発達障害かも…と感じたら?さまざまな支援センターに相談してみよう

「発達障害」の意味や症状が広く認知されるようになって「我が子は発達障害では?」と考えることがあるかもしれません。そう思ったら支援センターに相談してみましょう。ここでは発達障害を疑う症状や、支援の受け方などを簡単にまとめました。

発達障害かも…と感じたら?さまざまな支援センターに相談してみよう

発達障害の特徴と症状

発達障害といっても、大きく3つのタイプに分けられます。それぞれに特徴的な症状があるので、簡単に見ていきましょう。

 

学習障害

学校に通うようになって表に出てくるのが学習障害です。学習障害は、算数や文字の読み書きなど、「ある特定の分野が極端に苦手」な状態を言います。

「文字を書くのは他の人と同じようにできるけれど、どうしても本や教科書が読めない。」
「算数の計算がどうしてもできない。」

そんな症状はありませんか?

いろいろな工夫をして頑張っているけれど、どうしても上手くできない場合は学習障害を疑ってみる必要があるでしょう。

学習障害の人の「苦手」は、障害が無い人の苦手とは比べ物にならないほど強い「苦手」です。がんばっても上手くできるようにならなくて、落ち込んだり、「自分はダメなやつだ」と思ってしまう人も珍しくありません。もし、小さいころからずっと克服できない「苦手」があるのなら、それは学習障害の症状かも知れません。

 

ADHD(注意欠陥多動性障害)

ADHDは、じっとしていられなかったり、人よりもすごく忘れっぽいという症状が出る障害です。じっと座っているとそわそわ・もじもじしてきたり、何度言われても忘れてしまうことはありませんか?

それはADHDの症状かも知れません。

ADHDには2つのタイプがあります。

テストなどでのケアレスミスが多かったり、忘れっぽかったりする「不注意タイプ」と、じっと座っていたり静かにしているのが苦手な「多動タイプ」です。

不注意タイプの人には

  • よく忘れ物をする(何度も繰り返し忘れ物をする)
  • ケアレスミスが多い
  • 集中力が続かない。すぐ別のことに気を取られてしまう

といった特徴があります。

多動タイプの人には

  • 落ち着きがない
  • 静かにすべき場所で、騒いでしまう
  • 人よりもとてもおしゃべりである
  • 順番待ちなどが苦手で、列に割り込んでしまう

といった特徴があります。

もし、これらの症状で本人や周囲の人が困っているようなら、一度専門家に相談したほうが良いでしょう。

 

広汎性発達障害

広汎性発達障害の中には「自閉症」や「アスペルガー症候群」「高機能自閉症」といった病名が含まれます。

この3つは、はっきりと区別できるものではありません。その境目はとてもあいまいです。最近では、この3つを併せて「自閉症スペクトラム」と言ったりもします。

知的な発達の遅れや言葉の遅れが見られる場合は「自閉症」、知的な発達の遅れを伴わない場合は「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」と言われていますが、人によって症状の強さは違います。症状が強ければ強いほど、早い時期に障害を見つけやすく、専門家のサポートにつなげやすいのは言うまでもありません。

しかし現在は「比較的マイルドな広汎性発達障害」が増えてきていると言われています。一見、周りの人に上手になじんでいるように見えても、本人はとても辛い思いをしている場合が少なくないのです。

広汎性発達障害の人は、次のようなことが苦手です。

  • 相手の表情や態度、しぐさなど言葉以外のものでコミュニケーションをするのが苦手
  • 思ったことをそのままはっきりと言ってしまう
  • 言葉を文字のまま受け取ってしまうため、冗談や例え話が通じにくい
  • パターンやきまりのあるものが好き
  • 「これだけは絶対ゆずれない!」という強いこだわりを持っている
  • 急な予定変更があると、パニックになってしまう
  • 同い年の友達よりも、年上の人や年下の子と遊ぶのが好き

中には、感覚がとても敏感で、大きな音や人の声、臭いや光などが苦手な人も居ます。また、人に触られるのが嫌な人も居ます。

発達障害の症状や特徴はさまざまですが、その特徴のために周りの人と上手に関わることができず、とても寂しい思いをしている人もたくさんいるのです。

「自分では頑張っているつもりなのに、いつも失敗してしまう。」
「気が付くと、いつもひとりぼっちになってしまっている」
「なんだか他の人と自分は違うような感じがする」
「自分がまるで宇宙人になったような感じがする」

こういった疎外感を経験すると、自分で自分のことが嫌いになってしまったりします。そうなると、気分が落ち込んで、楽しいことが考えられなくなり、うつ病などを発症してしまうこともあるので注意が必要です。

発達障害の症状が原因で引き起こされる心の病を「二次障害」と言います。二次障害を防ぐことは、楽しく元気に毎日を過ごすためにとても大事なことです。発達障害の人は、障害の無い人に比べて、得意なことと不得意なことの差がとても大きいのが特徴です。

算数は苦手だけれど、絵を描くのは得意
ボール遊びは苦手だけれど、虫や植物に関することなら誰よりも知っている

自分や子どもの苦手なことやダメなところにばかり目を向けず、ぜひ得意なことや他の人よりも上手にできることも探してみてください。発達障害だからといって落ち込んだりせず、「これも個性だ」と考えましょう。

とはいっても、やはり発達障害があると生きづらいことに変わりはありません。そんな時は、次に挙げるような相談機関や支援を上手に利用しましょう。

 

「発達障害かも?」と思った時に相談に乗ってくれる支援センター

自分の子どもが発達障害かも知れないと思ったら、まずは各都道府県にある「発達障害支援センター」に連絡してみましょう。「発達障害情報支援センター」のホームページで、各都道府県の「発達障害支援センター」を探すことができますよ。

まずは専門家に相談!「発達障害支援センター」以外にも

  • 保健センター
  • 保健所
  • 子育てセンター
  • 児童相談所

でも相談できるので、自分の判断だけで「発達障害だ!」と決めつけず、まずは専門家に相談してみてください。

相談できる場所は、住んでいる場所によって違います。どこに相談していいか困っている時は、住んでいる自治体の福祉課や児童福祉課などで情報収集をしてみてはいかがでしょうか。

もし、小さなころから診てもらっているお医者さんがいるのなら、その先生に相談するのも良いでしょう。小児科や小児精神科が専門のお医者さんであれば言うことなしです。一人で悩んでいても、どんどん暗い気持ちになっていくだけです。ほんの少し勇気を出して、専門家に相談してみましょう。

今はネットなどで簡単に顔の見えない誰かに相談できる時代ですが、回答をくれる多くの人は専門家とは限りません。相談をするときは必ず専門家に相談し、正しい知識を得るようにしてください。

 

発達障害の診断を受けるには

発達障害の診断を受けると、不安な気持ちが楽になるという人も少なくありません。

しかし、今は発達障害の診断をしてもらいたい人がたくさんいて、発達障害に詳しい先生の病院で診てもらうには一か月以上待たなければならないことも珍しくありません。

発達障害の診断を受けるには、健康診断を上手に使いましょう。親御さんも、不安があったらきちんと先生に話すようにしてください。「他の子よりも言葉を話すのが遅い」とか「他の子と明らかに違う」といった症状から発達障害が見つかるケースもあります。

発達障害の診断をしてもらうのなら、小児精神科または精神科を受診しましょう。子どもの心に詳しい先生が理想です。子どもの心に詳しい先生がどこに居るかは、住んでいる場所の保健センター・保健所や発達障害支援センター、子育て支援センターなどで情報収集するのが確実です。

 

支援を受けよう

発達障害を持つ人が元気に明るく毎日を過ごすには、周りの人の理解と協力が欠かせません。もし理解や協力を得られないと、心に大きな傷を負ってしまい、心の病を発症してしまうこともあるのです。

発達障害を持つ人は、そうでない人よりも個性的な人が多いので、子どものころはいじめのターゲットになりやすいという面があります。それがもとで引きこもりになったりする人も少なくありません。しかし、発達障害の特徴や生きづらさを、少しだけマイルドにする方法はたくさんあるのです。

ぜひ当事者グループやカウンセリング、地域のNPOや社団法人などを訪ねてみてください。それぞれの支援機関によって、得意な支援のタイプや利用時間などが異なるので、まずは情報収集することから始めましょう。

発達障害支援センターや子育てセンターなどには支援機関の情報が集まっています。申し込み方法や利用方法も支援機関によって異なるので、しっかり情報収集をして利用を始めましょう。

発達障害は、周りの人のサポートがあるのとないのでは、「生きやすさ」に大きな差がでてくるものです。また、一人ひとり症状が異なり、二人として同じ症状の人は居ないと言われています。その人その人に合った工夫や支援を行うことで、その人の得意なことを活かし、その人の苦手や不便を少しだけマイルドにすることもできるので、積極的に支援を受けてください。

 

発達障害は、他の人よりも少しだけ個性的なため生きづらさを感じてしまう障害です。つらい思いや悲しい思いをすることや、寂しさを感じることもそうでない人よりずっとずっと多いでしょう。時には、自分で自分が嫌いになってしまうこともあるでしょう。

でも、発達障害があったとしても、私たち一人一人はこの世に一つだけの個性を持った大切な存在です。

「どうして自分はダメなんだろう」
「発達障害だから、自分はつらく悲しいまま生きるしかないんだ」

などと思わず、顔を上げて胸を張って毎日を生きていきましょう。発達障害を持つ人の生きづらさは、適切な支援を受ければ必ず軽減します。

 

出典
ハートクリニック:学習障害(こころの病気のはなし/専門編)
発達障害情報・支援センター

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