発達障害の症状は改善できるのか?【連載3】

発達障害などへ多くの相談対応実績・症状改善実績をもつイデア高等學院の小宮學院長の連載第3回。第2回の記事で発達障害と腸内細菌との関係についてお話しました。第3回の記事は、「では、望ましい腸内環境にするにはどうしたら?」ということについてお伝えしていきます。

発達障害の症状は改善できるのか?【連載2】
発達障害の症状は改善できるのか?【連載1】

発達障害の症状は改善できるのか?【連載3】

食事の目的は、腸内細菌にエサをあげることだった?

どんな細菌が腸内にいるか?が私たちの人生に直結

食事をすることの本当の意義とは、何でしょうか?
それは、私たちの生命に必要な体の活動を維持することですよね。

しかし、食事の大切な目的は、私たちの肉体を作っている細胞1つ1つの働きを維持することだけではなく、もう一つ、

「腸内細菌にエサを与えること」

だ、ということを意識している方はどのくらいいるでしょうか。

腸内細菌が私たちの心身に与える影響は、前回の記事でお伝えした通りです。腸内細菌は、私たちが食べたものをエサにすることで生きています。その腸内細菌が排泄したものが、私たちの体にとって大切な栄養素になったり、遺伝子発現に関わったりしているのです。こうした持ちつ持たれつの関係で生きている私たちの人生は、「どんな腸内細菌が私たちの腸内にいるか」と直結している、と言っても過言ではありません。

それはいいかえれば、私たちの心身の健康に望ましい腸内細菌たちが、私たちの腸内で元気に生息してくれるような食事をすることが大切、ということです。つまり、もっとダイレクトにわかりやすくいうならば、食事は、腸内細菌にエサを与えることでもある、ということなのです。

甘い物を食べたいのは、腸内細菌が欲しがっているから?

たとえば、カンジダ菌。赤ちゃんのおむつかぶれや、女性の膣の炎症などで知られているため、耳にしたことのある方も多いと思います。カンジダ菌は、真菌(カビ)の仲間で、常在菌の一つです。健康な人の腸にも存在し、ビフィズス菌などの栄養源にもなっています。

このカンジダ菌は、実は私たちの体の「糖」の代謝機能と密接に関係しており、

「もっと糖が欲しい」

という異常状態を私たちの体に引き起こすことがわかっています。

甘い物を欲しがるのは、単なるその人の食の好みだ、程度に考えられてきましたが、毎日食べないと気が済まないとか、たくさん食べたい欲求というのは、実は腸内にカンジダ菌が増えているサインなのかもしれないのです。知らず知らずのうちにコントロールされているところが、怖い気もしませんか。まさに、腸内細菌にエサを与えている共存関係になってしまっている良い例ですよね。

補足:カンジダ菌と発達障害、うつ病、パニック障害などとの関係

カンジダ菌が腸内で異常増殖すると、カビの仲間特有の「菌糸」を伸ばしてカンジダ菌が腸管全体にべっとりと広がるようになります。

こうなると、2つの望ましくない状態が起こります。

1つは、カンジダ菌から分泌された酵素によって腸管壁を傷つけられ、未消化タンパク質や菌・ウイルスなどが腸管壁から血液中に漏れてしまう「リーキーガット症候群」と呼ばれる状態を引き起こすこと、もう1つは、「アセトアルデヒド」という毒性の物質が、カンジダ菌からたくさん産生されてしまうことです。

その結果、

  • 自閉症スペクトラム障害、ADHDなどの発達障害
  • 不安障害、強迫性障害、統合失調症
  • 慢性の頭痛や慢性疲労症状
  • 抑うつ症状、パニック障害

などの様々な症状を起こすことがわかっています。

発達障害の症状とも関係する腸内環境を改善するには?

では腸内環境を改善するにはどうしたらよいのでしょうか?
いくつかのヒントをお伝えしたいと思います。ぜひ参考にしてみて下さい。

「善玉」「悪玉」という分類に踊らされず多様性を心がける

「善玉菌」の代表格として知られている乳酸菌ですが、大腸ではあまり働きません。また、虫歯を引き起こすミュータンス菌も乳酸菌の一種です。

逆に、「悪玉菌」と言われてきた細菌が、実はアレルギーや肥満などを抑える重要な働きを担っていることや、特定の1種類だけでは十分働かず、数種類が一緒になることで働くことなどがわかってきています。

ようするに、大切なことは「腸内にいる様々な細菌の“多様性”」であり、これらを実現する食生活を心がけることが重要です。

砂糖やパン類・加工食品の摂取を見直す

先述通り、糖類は腸内のカンジダ菌が増殖するための栄養源になります。また、小麦製品や白米といった精製食品や、ファストフード、出来合いの総菜などに多く含まれる糖類のせいで、カンジダ菌の異常増殖を招いている可能性もあります。

「パン酵母などの酵母(イースト)」のエサになる“イーストフード”にも注意が必要です。酵母はカンジダ菌と同じ真菌の仲間であることから、イーストフードがカンジダ菌の異常増殖を促進する恐れがあります。

近年、加工されたパンが非常に多く出回っており、手軽さやおいしさから、ついつい日常的に食しがちで、手放すことは大変かもしれません。しかしながら昨今、糖質コントロールやグルテンフリーといったことが浸透してきたおかげで、10年前に比べたら、美味しく健康的に食べられるものもずいぶんと増えてきました。ぜひこの機会に、見直してみて下さい。

食物繊維を意識して摂取する

食物繊維がなぜ大切かというと、私たちの体に不可欠な働きを持つ「短鎖脂肪酸」を産生してくれる腸内細菌のエサになるからです。逆に言えば、食物繊維を摂取することは、太りにくく・疲れにくく・炎症やアレルギーを起こしにくい健康な体を保つこととほぼイコールであるともいえます。

肉中心の食事や、ファストフード、揚げ物、菓子類、ソース類たっぷりの食事など、偏った食生活では、脂肪や糖を栄養とする腸内細菌ばかりが増え、食物繊維を栄養とする腸内細菌が思うように増えません。

食物繊維というと、生野菜のサラダだけが思い浮かびがちですが、玄米やキノコ類、海藻類、豆類、ナッツ類などにも含まれます。市販のものを買ったり、外食をしたりする時でも、食物繊維の量に気を配ると良いと思います。

乳酸菌を正しく理解する

乳酸菌と一口にいっても、その種類はたくさんあります。名前から乳酸菌源であると考えられがちな乳製品ですが、乳酸菌=乳製品ではないので、誤解しないようにしましょう。

また、乳製品には、特に日本人が分解しづらいタンパク質や糖が含まれているばかりか、糖類や、不要な人工甘味料・香料・油・着色料・保存料といった食品添加物が入っていることも多々あります。

こうした市販品の過剰摂取は、アレルギーを引き起こしたり、体内のミネラルバランスを崩したり、SIBO(小腸内細菌異常増殖症)を発症したりなど、数々の不調を引き起こすことがあります。

漬物や味噌などの発酵食品には、植物性の乳酸菌が豊富に含まれおり、腸に届きやすいと言われています。食物繊維も一緒に摂取できるのでお勧めです。また、腸内に生息する乳酸菌が増えるためのもの(乳酸菌生成物質など)を合わせて摂取すると、さらに効率的です。

洗剤や除菌剤などを多用しない

近年、様々な除菌・抗菌グッズが販売されていますが、新型コロナウィルスの流行もあり、ここ2年ほどで、それに拍車がかかりました。

私自身、大学病院の手術部の院内感染防止システムを構築する、という仕事をしていた経験から、その大切さはよくわかっています。しかしながら、“過度な除菌行為”は、日常生活で共存している菌をも排除してしまいます。生活環境を清潔にしすぎるあまり、腸内細菌叢にも大きな悪影響をもたらすといったリスクも、実は大きいのです。

腸の環境を正常に保つには、「腸内細菌叢の“多様性”を保つことが必要」なのであり、“過剰な清潔環境”というのは、その逆を行くものであることを忘れてはいけません。

以上、「腸内環境を改善するためにできることは?」というお話でした。

次回は、
「オメガ3やDHAが発達障害に良いと言われる理由は?」
をお送りする予定です。


《筆者》イデア高等學院 學院長 小宮けいさん

医療・建築・美容・製造業など他業種に携わる一方、17年にわたり、家庭教師や塾講師を経験。 指導者としての経験は、新人教育・セミナー講師も合わせ、30年になる。分子栄養学を主軸にした多角的なコンサルティングにより、発達障害・学習障害・不登校・うつ、その他症状を多数改善してきた実績を持つ。これまでに対応した相談件数は、5000件以上にものぼる。


「イデア高等學院」とは

イデア高等學院は、2021年4月に開校した通信制高校サポート校です。星槎国際高等学校と連携しながら、3年間で無理なく高校卒業を目指せます。イデア高等學院には、公認心理師・臨床心理士の資格を持つカウンセラーが在籍しており、SSTトレーニングや「WISCーⅣ知能検査」なども受けることも可能。食事と生活環境を変えることで症状を改善する取り組みも行っています。不登校や発達凸凹、発達障害、うつ病、起立性調整障害などで高校生活に不安を抱えている人でも安心して通えるサポート体制が整っています。

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