クラーク記念国際高等学校が、模擬国連を開催

2019(令和元)年12月24日、クラーク記念国際高等学校・横浜キャンパスで、「国際移住と開発」をテーマとした模擬国連が行われました。同校首都圏11キャンパスから総勢約80名の有志生徒が参加し、「国際移住と開発」をテーマに白熱した討論を展開しました。

 

生徒たちが各国の大使となり、「国際移住と開発」をテーマに討論

模擬国連とは、参加者が各国の大使になりきり、実際の国連の会議を模擬するものです。国際的な合意形成の仕組みを理解し、国際問題の解決を考えるプロセスを体験できるとあって、昨今では
世界中の大学・高校において授業に採用されるほか、 学生の課外活動にも取り入れられています。

クラーク記念国際高等学校が模擬国連を実施するのは、一昨年に続き2回目。大半の生徒が模擬国連初参加となった今回のテーマは、「国際移住と開発」(第3回全国高校教育模擬国連大会で採択された議題)です。生徒たちは、それぞれ担当となる国の視点から、「頭脳流出」「非正規移民」「困難に直面する移民の保護」という3つの論点について解決策を考えなくてはなりません。
それぞれ国の大使として国際問題をしっかりと理解し、戦略的な政策を立て、交渉力や協調性を以って提案することで、担当国や国際社会にとって有意義な決議案を作り上げることを目指します。

この日に向けた準備期間として、生徒たちに与えられたのはおよそ1カ月半。それぞれ割り当てられた国の政策や議論のテーマについてリサーチして挑みました。

議長団を務めたクラーク記念高等学校の生徒たち

議長団を務めたクラーク記念高等学校の生徒たち

自国のプラカードを挙げての出欠確認

自国のプラカードを挙げての出欠確認

 

立案した政策を他国に対してアピール

開会宣言、議題選択、出欠確認ののち、まず行われたのは「発言国登録」です。ここでは、「公式討議」での発言(スピーチ)を望む国の大使が登録の意思を表明します。今回は26カ国の大使が発言国として名乗りを上げました。

そしていよいよ「公式討議」がスタートしました。登録国の代表大使1名が、自国の提案を1分以内で述べなくてはなりません。ここでどれだけ自国の政策をアピールできるかが重要で、どの国の大使も堂々とスピーチを行いました。

公式討議の後は、「非着席討議」です。この時間は、自由に席を立ってさまざまな国の意見を聞き、同じような考えを持つ国を見つけたり、意見が対立する国と交渉したりすることができる重要な時間です。

模擬国連では、この公式討議と非公式討議を繰り返し行うのが特徴です。今回の模擬国連では、計3セット行ったのち、DR(Draft Resolution=決議案)を提出するスケジュールですが、DRの提出には、その政策に協賛する国を10カ国以上(兼任不可)集めなくてはなりません。

事前に準備したメモを読み返しながら、スピーチの順番を待つ登録国の大使たち

事前に準備したメモを読み返しながら、スピーチの順番を待つ登録国の大使たち

堂々と前を向いてスピーチをするシリア大使

堂々と前を向いてスピーチをするシリア大使

メモをとりながら、登録国の大使のスピーチに耳を傾ける大使たち

非着席討議では、熱弁する大使の姿が会場のあちこちで見られました

積極的に他国とコミュニケーションをとるブラジル大使

興味のある国には、メモを渡して話す機会をうかがいます

 

討議を重ねたのち、決議案を提出

はじめは他国と探り探りコミュニケーションをとっていた大使たちも、討議を繰り返すうちに、徐々に要領を掴んできたようです。3回目の非着席討議ともなると、それぞれの立場や役割が明確になり、リーダーシップをとって複数の国をまとめる大使、他国同士を引き合わせる役を買って出る大使、いろいろな国と粘り強く交渉する大使など、自分の国がどのように振舞えば有効かを考えながら、それぞれが動いているようでした。

こうして提出されたDRは、日本と、イギリス・フランスが提出国となった2案。いずれも半数以上の同意を得て採択されました。

複数の国が集まってグループが形成される中、各国の調整役に回る大使もでてきました

複数の国が集まってグループが形成される中、各国の調整役に回る大使もでてきました

日本が中心となって協賛国が集まると、思わず拍手が響きました

日本が中心となって協賛国が集まると、思わず拍手が響きました

「火星開発移住」を掲げ、会場を沸かせたイギリス大使のスピーチ


「火星開発移住」を掲げ、会場を沸かせたイギリス大使のスピーチ

 

模擬国連を通じて、生徒たちが学んだこと

模擬国連終了後、5名の生徒に話を伺いました。

まずは、今回、議長の大役を務めた、横浜キャンパス3年の安藤利弥さん。「時間配分に気をつけ、バランスよく公平に進めることを意識しました」と言うように、公式討議では毅然とした態度で進行し、非着席討議では消極的な大使に参加するように呼びかけるなど、しっかりと全体を見ながら会議をコントロールしていました。「台本を読み込んだり、自宅でシミュレーションしたりした結果が出てうれしい」と事前準備が功を奏し、自身も納得の出来栄えだったようです。

中国大使として参加した、横浜キャンパス2年・田中大耀さんと大石純さんは、今回が模擬国連初参加。もともと意見が対立していたイギリスとシリアを引き合わせるなど、イギリス・フランスのDR作成に貢献しました。二人はそうした結果に対して手応えを感じながらも、「準備不足で、理想どおりには動けませんでした」と、悔しい思いを吐露。それぞれ、「自国の考えと他国の共通点を探すことが大切だと感じました。もっと主体的に動けなかったのが残念」(田中さん)、「普段の生活では実感がわかないテーマだからこそ、もっと調べて具体策を示すべきでした。他の国に対してどう働きかけるべきかという視点での準備が必要でした」(大石さん)と振り返り、「日々さまざまなことに興味を向け、次にこうした機会があれば、今回以上に準備をして挑みたい」と口を揃えました。

オーストリア大使として参加した、柏キャンパスの2年生・渡辺晴乃介さんと今村和真さんは、一昨年の第1回模擬国連で1年生ながら優秀賞を収めたコンビです。次々と他国との交渉を進める姿が印象的で、当初は自国でDRを提出しようと意気込みながらも、「どの国が中心になるのが良いのか、場の流れを読むことも大切」と、協力国に回る戦略もさすが経験者といったところです。
それぞれに今回の感想を聞くと、渡辺さんは「今回のテーマは移民問題。自分自身の思想とは違う視点で、物事を考えることの難しさを知りました。その中で、最終的には自分たちのやりたいこともでき、いろんな人も尊重できて良かった」、今村さんは「優秀賞には選ばれなかったけれど、自分では、6つのスキル(=後述)を意識して取り組めたと思います。普段は別のキャンパスで学んでいるクラークの仲間たちと交流できたのも楽しかった」と話してくれました。

さらに5名は、「ブラジル大使は積極的に他国にアプローチしていた」、「イギリス大使は事前準備がしっかりしていた」、「ギリシア大使は他国を尊重して動いていた」、「シリア大使は大国に怯むことなく自国の考えをしっかりと主張していた」と、印象に残った他国を称え、今回自分に足りなかったものや今後取り入れるべき姿勢を、自分自身の経験からだけでなく、他の生徒たちの姿からも学んだようでした。

日頃から学力だけでなく、6つのスキル(表現力、思考力、判断力、主体性、協調性、多様性)をいかに伸ばすかという点に注力しているクラーク記念国際高等学校。今回の模擬国連名は、参加した生徒たちにとって、まさにその6つのスキルを磨く良い経験になったようです。

模擬国連に参加したクラーク記念高校の生徒たち

模擬国連終了後にインタビューに応じてくれた生徒たち。前列は、オーストリア大使の渡辺晴乃介さん(左)と今村和真さん(右)。後列中央は議長の安藤利弥さん、両隣は中国大使の大石純さん(左)と田中大耀さん(右)

 

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