N高起業部、第1期生から高校生起業家が誕生
角川ドワンゴ学園 N高等学校の部活「起業部」は、2019年2月15日、第1期生の2名によるチームが会社を設立し、起業を果たしたと発表した。高校生の起業家としてサービスの開発に打ち込んでいるという。
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起業活動開始わずか8か月後に会社設立
学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校(以下、N高)の起業部は、2019年2月15日、第1期生の起業を発表した。これは、N高代々木キャンパスで開催された第2期生を選考する特別審査会の開会に先立ち、第1期生の活動報告として実施された。
N高起業部とは、生徒が起業を目指す部活動。N高はネットだけの通信制高校として2016年4月に開校し、翌2017年4月には通学コースを新設したが、N高起業部は、通学コースのプロジェクト型学習「プロジェクトN」に取り組んできた生徒のうち、特別審査会の審査を突破した生徒が参加している。
N高起業部の第1期生は、2018年2月の特別審査会を経て誕生し、活動を開始している。今回、起業を果たしたのは第1期生の鈴木颯人さん(3年)と山田陽大さん(3年)の2名によるチームで、設立した会社は株式会社EasyGo(イージーゴー)。活動開始から約8か月後の10月に法人登記を行った。2人ともN高のプログラミングクラスに所属し、会社では鈴木さんが代表取締役、山田さんが取締役を務める。
第1期生から起業家が誕生したことに手ごたえ
2人が取り組んでいるのは、「erabee」(エラビー)というアプリの開発だ。これは、2枚の画像を投稿し、2択の投票によって多数の意見をカジュアルに集めることができるもの。例えば、ある女の子が彼氏とのデートでどちらの服を着ていくか迷っている場合、それぞれの服を着た画像を撮影して投稿すると、どちらが良いかの意見が集まり、参考にできるというわけだ。
今回の活動報告は、第2期生選考の特別審査会を控えた生徒や、特別審査会で特別審査員を務める高宮慎一氏(株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー)と夏野剛氏(株式会社ドワンゴ代表取締役社長・慶應義塾大学特別招聘教授)を前にして実施。鈴木さんと山田さんが交代でマイクを握り、アプリの開発に至った考え、コンセプト、収益を見込んだビジネスモデル等を順に発表していった。
株式会社EasyGoは、N高起業部の法人登記第1号である。これについて夏野氏は、「第1期生の中から会社を設立し、事業にトライする人間が出てきたのはうれしいこと。もしかするとこの2人は大学へ進学せず、このままベンチャー起業家となっていくかもしれません。(N校起業部の)今後にとって非常に手ごたえを感じています」とコメントした。
高校生だからこその起業を目指す価値
鈴木さんと山田さんのN高起業部での1年間は、決して順風満帆に進んだとは言えない。2018年2月に入部後、シェフが訪れたお店を探せるグルメwebサービス「CHEFDELI」を立ち上げたが、さまざまな課題が上がったことから8月にサービスをクローズ。9月から新たに「erabee」の開発を開始し、10月に法人登記を行い、12月にクローズドβ版をリリースした。しかし、見直しのため「erabee」もいったんクローズし、現在は開発を進めている段階だ。
起業したものの、ビジネス化にはまだ至っていないが、しかし、失敗を繰り返してきた経験が貴重だと2人は次のように話しました。
「失敗したと思った時に、なにがどのようにダメだったのか、どうすればうまくいきそうかいろいろと考えました。ですので、失敗したからこそ今があるのだと感じています。むしろ、高校生だからこそ失敗しても守ってもらえますし、大人と比べて起業に打ち込む時間がたくさんありますし、幼い頃からインターネットやプログラミングに触れてきて経験もあります。まだ若い高校生だからこそチャレンジする価値があると思います」
「erabee」を再びリリースし、ベンチャー企業としての成功を目指す2人。その一方で、後輩となる第2期生をサポートし、N高起業部の活動を盛り上げていきたいと意気込む。N高起業部の今後に注目したい。
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「N高等学校」とは
2016年4月に開校した「N高等学校」は出版・IT大手の角川ドワンゴグループが運営する通信制高校。通常の授業はネットやアプリを使って学習しているが、東京・代々木や大阪・心斎橋など全国8か所に通学できるキャンパスを持つ(2019年2月時点)。学習用アプリで有名進学予備校の講師から授業を受けることができ、すでに東京工業大学、筑波大学、早慶上智など難関大学への合格実績も多数。