大学にはどんな学部があるの?人気の傾向から選び方まで

受験生にとって大きな決断となる、大学の学部選び。何となく理解しているつもりでも、実際にどんな内容の学部なのか理解している人は少ないのではないでしょうか。ここでは、学部の種類やそれぞれの違い、選ぶ際のポイントについて詳しく紹介していきます。

大学にはどんな学部があるの?人気の傾向から選び方まで

最近人気の学部の傾向を知る

 

文系の人気復活!文理の立場が逆転

2008年のリーマンショックの影響で、2010年頃から人気低迷が続いていた文系学部。世の中が就職氷河期に突入したことで、理系学部に比べ“つぶしがきかない”文系学部は就職活動に不利とされてきたのです。しかし、この「文低理高」の流れは2015年に沈静化。2016年度には、はっきりと文系回帰の傾向が見えてきました。

2015年度の志願者数を「100」として表した、2016年度の学部系統別志願者の指数は以下の通りです。全体的に、理系学部の指数が低く、文系学部の人気が上昇しているのがわかります。

学部系統別志願者状況(国公立大)学部系統別志願者状況(私立大)

(旺文社教育情報センターより)

 

文系回帰の理由の一つに、首都圏など都市部での景気回復が挙げられます。以前に比べ就職率が上昇したことで、「文系は就職に不利」というマイナスイメージが徐々に和らいできたのです。

もう一つは、受験科目の変化です。2015年1月から導入されたカリキュラム(新課程)により、センター試験の受験科目数が増加。さらに、出題範囲も広がりました。それにより、理系学部への入試ハードルが以前より上がってしまい、人気が文系学部へと流れたのです。

 

グローバル社会の到来により国際系が躍進

では、文系・理系、それぞれの人気学部を見てみましょう。

文系学部でトレンドとなっているのがグローバル系です。国ぐるみでグローバル人材の育成に取り組んでいる今、この傾向は必然と言えるでしょう。海外留学や、語学の習得など、就職に有利な経験や資格が得られることも人気の理由。

まだ数は多くありませんが、「国際〇〇学部」「グローバル××学部」など、グローバル系の学部を新設する大学は年々増えています。

 

東京五輪へ向けて!?理系では工学部が人気

自動車の自動運転や、ロボット技術など、世界の最先端を行っていると言っても過言ではない、日本のテクノロジー。この分野でノーベル賞を受賞する人も多く、憧れや夢を抱いている学生も多いようです。

また、2020年に迫る東京五輪の影響から、工学部の土木工学科や建築学科、機械工学科も注目を集めています。

 

学部を分類してみよう

 

学部は5つの系統に分けられる

大学の学部は、主に文系の「人文科学系」、「社会科学系」、理系の「自然科学系」、文系・理系の枠組みを超えた「融合系」、学部の枠組みを超えた「学際系」の5つに分けられます。

  1. 人文科学系⇒「人間」や、人間が作り出す「文化」を研究する分野のこと。
    文学部、外国語学部、人文・教養・人間科学部、教育学部など
  2. 社会科学系⇒「社会」の仕組みを研究する分野のこと。
    経済・経営・商学部、法学部、社会・社会福祉学部、国際関係学部など
  3. 自然科学系⇒「自然現象」の原理を解明、研究する分野のこと。
    理学部、工学部、医歯薬学部、看護学部、農・獣医畜産・水産学部など
  4. 融合系⇒文系・理系を問わず幅広い学問を学ぶ学部のこと。
    総合科学部、文理学部、リベラルアーツ学部など
  5. 学際系⇒ 1. ~ 3. の学部の枠組みにとらわれず、分野をまたいで学問と学問の接点(学際)を研究する分野のこと。
    総合政策学部、環境情報学部、国際教養学部など

 

就職にも有利!?増えている融合系と学際系

1. ~ 3. の系統の学部は耳にしたことがある人も多いと思いますが、近年増えているのが 4. と 5. の2つ。さまざまな分野を幅広く学べる融合系や学際系は、「文系・理系をなかなか決めきれない」といった人にもオススメです。

また、これらの学部では、カテゴリーにとらわれない多角的な視点や思考能力を養えるため、今企業が最も求める人材として注目されています。就職先も文系・理系に縛られないため、就職に有利な学部であるといえるでしょう。

学部選びの2つのポイント

学部選びのポイントは?

【1】なりたい職業から選ぶ

さて、学部を決定する際に抑えておきたいのが「職業」と「学部」の関係です。職業によっては、特定の大学・学部を卒業することが必須条件となる場合も。すでに将来の夢が決まっている人は、その職業の特色から大学や学部を絞り込みましょう。

特定の大学・学部を卒業する必要がある職業

⇒ 医師、看護師、獣医師、弁護士など
専門性が極めて高い職業においては、特定の大学・学部の卒業が必須だったり、大学院へ進む必要がある場合も。大幅な進路変更もしづらいため、「絶対に〇〇になりたい!」という強い意志が必要です。

特定の大学・学部に進むと就きやすい職業

⇒ 税理士、教員、図書館司書、社会福祉士など
特定の資格は必要だが、大学や学部は問わないといった職業がこれに当てはまります。例えば税理士などは法学部や経営学部へ、教員は教育学部へ進むと、資格取得がスムーズに。資格に必要な科目単位を効率よく取得できるため、“夢への近道”となるでしょう。

大学・学部を問わないが専門性を求められる職業

⇒ プログラマー、システムエンジニア、マスコミ関連など
「資格必要なし」という職業のほとんどは、大学・学部を問いません。しかし、だからこそ逆に、就職活動時に強みになるアピールポイントが必要です。コンピューター関連であれば工学部、マスコミ関連であれば文学部や社会学部など、職業に関連した学部を選ぶのがいいでしょう。

 

【2】好きな教科から選ぶ

「将来なりたい職業がまだ決まっていない」、または「興味のあるものごとについて深く学びたい」と考えている人は、好きな教科から学部を選ぶのも一つの方法です。

英語が好き

⇒ 外国語学、英文学、歴史学、国際関連学
英語力は、これからの社会で最も求めれられるスキルのひとつ。英語が好きな人に向いているのが、語学や文学、国際関連学などです。英語自体に興味があるのか、英語を使って何かをしたいのか、まずはそこから見極めましょう。

数学が好き

⇒ 数学、物理学、経済学、情報科学
論理的思考に長けた数学好きの皆さんには、物理や数学はもちろん、経済学もおすすめです。経済学部、経営学部、情報科学部なども選択肢に入れると、将来の可能性もぐっと広がります。

国語が好き

⇒ 国文学、英文学、外国語学、心理学、児童学
本を読んだり、文章を書くことが好きな人が多いのでは?国語のみに捉われず、海外の文学や語学を研究するのもオススメです。また、想像力豊かな国語好きの皆さんには、人の心にふれる心理学や児童学なども向いています。

地歴・公民が好き

⇒ 国際関係学、農業経済学、歴史学、文化学、哲学、宗教学、法学、経済学
社会問題に対して高い関心を持ち、観察力や記憶力に優れているのが特徴です。地理が好きな人は国際関係学や農業経済学、歴史が好きな人は歴史学や文化学、公民が好きな人は法学や経済学など、幅広い分野に対応できます。

理科が好き

⇒ 物理学、化学、生物学、地球科学、農芸化学、獣医学、薬学
理科が好きな人の多くは、研究熱心で探求心にあふれています。生物、物理、化学、地学と、自分の興味のある分野をどんどん掘り下げていくのがいいでしょう。

 

何が違うの? 似ている名前の学部に注意!

いざ学部を選ぼうと思った際に、名前が似ていて「何が違うの?」と思ったことはありませんか?多くの受験生が一度は疑問に思う、「混同しやすい学部名」を挙げてみました。

◇人文学部と文学部
人文学部は上の章で述べた「人文科学系」の学問全体を学ぶ学部を指します。一方で文学部は、その中でも「文学」に特化して、歴史や心理学、哲学などを学ぶ学部のこと。しかし、大学によっては文学を学ぶ学部に「人文学部」と名付けている場合もありますから、志望する前にしっかりと確認を。

◇理学部と工学部
理学部は、化学、物理学、地球科学、生物学、天文学などの自然科学の研究を行う学部です。「基礎の理学、応用の工学」とも言われ、この結果をもとに生まれた「応用科学」のうちのひとつ「工学」に取り組むのが工学部というわけです。具体的には、機械工学や電子工学、土木工学などを学びます。

◇英文学部と英語学部
英文学部はその名の通り、英語圏の文学を研究したり、文化や思想を学ぶ学部です。それに対し、英語学科は英語という言語の研究がメインとなります。どちらの学部も英語について勉強することに変わりありませんが、そのアプローチが異なります。

◇経済学部と経営学部
経済学部は、世界のお金の流れや、経済の歴史、金融論、財政学などについて学ぶ学部です。対して、より実践的なのが経営学部。企業規模での運営方法や経営戦略、商取引や流通などについて学んでいきます。実際のビジネス現場を対象としている分、経営学部の方が就職に有利ともいわれています。

 

ちょっと気になる!?一風変わった学部が続々誕生

社会のニーズに合わせて、大学でもさまざまな学問や学部が誕生しています。思わず興味を持ってしまいそうな、ユニークな学部もちらほら。注目度の高い学部をご紹介します。

◇マンガ学部(京都精華大学)
今や日本は世界に誇るコンテンツ強国。政府でも「クールジャパン」と銘打ちアニメやマンガのサブカルチャーに力を入れていますよね。京都精華大学には、日本で唯一のマンガ学部があります。ストーリーマンガコースやギャグマンガコースなど、多彩なコースも魅力です。

◇不動産学部(明海大学)
1992年に誕生した不動産学部。住宅やオフィス、店舗、土地の利用など、住まいや街づくりについて総合的かつ専門的に学びます。欧米諸国では盛んなこの不動産学、日本ではまだ明海大学にしか設置されていない、珍しい学問なのです。

◇危機管理学部(千葉科学大学、日本大学)
近年国内外で多発している、自然災害やテロ事件。これらに対応する「危機管理のプロ」を養成するのが、危機管理学部です。日本では千葉科学大学が初めて設置し、2016年4月には日本大学にも新設されました。

◇健康プロデュース学部(常葉大学)
健康を総合的にプロデュースする知識を身につける学部です。高齢化が進む今、注目されているのが健康的に生活できる期間を指す「健康寿命」。精神的ストレスや、生活習慣病などの社会問題にも取り組みながら、健やかな暮らしを実現するための専門知識を学びます。

◇人間関係学部(大妻女子大学)
生きていくうえで避けては通れない「人との関わり」。人を個体としてではなく社会の一部として捉え研究するのが人間関係学です。「恋愛と結婚の社会学」や「消費行動論」など、身近な出来事から心理学を学んでいきます。

 

まとめ

歴史ある古参学部から、目新しい新設学部まで、選択肢が多すぎて悩んでしまう学部選び。入学後に後悔しないためにも、まずは早めの情報収集を!先生や家族に相談しながら、自分に合った学部を見つけましょう。

 

 

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