鹿島学園高等学校 通信制課程 2016年度(平成28年度)卒業式
3月9日(木)、鹿島学園高等学校 通信制課程(本校:茨城県鹿嶋市)の卒業証書授与式が行われました。ビッグゲストによる祝辞や、同校の提携校である音楽学校メーザー・ハウス高等部の在校生による生演奏ありと、趣向を凝らした式となりました。
目次
異端であることを恐れない人に成長してほしい
700席を超える東京・渋谷区文化総合センター大和田さくらホールで卒業を迎えたのは、日本各地に300カ所以上もある鹿島学園高等学校のキャンパスの中で、首都圏エリアに通った310名の卒業生です。普段は違うキャンパスにそれぞれ通ったり、ネット指導などを受けていますが、スクーリングや学校行事で生徒同士の交流の機会も多かった生徒さんたち。たくさんのレポートをこなしながら卒業できたという達成感、そして喜びは一緒です。
卒業証書授与に続き、校長式辞、理事長祝辞、それから優秀な生徒さんを表彰する特別表彰などが行われました。
校長式辞では、石塚孝男校長の言葉が副校長によって読み上げられました。
著書『文明論之概略』で福沢諭吉は、「現在、通論常識と思われているものも、初めは異端妄説と言われるが、それが世の中に優れたものであればいずれ皆が納得する通論常識となってく」と述べています。その一文を引用しながら、
「最初は異端と言われても、堂々とアイデアを世に問うこと。その時に大切なのは気概、気持ちです。この気持ちを忘れなければ思いがけない答えが見つかるかもしれないし、それが通論常識になっていくかもしれません。果敢に常識に立ち向かう異端の気持ちを忘れないようにしましょう」とエールで締めくくられました。
また、大森伸一理事長は祝辞で、オーストリアの著名な精神科医であり心理学者でもあるアルフレッド・アドラーの「マイナスをプラスに変える力、これは人間だけに与えられた能力である」という言葉を紹介しながら、「皆さんは新しい門出となり、素晴らしい未来が待っています。悩み苦しむことがありますが、そんな時でもこの言葉を思い出し、また母校である鹿島学園や友達を思い出してください」と激励のメッセージを送りました。
たくさんの方々からのお祝いの言葉に応えるように、卒業生の代表が答辞を述べました。
「役者になる夢を抑えきれずに上京し、鹿島学園に入学しました。そしてカシマアクターズに所属し役者になるべく新しいスタートを切りました。演劇に関する幅広い専門的な技術を学べる学校はないので、とても貴重な経験ができたと思います。今後は役者としての活動と大学進学を両立することに決めました。一人ひとりと熱心に向き合い、時には厳しく指導してくださった先生に感謝しています。ありがとうございました」
まさにビッグゲストがサプライズで登場!
式の最後にはスペシャルゲストとして、第64代横綱であり、現在はプロレスラーや総合格闘家、タレントとして活躍する曙太郎さんが登場しました。
陽気な音楽と共に身長2mを超えた大柄な曙さんがゆったりと登場すると、ゲストの存在が知らされていなかった卒業生や保護者の皆さんから驚きの声が上がりました。広々としたステージに立っても曙さんの大きさは圧倒的! スケールの大きさが感じられました。
曙さんは、ハワイまでスカウトに来ていた親方に目をかけられ、日本に行って力士になることを決めたそうです。学生時代はバスケットボールをしていたので運動量という面では辛くはなかったけれど、日本語も日本の伝統もまったく理解していなかったため、相当苦労したこと。
そして永遠のライバルとなる若乃花(現、花田虎上)、貴乃花(現、貴乃花親方)としのぎ合った思い出を語った後に、
「同期であった若貴にとにかく負けたくなかった。相撲にしても、乗っている車にしても、着る物にしてもとにかく全部負けたくなかった。僕は横綱になりたかったわけではない。でもあの2人に負けたくないと頑張った結果、いつのまにか横綱になっていた。だからライバルって大事です。
社会に出るといろんな人、そしていろんなことがあります。嫌なことがあったら、今まで勉強したこと、気持ちを思い出してほしい。今から日本をしょって立つのはあたなたち。僕は日本が大好きなので、がんばってください」
とエールを送りました。元横綱の力強いメッセージはきっと卒業生の心に響いたことでしょう。
音楽学校メーザー・ハウス高等部による心温まる演奏
曙さんの登場で大いに盛り上がった卒業証書授与式。その閉式後は、同校の提携校である音楽学校メーザー・ハウス高等部の在校生から卒業生に向けて歌のプレゼントがありました。
ステージに登場したのは、卒業式で演奏したいと立候補した9名。3つのバンドにわかれて、一曲ずつ演奏しました。
大きなステージ、そしてたくさんの観客の前で少し緊張した様子の皆さんでしたが、演奏が始まると堂々としたものです。歌に込められた思い、そして自分たちの世界観を一気に開花。そして客席からは温かい拍手が送られました。
旅立ちの場に華を添えるという大きな役目を終えた生徒さんたちに、ステージに立った感想を聞いてみました。
「私はこうした大きなステージで歌うことが良い経験になると思って参加することにしました。実際にステージに上がったら、緊張のあまり歌詞が飛んでしまいましたが、明るい曲なので手拍子をお願いしますとお伝えしたら、本当に手拍子が返ってきてびっくりしました。盛り上がってもらえて嬉しかったです」(1年生・ボーカル担当・塩田さん)
「すごく緊張しましたが、ステージに上がる前に先生から、緊張するかもしれないけれど、自分たちが楽しんで演奏をしていないと聞いてくれる人たちも楽しめない。だからなるべく堂々と楽しそうに見せることが大事とアドバイスをいただいていたので、堂々とするように心がけました」(1年生・ギター担当・佐藤さん)
「大きなステージで歌うことを、とても楽しめました。やっぱりホールは音響がいいので声も響くし、歌っていて気持ちよかったです」(2年生・ボーカル担当・鈴木さん)
達成感に満ちた感想が次々と出てくる生徒さんの顔を見ながら、指導にあたる大野淳一先生は、「年に何度かこうした卒業式や入学式などで演奏できる機会があります。普段は校内のライブハウスで経験を積んでいますが、大きなステージを経験すると、そのライブハウスでのパフォーマンスが全然違ってくるんです。一人でも多くの生徒たちに経験してほしいし、本校ではそうしたバックアップを積極的に行っています」と語ってくださいました。
演奏する曲の選び方から、卒業生の皆さんに贈る言葉、さらに3バンドの演奏の順番を考えるといった準備は、生徒さんが自主的に行ったそうです。また完成度の高い演奏になるよう、個々が自主練に励んだとのこと。そうした努力は、「卒業を祝いたい」という温かい気持ちになって歌に込められ、この日に巣立っていった鹿島学園310名の卒業生にもしっかりと届いたのではないでしょうか。
音楽学校メーザー・ハウス高等部とは
音楽学校メーザー・ハウス高等部は、ボーカルやシンガーソングライター、ギター、ベース、ドラム、パーカッションなどの楽器、さらに作詞、DTM作曲、DJ、PA音響レコーディング、照明まで幅広い実技を基礎からしっかり学ぶことができます。スタジオ設備を無料で開放し、すぐに練習できる環境を整えながら、少人数制のレッスンや、校内にあるライブハウスで定期的にライブイベントを開催しながら実践を重ね、プロになるための実力を育てていきます。
また学習面は鹿島学園高等学校がサポート。レポートの作成や単位認定テスト、スクーリングを受けながら、全日制と同等の卒業資格を得ることができます。音楽カリキュラムに特化した履修科目が充実、そして自身の“好き”を伸ばすことができる学校です。