしょう。この「アドミッション・ポリシー」は大学によってさまざま。事前にチェックしておくようにしましょう。
選考方法は小論文や面接など。「対話重視型」と呼ばれる面接を重ねる方式と、小論文やエッセイ、志願理由などを提出し一次選考を行ってから面接を行う「書類・論文重視型」があります。いずれにせよ、自分をどれだけアピールできるかがポイントでしょう。
効率よく出願できる「センター試験利用入試」
センター試験を受験するだけで、複数の大学・学部に同時に出願できる「センター試験利用入試」。主に私立大が導入している制度で、一般入試と比べて受験料が1万5000円程度と安く、地元の会場で受験できるため、金銭面や精神面で受験生にかかる負担が少ないのがメリットといえるでしょう。ただし、募集定員は少なく、難易度は高め。国公立大学を第一希望にしている受験生が併願するケースも多くみられます。
国公立大学入試のしくみと試験の流れ
一般入試:全国一斉、一発勝負のセンターがカギ
国公立大学の一般入試は、「センター試験+二次試験」という、二段階方式で行われます。
まず1月中旬にセンター試験が行われ、自己採点した結果を踏まえて、希望大学へ願書を出すという流れ。多くの大学がこのセンター試験で「5教科7科目以上」の受験を課しており、「センターを制する者が受験を制す」とも言われています。
二次試験は前・中・後期の3日程(中期日程は公立のみ)。前期日程で合格した大学に入学手続きをした場合、中・後期で出願した大学・学部には合格できませんから、第一志望は前期日程で受験するのが鉄則です。
前期日程は筆記による学科試験が主で、後期日程では論文や面接が中心となります。
おおまかなスケジュール
10月~ | センター試験出願 |
1月中旬 | センター試験 |
2月上旬 | 二次試験出願(前・中・後期ともに同時に出願) |
2月下旬~ | 前期日程試験 |
3月上旬 | 前期日程合格発表 |
3月中旬 | 中期日程試験
後期日程試験 |
3月下旬 | 中期・後期日程合格発表 |
推薦入試・AO入試:現状ではまだまだ少数派の“狭き門”
文部科学省によれば、平成27年度の推薦入試での国公立大学への入学者は全体のわずか12.1%。AO入試にいたっては2.7%でした。募集人員も少なく、成績基準やセンター試験を課す大学が多いのが特徴です。
国立の場合、推薦入試は「公募制推薦」のみで、「指定校制推薦」は行われていません。公立では一部「指定校制推薦」を実施しているところもあります。また、地方大の医学部に多いのが「地域枠推薦入試」です。医師不足緩和のため、将来地元で勤務することを出願条件としており、2016年度入試では37の大学で実施されました。
推薦・AO枠は今後増加傾向に
最近では、二次試験の後期日程を廃止する代わりに、推薦入試やAO入試を導入する大学も増えてきています。2016年度には、東京大学や京都大学も推薦入試やAO入試を導入し話題となりました。今後も、多くの国立大学が推薦入試、AO入試を取り入れていくと見られています。
おおまかなスケジュール
推薦入試(センター試験免除)
11月上旬~ | 出願
選考 |
11月中旬~1月中旬 | 合格発表 |
推薦入試(センター試験を課す)
10月~ | センター試験出願 |
12月上旬~ | 出願 |
1月中旬 | センター試験 |
1月下旬~ | 選考 |
2月~ | 合格発表 |
AO入試
8月~ | 出願 |
11月~ | 選考 |
12月~2月 | 順次合格発表 |
私立大学入試のしくみと試験の流れ
一般入試:何度でもトライできる!が強み
私立大の一般入試は、各大学が独自に用意した試験問題で行われます。最大の特徴は、受験のチャンスが何度もあるということ。各大学の試験日はバラバラですから、日程が重ならなければ何校でも受験することができます。また、同じ学部学科でも複数の入試方法があり、併願すれば合格の可能性をアップさせることも可能。しかしその分、受験料や交通費の負担も増えますから、よく考えて出願するようにしましょう。
バラエティに富んだ入試方法
文系は「英語、国語+数学・地理・公民から1教科」、理系は「英語、数学、理科」の3教科型が基本。受験科目が1、2科目のケースもありますが、その分倍率も上がるので注意が必要です。
ほかにも、得意科目で点数をのばせる「選択科目型」や「得意科目重視型」、全学部を一斉に受験できる「全学部統一入試」、都合の良い日を選んで受験できる「試験日自由選択制」など、さまざまな入試スタイルが導入されています。
一部の大学では2月下旬から3月にかけて、後期日程(2次募集)が行われることも。
おおまかなスケジュール
12月~1月 | 出願 |
1月下旬~ | 入学試験 |
2月中旬~ | 合格発表 |
2月下旬~3月 | 後期日程試験 |
3月中旬 | 後期日程合格発表 |
センター試験利用入試:単独型と併用型の2タイプ
別名「センター利用」や「センタープラス」とも呼ばれ、私立大学の多くが実施しているセンター試験利用入試。しくみは「単独型」と「併用型」という二つのタイプに分かれます。
「単独型」とは、センター試験の結果のみで選考する入試方式で、出願するだけで自動的に合否が決定するもの。受験科目は1~2科目から、5~6科目と、大学・学部によってさまざまです。
「併用型」は、「センター試験+大学独自の個別試験」によって合否を決定するタイプ。個別試験では小論文や適性検査などが行われる場合もあります。
おおまかなスケジュール
単独型
9月下旬~ | センター試験出願 |
1月中旬~ | センター試験
出願 |
2月~ | 合格発表 |
併用型
9月下旬~ | センター試験出願 |
1月中旬~ | センター試験
出願 |
2月~ | 個別試験 |
2月下旬~3月 | 合格発表 |
※大学によっては出願期限がセンター試験より前の12月となっているところも。事前に確認しておきましょう。
推薦入試:入学者数は一般入試に次ぐ多さ
文部科学省データによると、平成27年度に推薦入学で私立大学へ入学した人は実に全体の40.1%にも上ります。私立大学においては、推薦入試は一般入試と並ぶメジャーな入試方法といえるでしょう。
自分に合った入試スタイルを選ぶのがポイント
国公立と違い、さまざまな方式で実施されている私立大の推薦入試。ほとんどの大学が「指定校制推薦」と「公募制推薦」の両方を採用しています。
さらに細かく見ていくと、
- 指定校制推薦
- 公募制一般推薦入試
- 公募制特別推薦入試
- 自己推薦
の4パターンに分けられます。
「公募制一般推薦入試」とは、選考内容に成績基準を設けたもので、募集定員は比較的多め。一方、「公募制特別推薦入試」は、スポーツやボランティア、文化活動などへの取り組みをアピールできる入試です。学力に自信がある人は前者、部活動などで活躍した人は後者がおすすめです。
「自己推薦」とは、その名の通り、自分で自分を推薦する入試のこと。他の三つと違い、高校からの推薦は必要なく「自己推薦書」によって自分をアピールします。一見AO入試と混同しそうですが、生徒のやる気や将来性を重視するAO入試に対し、自己推薦は過去に残した実績を重視する傾向にあります。
おおまかな流れ
指定校制
7月~9月 | 校内選考 |
9月~ | 出願 |
10月下旬~11月 | 選考 |
11月中旬~ | 合格発表 |
公募制
10月~ | 出願 |
10月下旬~11月 | 選考 |
11月中旬~12月 | 合格発表 |
AO入試:大学によって異なる選考方法。早めの情報収集を
今や、私立大学のほとんどが実施していると言われているAO入試。推薦入試に比べ出願時期が早いのが特徴で、選考期間も長いため、早めの情報収集、受験対策が必要です。
選考方法は小論文、面接のほかにも、セミナーやグループディスカッション、模擬講義など大学によってさまざま。芸術系や体育系の学部では実技試験や課題提出がある場合もあります。また、最近では成績基準を課す大学も増えているので注意が必要です。
私立特有の「エントリー」システム
エントリーとは、出願の前に行うもので、AO入試の出願資格を得るための手続きのようなもの。ウェブから登録可能な大学もあれば、オープンキャンパスへの参加やエントリーシートの提出が必要な場合もあります。大学によっては「エントリー=出願手続き」となるところも。どちらなのか不明な場合は、各大学へ問い合わせましょう。
おおまかな流れ
出願する場合
8月~12月 | 出願
選考 合格発表 (大学により日程は大きく異なります) |
エントリーする場合
5月~7月 | エントリー |
8月 | 出願(必要ない場合も) |
9月~10月 | 選考
合格発表 |
まとめ
大学入試と聞くと受験勉強のことにばかり意識が行きがちですが、高校での過ごし方や面接を重視する入試方法もたくさんあることがわかりました。国公立大学と私立大学では、そのしくみや日程にも大きな違いがありますね。
まずは自分の気になる大学がどのような入試方式を導入しているのか、確認するところから始めてみましょう!