最終学歴・中卒からやり直したい!という時にやれること
高校に行かなかった人・高校に行ったけど途中で辞めてしまった人…そんな最終学歴「中卒」の人はどうしても不利な部分がでてきてしまいます。ここではそんな状況を打破したい!やり直したい!と思った時にどんな方法があるのかをご紹介します。
目次
「中卒」とはどのような状態をさすのか
まずは中卒とはどんな状態か、改めて確認してみましょう。
「中学校を卒業したあとどこにも進学していない」人だけでなく、「最後に卒業した学校が中学校である」人のことです。つまり、「高校に進学したけれど中退した」というのは、高校じたいは卒業していないので、最後に卒業した中学校が最終学歴になるということです。
さて、最終学歴が中卒であるデメリットとしては、
- 仕事の応募資格が得られにくい。
- 昇進しにくい
- 賃金が低め
→ 生涯賃金が高卒・大卒に比べて低めになってしまう。
また、
- 結婚などの人付き合いにおいても中卒がマイナスのイメージになってしまうことも考えられる
- 高校や大学などまで卒業した人に比べて教養・視野・人脈などが限定されてしまう可能性がある
では、そんな状態からやり直したいと思った時、どのような方法があるのでしょうか。
中卒からやり直すためにやれる方法
(1)高卒認定試験を受験する
高卒認定試験とは、もともと大検と呼ばれていたもので、正式には高等学校卒業程度認定試験といいます。さまざまな理由で高校に通うことができない人が、「高校には通っていないけど、高校卒業と同じ程度の学力があります」ということを認定してもらう試験です。
8月と11月、年に2回試験があり、各都道府県で受けることができます。受験資格としては受験する年度末までに満16歳となる人です。中卒の人はもちろん、高校に在籍中の人でも受けることができます。
科目は通常の高校と同じ必修科目を全教科合格する必要があります。一度で合格しなくとも、最終的に全科目が揃えば高卒と同等程度と認定してもらうことができます。英検などの資格を持っている場合は級によっては一部科目が免除になることもあります。また、高卒認定試験の科目に合格することで、学校の単位として認めてくれる定時制高校や通信制高校もあります。
この試験で「高卒と同程度の学力」と認定してもらえるため、専門学校や短大・大学などの受験資格を得ることができます。また、公務員の一部では高卒認定合格者は「高校卒業」程度の採用試験を受けることもできます。
<どういう人におすすめ?>
- 高校に通ったり勉強することが時間的・経済的・身体の事情などの様々な背景で難しい人
- 中学までの基礎学力がある人
受験資格や受験科目、難易度など高卒認定試験を受ける前に知っておくべきこと
(2)通信制高校に入学する
通信制高校とは、全日制高校とは違い、毎日学校に通う必要のない高校のことです。
基本的にはレポートと呼ばれる各教科の課題や教科書で自学自習をしていくことが高校卒業のためのふだんの勉強の方法になります。それに加えて、年に何日かの授業や行事の出席(スクーリング)、単位認定のための試験などで高校卒業に必要な単位を取得していき、高校卒業を目指すしくみです。
完全に自宅で自分で勉強するスタイルから、週に何日か学校に通ってサポートをしてもらうものなどさまざななスタイルがあり、自分で選択できます。中学校を卒業した人はもちろん、高校在学中で転校したい人、中退した人なども年間を通じて入学ができるのが通信制高校の特徴です。
入学試験は基本的には面接や作文などのみでどんな人でも学ぶチャンスがあります。学費は比較的安価で、時間の融通も利きやすいため、仕事やアルバイトをしながら通うこともできます。その他、高校生活以外のことに時間を割きたい人、自分のペースで無理なく勉強したい人にも合っています。
<どういう人におすすめ?>
- 現在高校在学中で辞めたいと思ってる人
- 学校には所属したいが、あまり時間を取られたくない人
- 時間や場所に縛られたくない人
(3)中卒で取得可能な国家資格を取る
中卒では仕事を探す上でも求人数がまず少なく、苦労をしたり、就職後も昇進などで不利益を受けることがあります。高卒や大卒の人よりも待遇は良くなりにくいのが現実です。しかし、学歴の関係ない国家資格を取得してしまえば、中卒ということに関係なく各分野で専門的な仕事をしたり活躍することができます。
中卒で取得できる国家資格としては、宅建(宅地建物取引士)、調理師、国内旅行業務取扱管理者、税理士、行政書士、介護福祉士、准看護師などがありますが、実際には受験資格があるだけといったほうが近いかもしれません。上記の資格に実際に合格することを考えると、資格取得専門の専門学校に通ったり、大卒の人であっても難しいものもあります。
<どういう人におすすめ?>
- もともと勉強自体は好きで、さまざまな理由で学校に行けない時期があったとしても、自分で勉強することは得意な人
(4)中卒でも受けられる公務員試験を受ける
安定した職種として人気の公務員になるためには公務員試験を受けて合格する必要があります。しかし、この公務員試験は学歴による受験資格を設けておらず、中卒でも受験は可能です(ただし、年齢による制限はあり)。
中卒でも受けられる公務員試験は、市役所などの事務職、警察官、消防官、自衛隊員などです。
公務員試験の難易度自体は決して低いわけではありませんが、中卒という経歴から大きく飛躍できるチャンスです。
<どういう人におすすめ?>
- 安定した仕事につきたい人
- 社会貢献したい人
- (警察官・消防官・自衛隊員など)体力に自信がある人
(5)その他
その他、海外留学をしたり、フリースクールに行く、家業を継いだり、起業して独立するなどの方法もあります。
<どういう人におすすめ?>
- 海外留学:英語が好きで、ある程度の語学力や行動力がある人、経済的に余裕のある人
- フリースクール:高校卒業の資格にはこだわらず、経済的にある程度余裕のある人
- 家業:実家が自営業で、すぐに継げそう・手伝いながら仕事を覚えることができそうな職種の場合
- 起業:ビジネスや社会に興味を持っていて強い意志と行動力がある人、資金のある人
よくある質問
Q. 高卒認定試験に合格すると、最終学歴が高卒になるのですか?
A. 高卒認定試験に合格しても、学歴「高卒」となるものではありません。「高卒」と「同程度の学力」ということを認定してもらえるので、民間企業などの高卒向け求人に採用されるかどうかは会社次第といったところです。が、高卒認定試験に合格して、その後進学をする場合には高卒の人とは何も変わらない条件で受験が可能です。
例えば、中学を卒業して高校に行かず、高卒認定試験に合格して、大学に合格。その後大学を無事卒業すれば、高校に行っていなくても「大卒」です。
Q. 高卒認定試験の内容は?
A. 基本的には高校の検定教科書の内容から出題されます。基礎的な問題が多く、教科書以上のことは問われません。
Q. 高卒認定試験は1科目でも落ちるとダメなんですか??
A. 最終的には全科目に合格している必要がありますが、一度で全科目に合格しなくても大丈夫です。
例えば今回は数学だけ落ちてしまっても、次回の試験日に数学だけリベンジして受験して、合格すれば大丈夫です。全科目が認定されるまで何度でも頑張りましょう。
Q. 通信制高校ではスクーリングには必ず行かなければいけませんか?
A. はい。通信制高校では普段の勉強が自学自習であるため、その分最低限年に何回かは正式な授業(スクーリング)を行いますので、その出席が必ず必要になります。これは文部科学省が定めています。
ただ、そのスクーリングの形態はその高校によって様々ですし、高校の中でも選べることもあります。宿泊型で遠方に合宿に行くような形から、日帰りで地元で行われる課外学習に参加する形、講義を受ける形などがあります。
スクーリングの形態は一人一人の事情や背景によって合う合わないがあります。集団で過ごすのが苦手な人には合宿型は厳しいと思いますし、全国の生徒と仲良くなりたい人には地元で少人数で行うスクーリングはあまり面白くないかもしれません。通信制高校を選ぶ時には特にスクーリングの実施について詳細を調べたり、学校見学に行って直接聞いてみた上で、自分に一番合う方法をとっている高校を選ぶことをおすすめします。
Q. 通信制高校の卒業証書には通信制と書かれるのですか??
A. いいえ。通信制高校の卒業証書も、全日制と全く同じものです。
基本的には通信制という表記はなく、学科名(普通科、商業科など)のみになります。履歴書などにも通信制か、定時制か、全日制かということは記入する必要はありません。
Q. 通信制高校はちゃんとした学校ですか?
A. はい。全日制や定時制と同じ「高等学校」です。通信制の場合には、学校法人だけでなく、企業が母体となって運営している高校もあります。
まとめ
- 中卒というのは最終学歴が中学校卒業である人。高校中退も含まれます。
- 中卒では求人が極端に少ないため職業選択の幅は狭く、待遇などの現実的なことを考えても厳しい状況だと考えられます。
- 中卒でやり直すための方法としてメジャーなものは「高卒認定」「通信制高校」「資格取得」など。
- 高卒認定試験は文部科学省が定める高校の必修科目の試験に合格することで、「高校卒業と同程度の学力がある」と認定してもらうことができます。
- 通信制高校は時間や場所に縛られず、自学自習を主として高校卒業ができる高校のこと。
- 中卒で受けられる国家資格も複数あるものの、どれも勉強がかなり好きなタイプでないと厳しいと思われます。
- その他、海外留学などの道もあるが、それぞれかなり向き不向きがあるので自分に合った道を見極める必要があります。