ひとり親でも安心!高卒認定試験費用の給付金が受けられる
ひとり親だとどうしても生活をしていて金銭的に厳しいことが多いですよね。高卒認定試験を受けて進学したいけれど、そんな余裕ないかも…と思っているあなた、実はサポートしてもらえる制度があるのです。今回はひとり親向けの給付金の紹介をします。
ひとり親家庭は世帯年収・進学率ともに低い
ひとり親の家庭になってしまうのにはさまざまな理由がありますが、近年は増加傾向にあります。平成27年度の厚生労働省の調査によると、この25年間で母子家庭は1.5倍、父子家庭は1.3倍になっています。ひとり親であることは特別なことではなくなってきていますが、それでもまだまだ世帯年収は低く、高校や大学の進学率も高くはありません。
児童のいる世帯のうちひとり親家庭の割合
昭和63年 | 平成6年 | 平成12年 | 平成18年 | 平成24年 | |
児童のいる世帯 | 1,634万 | 1,359万 | 1,316万 | 1,250万 | 1,209万 |
母子のみ世帯 | 55.4万 | 48.3万 | 58.7万 | 71.7万 | 82.1万 |
母子のみ世帯の割合 | 約3.4% | 約3.6% | 約4.5% | 約5.7% | 約6.8% |
父子のみ世帯 | 10万 | 8.4万 | 8万 | 10万 | 9.1万 |
父子のみ世帯の割合 | 約0.6% | 約0.6% | 約0.6% | 約0.8% | 約0.8% |
一般世帯に比べ母子家庭・父子家庭ともに就業率は高いものの、年収を見てみると低くなっています。実際は非正規雇用が多いことが原因になっていると考えられます。
母子家庭では、一般世帯の女性が非正規雇用率54.4%に対し、女性が世帯主にも関わらず57.0%と高くなっています。
また、世帯年収も、女性の平均給与所得が269万円に比べ、母子家庭の平均世帯年収は181万円になっています。
ひとり親家庭の就業状況
母子家庭 | 父子家庭 | 一般世帯 | ||
就業率 | 80.60% | 91.30% | 女性 64.4% 男性 81.6% | |
うち正規雇用 | 43.00% | 87.10% | 女性 45.6% 男性 80.1% | |
うち非正規雇用 | 57.00% | 12.90% | 女性 54.4% 男性 19.9% | |
平均年収 | 181万円 | 360万円 | 女性 269万円 男性 507万円 | |
うち正規雇用 | 270万円 | 426万円 | ||
うち非正規雇用 | 125万円 | 175万円 |
(平成27年度厚生労働省調べ「ひとり親家庭等の現状について」より)
生活保護受給率は、全世帯が3.22%に対し、母子家庭では14.4%、父子家庭では8.0%となっており、高い数値になっています。
また、子どもの高校進学率・大学進学率では、全世帯での高校進学率が通信制を除いても96.5%、大学進学率は通信制を除いても53.7%に達しているのに対し、ひとり親家庭では高校等進学率が93.9%、大学等進学率が23.9%と大幅に低くなっています。
ひとり親家庭の生活保護受給率・進学率
母子家庭 | 父子家庭 | 全世帯 | |
生活保護受給率 | 14.40% | 8.00% | 3.22% |
子どもの進学率 | 高校等:93.9% 大学等:23.9% (+専修学校等:41.7%) | 高校等(通信除く):96.5% 大学等(通信除く):53.7% (+専修学校等:70.7%) |
ひとり親家庭を対象に、高卒認定試験の費用が支給される
ひとり親家庭の厳しい現状を知ったところで、では高卒認定試験を受ける余裕がない場合は諦めなくてはいけないの?という疑問が出てきます。安心してください。高卒認定試験を受ける際には費用が支給される制度があります。ここでは具体的に説明していきましょう。
厚生労働省が行っている高等学校卒業程度認定試験合格支援事業では、ひとり親家庭でも正規雇用を中心とした安定した職業に就けるよう、高卒認定試験のための費用の一部を給付しています。
対象者
ひとり親家庭の親であって、次の要件の全てを満たす者。ただし、高校卒業者など大学入学資格を取得している者は対象としない。
- 児童扶養手当の支給を受けている又は同等の所得水準にあること。
- 就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場などから判断して高等学校卒業程度認定試験に合格することが適職に就くために必要と認められること。
対象講座
高等学校卒業程度認定試験の合格を目指す講座(通信制講座を含む。)とし、実施主体が適当と認めたもの。 ただし、高卒認定試験の試験科目の免除を受けるために高等学校に在籍して単位を修得する講座を受け、高等学校等就学支援金制度の支給対象となる場合は、本事業の対象としない。
支給内容
- 受講修了時給付金:受講費用の2割(上限10万円)
- 合格時給付金:受講費用の4割(受講修了時給付金と合わせて上限15万円)
※受講修了日から起算して2年以内に高卒認定試験に全科目合格した場合に支給
高卒認定試験にかかる費用の紹介
- 高卒認定試験の受験料:科目数により4500円~8500円
- 高卒認定試験対策用の予備校に通う場合:~50万円程度
- 科目履修制度を利用し通信制高校に通って高卒認定を取得する場合:~70万円程度
高卒認定試験について詳しくは「受験資格や受験科目、難易度など高卒認定試験を受ける前に知っておくべきこと」を参考にしてください。
科目履修制について詳しくは「最短で高卒資格を取得!科目履修制度とは?」を参考にしてください。
高等学校卒業程度認定試験合格支援事業とは、簡単に説明すると、高卒認定を取得するためのこれらの費用を、受講時に2割、合格時に4割給付してくれるという制度になります。
まとめ
ひとり親家庭では経済的に厳しい現実があります。高校や大学の進学率も低く、生活保護受給率が高いということがデータからも分かります。
そのようなひとり親家庭への支援として、厚生労働省の「高等学校卒業程度認定試験合格支援事業」があります。この制度では高卒認定試験を受験するための受講費用の一部が給付されます。このような制度を積極的に活用して、ひとり親家庭でも諦めずに将来へのステップアップをしていきましょう。
大学進学の奨学金について詳しくは「奨学金制度を利用して大学進学を目指そう!」を参考にしてください。