角川ドワンゴ学園、小中学生対象プログラミングスクールを4月に開校
角川ドワンゴ学園は、2019年2月28日、N高等学校のプログラミング教育のノウハウを活かし、小中学生対象のプログラミングスクールを4月に開校すると発表した。ドワンゴの新入社員研修をベースにした実践的なカリキュラムをうたう。
目次
小学生でも優れたエンジニアを目指せるプログラミングスクール

左から夏野氏、吉村総一郎氏(学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校プログラミング教育責任者/Neppsカリキュラム監修)、中根祐氏(学校法人角川ドワンゴ学園Neppsプロジェクトリーダー)
学校法人角川ドワンゴ学園は、2019年2月28日、ドワンゴ半蔵門スタジオで記者発表会を開催。自ら運営するN高等学校(以下、N高)のプログラミング教育のノウハウを活かし、小中学生対象のプログラミングスクール「Nepps(ネップス)」を4月12日に開校すると発表した。
まずは発表内容を整理する。Neppsは小学4年生~中学3年生を対象とし、代々木、横浜、大宮にあるN高通学コースのキャンパス内で平日の夕方と土曜に開校する。その特徴は主に次の4つだ。
(1)初心者から本格的なプログラマを目指せる幅広いカリキュラム
初心者向けに小学生でも使えるプログラミング言語「Scratch」やタイピングからスタートし、徐々に発展的な内容を学習。中級者向けには実社会で通用するプログラミングスキルを学び、上級者では大規模webサービスの構築やAI/機械学習など、優れたエンジニアとして就職できるレベルを目指す。
(2)パートナーによる少人数指導
授業では3~5人の生徒ごとに1人のパートナー(プログラマー)がつく。1人ひとりの力とやりたいことに合わせて各自が「作品作り」に取り組み、質問の受付やアドバイスはパートナーがその場で個別に対応する。自分が作りたいものを作ろうとすることで、課題が生じても乗り越えて力をつけられる。
(3)作った作品を定期的に発表
「LT大会(ライトニングトーク大会)」を3か月ごとに開催し、3か月で作り上げた作品や取り組んできたことを1人5分の持ち時間で発表。定期的に発表の機会を持つことで、資料作成の能力や発表スキルを習得するほか、1年に4つの作品を作り上げることで着実に力を伸ばしていくことを目指す。
(4)最新の教材、書籍、機材を使い放題
開講場所はN高通学コースのキャンパス内で、電源やWi-Fi(無線LAN)を完備。パソコンを持ち込んでの受講や自習をはじめ、教室内の3Dプリンタや電子工作の機材などを利用できる。また、専門書を多数揃えているため、変化の早いプログラミングの世界にキャッチアップできる環境が整っている。

Neppsのスキル

Neppsの1年間のカリキュラム詳細例(初心者)
コンテスト受賞、企業での活躍、実績が高いN高の教育ノウハウ
Neppsの開校には、「N高のプログラミング教育を早くから学びたい」という声が保護者や小中学生から多く寄せられたことが背景にあるという。N高は、ネットで学べる通信制高校として2016年4月に開校し、翌2017年4月からは通学コースもスタートしたが、転入生・編入生を含めた在籍生徒数は2016年4月の1,482名から2019年1月には7,875名にまで増え、2019年4月にはキャンパスが全国13か所に拡大する。
通信・通学の両コースともプログラミング教育を行っているが、そのベースとなっているのは、設立母体である株式会社ドワンゴの新入社員研修プログラム。つまり、N高のプログラミング教育を修了すると、ドワンゴのエンジニアとして働き始めることができるレベルのスキルを身につけられる実践的なカリキュラムというわけだ。
実際、「国際情報オリンピック2018 銅メダル」「パソコン甲子園2018 本選4位」「U-22プログラミングコンテスト 経済産業省商務情報政策局長賞」「中高生国際Rubyプログラミングコンテスト クリエイティブ部門 優秀賞」など、N高生は数々のコンテストを受賞している。
また、身につけたプログラミングのスキルが大学進学へ有利に働き、推薦入試やAO入試等で筑波大学、東洋大学、電気通信大学、慶應義塾大学、キリロム工科大学などに合格。さらに、就職、インターン、アルバイトで働く在校生・卒業生が増え、その働き先は株式会社メルカリ、株式会社マネーフォワード、クックパッド株式会社等と名立たる企業ばかりだ。
こうした実績を上げているN高のプログラミング教育のノウハウを小学4年生~中学3年生にまで広げたのがNepps。これは、小中学生を対象にしたプログラミングスクールがほかにもある中で、大きな差別化であり、強みだと言える。

角川ドワンゴ学園の全体のプログラミング教育
21世紀人はプログラミングができる、ということが必須の武器

ドワンゴ代表取締役・夏野剛氏
2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されるが、今回の記者発表会で夏野剛氏(学校法人角川ドワンゴ学園評議員、株式会社ドワンゴ代表取締役社長)はいまの社会を次のように指摘する。
「21世紀人はプログラミングができる、ということが必須の武器になっている時代だと思います。プログラミングができるということは、コンピュータと会話ができる、コンピュータを仲間にできる、コンピュータを使う側に回れるということです。その点で角川ドワンゴ学園のプログラミング教育を受けるということは、強い武器になると言えるでしょう」。
記者発表会では、現在ある職業の47%が20年後に消える予測があること、これからAI社会が進展するにつれ、モノやサービスを生み出す際、あるいはモノやサービスそのものにコンピュータ(=プログラミング)が広く深くかかわってくることに触れられた。そして、夏野氏は自身のキャリアを重ねつつ、エンジニアはもちろん他の職種にもプログラミングの知識・スキルが重要であると説明した。
「実は私も中学生、高校生のときにゲームを作ったりしてプログラミングの経験がありまして、そのバックグラウンドがあったからこそ私自身のキャリアにおいてコンピュータに対するアレルギーはもちろんなく、面白い技術があればどんどん使っていこうという気持ちでした。つまり、技術に使わせられるのではなく、使う側に立ち、その技術を使い、なにかを作り出せる人間になれるということです。また、プログラミングは論理で成り立っていますので、論理的な思考を養うという点でもプログラミング教育はとても重要だと言えます」。
Neppsは4月12日の開校に向け、代々木、横浜、大宮の3キャンパスで各100名、計300名の受講生数を見込んでいるという。プログラミング教育の必修化を追い風に、N高で実績のある実践的な教育ノウハウを武器に、どれだけの反響を呼ぶか注目される。
【体験授業の日程】
■代々木
- 3月6日(水)、7日(木)、8日(金)、13日(水)、16日(土)、28日(木)、29日(金)、30日(土)
- 4月3日(水)、6日(土)
■横浜
- 3月9日(土)、14日(木)、22日(金)、23日(土)、27日(水)、30日(土)
- 4月4日(木)、5日(金)
■大宮
- 3月15日(金)、23日(土)、27日(水)、28日(木)
- 4月3日(水)、4日(木)、5日(金)、6日(土)
【プログラミングスクール「Nepps」概要】
■名称:Nepps(ネップス)
■内容:小中学生のための実践的なプログラミングスクール
■対象年齢:小学4年生~中学3年生
■開講時間:原則毎週同じ時間に受講
- 水曜、木曜、金曜:①17:15~18:45、②19:15~20:45
- 土曜:①10:00~11:30、②13:00~14:30、③15:00~16:30※上記週9回開講分より週1回から週4回まで申込可能
■費用
- 入学金:10,800円(税込)※開校キャンペーン中につき、4月30日まで無料
- 学費(週1回コース):21,600円/月(税込)
- パソコン利用料:4,320円/月(税込)※希望者のみ。自分で持ち込む場合は不要
■所在地
- 代々木キャンパス:〒151-0053東京都渋谷区代々木2-22-8代々木かえつビル1階(新宿駅から徒歩約8分)
※3月16日までの無料体験は、東京都渋谷区代々木2-23-1 ニューステイトメナー3階となります。 - 横浜キャンパス:〒221-0052神奈川県横浜市神奈川区栄町2-9東部横浜ビル1階(横浜駅から徒歩約10分)
- 大宮キャンパス:〒330-0803埼玉県さいたま市大宮区高鼻町1-20-1大宮中央ビルディング8階(大宮駅から徒歩約11分)
■カリキュラム
タイピングなどの基本操作から大規模なWebサービスの構築や、AI/機械学習まで
- 初心者:基本的なPC操作・プログラミングの基礎・タイピング・2Dゲーム制作
- 中級者:「コード」を書くプログラミング・Webサービス入門・Webデザイン・3Dゲーム制作・スマホアプリ(Android/iOS)
- 上級者:大規模Webサービス・高度なスマホアプリ・AI/機械学習・コンピューターサイエンス(CS)・競技プログラミング
https://www.youtube.com/watch?v=XMNjoC5OBTc
「N高等学校」とは
出版・IT大手の角川ドワンゴグループが運営する通信制高校「N高等学校」。ネットで学べる高校として、2016年4月に開校、今では東京・代々木や大阪・心斎橋など全国8か所に通学できるキャンパスがあり(2019年2月時点)、今後も拡大予定だ。母体がIT企業である強みを活かしたプログラミングの授業や、全国の自治体と提携した職業体験など、ユニークなカリキュラムが多いのが特徴。