スクールガーディアンが目にしたネットトラブルの実例とは?

中高生にとってスマートフォンが欠かせないツールとなった今、どのようなネットトラブルが多く起きているのでしょうか?「スクールガーディアン」運営スタッフへのインタビュー第2回は、これまでに実際に発生した事例、またトラブルに巻き込まれた場合の注意点などについて、詳しくお伝えしていきます。

スクールガーディアンが目にしたネットトラブルの実例とは?

アディッシュ株式会社 スクールガーディアン事業部 運用責任者/平田優さんインタビュー(2)

 

2017年現在でスクールガーディアン導入校は全国190校。今後も増加傾向に

「通信制高校ガイド」では、同社のスクールガーディアン事業部・運用責任者の平田優さんに行なったインタビューの模様を全3回に分けてお送りしています。

第1回目では、「スクールガーディアン」の活動理念や事業内容について詳しくお伝えしました。

第1回「ネットトラブルを早期発見!スクールガーディアンの活動とは?」

 

第2回目となる今回は、子どもたちを取り巻くネット・ソーシャルメディア環境について、スクールガーディアンとして活動する中で発生したネットトラブルの実例などについてお伝えしていきます。また、実際に子どもたちがネットトラブルに巻き込まれないようにするには、大人はどういった対策を取れば良いのか?についてもお聞きしました。

 

——2007年にスクールガーディアンの事業を開始してから10年が経ちますが、現在2017年時点での契約件数というのはどれくらいなのでしょうか?

 

平田さん:全国の私立学校で約190校、それに加えて自治体(公立学校)などに導入していただいています。
——契約校190校の小・中・高の内訳はどのようになっていますか?

 

平田さん:私立の学校様はほとんどが中高一貫ですね。ただソーシャルメディア、ネットを使用する層が低年齢化してきているので、自治体(公立学校)の中には、小学校も対象に取り入れてる学校もあります。
——導入校の中で、スマートフォンの所有率というのはどのような割合なのでしょうか?

 

平田さん:割合的としてはかなり高いと思いますね。導入校での講演で「スマホを持っていますか?」と質問して挙手をしてもらうようにしていますが、中学校で半数〜8割ぐらいはスマートフォンを所有しています。最近、ある小学4〜6年生、200名を対象に講演を行った際に、、6割くらいはスマートフォンを持っていました。

 

——小学生で6割ですか!? それは導入校が私立で電車通学の生徒さんが多いからでは……?

 

平田さん:いえいえ、実は今お伝えした学校は、熊本市の公立小学校の講演会です。私もちょっと驚いたんですが……。もちろん、地域性などもあるかもしれません。

 

——確かに周りのみんながスマートフォンを持っているとなると、やはり欲しいですよね。

 

平田さん:そうなんですよ。ただ「LINEを使っていますか?」という質問になると、やはり小学生では使っている生徒さんはあまり多くなかったです。ですが、質問を「LINEを知っていますか?」に変えると、もう8〜9割は「LINE」という言葉はもちろん知っていて「中学生になったら使いたい」といった感じでしたね。

 

——保護者の方は多分LINEを使っていますし、家族間の基本的な連絡手段がLINEという家庭も多いですよね。「お父さんからスタンプきたよ」ってお子さんとお母さんで見せ合ったりとか……。

 

平田さん:ありますよね。家庭の中でおそらく「LINEで連絡してね」とか、「LINE」という言葉が普通に使われていて、もう小さい頃から耳にしてると思います。

 

——それは確かに講演の対象が低年齢になるのは分かりますね。
このサービスを運用してきた10年というのは、スマホが爆発的に普及したという点で市場や環境が大きく変わったと思いますが、導入件数はどのように推移しているのでしょうか?

 

平田さん:有難いことに、導入学校数は右肩上がりで、いまだに増えている状況です。2007年にこのサービスを立ち上げた時には、「ネットパトロール」という言葉も存在しなかったのですが、この10年で学校様も、ネット上をパトロールし、啓発していくことが必要だと感じているようで導入校様は増えていっていますね。

 

実際に寄せられるネットトラブルの内容とは?

実際に寄せられるネットトラブルの内容とは?.

 

——実際にネットトラブルが発生する割合はいかがでしょうか?

 

平田さん:学校の中で解決できているもの、こちらが把握していないものもあるかもしれないので、正確な数字としては分からないのですが…。リスクレベルに関わらず、日々2〜3件はトラブルが発生し、相談をいただきます。

 

——ネットトラブルが発生しやすい時期などはありますか?

 

平田さん:中学生などでスマートフォンを初めて持った時、半年ぐらい経ってちょっと使い方に慣れた時に油断して、危険度の高い投稿をしてしまうケースもあるように思います。

 

——具体的にどういったネットトラブルの相談が多いのでしょうか?

 

平田さん:今はTwitterのなりすましなどが多いですね。本人が関与していないところで、勝手に本名・フルネームを使われ、Twitterアカウントが作られていて、その中で他人の誹謗中傷を言っているようなケースです。要は、なりすまして誰かを陥れようとしてるわけですよね。

 

——悪質ですね。

 

平田さん:誰もが見える中でのなりすましというケースが増えてきていますね。生徒さん同士であればいいんですが、教員間でのトラブルが起きたりもしています。それと少しずつ増えているのが、「お付き合いしてる時、相手に淫らな写真を渡してしまい、後々取り返しのつかないことになってしまった」といったリベンジポルノ系のトラブルですね。

 

——生徒さんだけでなく先生方にもネットのトラブルというのはあるわけですね。

 

平田さん:スマートフォンやメール、LINE、ソーシャルメディアなどを使いこなしている先生方が増えてきて、スマートフォンが当たり前にある学生生活を送ってきている若い先生には「これくらい、大丈夫だろう」という自己判断で、危険な使い方をしてしまっている場合があるんですよね。

 

——落とし穴というか……。

 

平田さん:そうなんです。以前、生徒さんが若い先生に関連する過去の投稿などをネット上から見つけてきてさらす、といった事例がありました。

 

——確かにインターネットは過去のものが残りますよね。

 

平田さん:その先生自身が書き込んだわけではなく、学生時代の友達がその先生のことについて投稿していた内容を見つけてきたんですね。その事例の場合はそれほど問題のある内容ではなかったのですが、やはりインターネットでは過去の情報を探せてしまうという怖さがあります。先生自身も自分の過去をさらされたということを実際に体験されたので、それは学校としても生きた事例として今後も活かしていただければと感じています。

生徒さんに対しても、「今後大人になって結婚、就職などのタイミングでインターネットにおいて名前を検索した時に、過去の不適切な投稿が全て見れてしまう、インターネットの世界というのはそういうものなんだよ」といった意識を持って、使える環境や権利を得たならば責任を持って使いましょう、と伝えています。

 

——なるほど。実体験をからめて、意識を高めてもらえますね。

 

平田さん:そうです。なので、先ほどお話したような講演をただ聞いて「私は関係ない」「私、そんな失敗しないわ」というような生徒さんも多いんですが、実際に今の環境、事例などと照らし合わせて深掘りしていくと、「あっ!」と気づいてくれたり。そういった講演をした後は、アンケートの内容で「はっとさせられました」という声があったりします。

 

——ただ、なかなか緊張感を継続するのは難しいですよね。

 

平田さん:すぐに忘れて日常に戻ってしまいますよね。なので、学校の先生方とも「“はっとして終わり”で終わるのでは勿体ないので、定期的に啓蒙活動などを行なっていく必要がありますよね」という話をしています。

 

プロ目線からのインターネットやSNSと付き合う際の注意点、アドバイスとは?

 

——では、プロの目線からインターネットやSNSと付き合う際の注意点、アドバイスなどをいただけますか?

 

平田さん:ほんの一例ですがご家庭内でのルール作りだったり、フィルタリングの環境を整えることですね。ルール作りに関してもただ作って終わりになるのではなく、子どもの成長に合わせて学齢別に変えていかないといけません。

 

——確かに使い方は変わっていきますよね。

 

平田さん:その段階に合わせて、付き合う友達や環境が変わりますから。「なぜ、いけないのか?」ということがきちんと子どもたちに伝わっていないと、ただ単に上から縛られているだけになってしまいます。まずは、そのアプリを使いたい理由などをきちんとご家庭内でお話していただきたいですね。

許可制にしたり、学齢別でルールを変えたり、きちんと守れているかどうか、という点についても定期的にお話をする機会を持っていただきたいです。単純に縛るだけでは、お子様も窮屈になりますし、自分だったら絶対反発するなと思います。

 

——では、もし子どもがネットトラブルやネットいじめに巻き込まれた場合、保護者の方や関係者が注意すべきことを教えてください。

 

平田さん:いつでも相談してもらえる関係性を築くことと、スマホ画面のスクリーンショットなどを撮って、証拠を残しておくことです。

LINEで変な画像がきたり、イヤなコメントが来た場合、見たくないのですぐに消しちゃう傾向になるんですけれども。保護者の方や先生方に講演会で「どこに相談するにしても、証拠がなければどこも掛け合ってもらえないので、相談するならスクリーンショットなどでその証拠を残しておいてくださいね」とお話をしています。

 

第3回「ネットの見守りをより強化!いじめ匿名通報アプリ「Kids’ Sign」」へと続きます。


 

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