学び直しができる高校、大阪府の「エンパワメントスクール」とは?

高校中退率が全国ワースト1位の大阪府が新たに行っている府立高校への取組みが「エンパワメントスクール」の開校です。「生徒の力を引き出す学校」という意味ですが、どんな高校なのでしょうか?それぞれの高校の特長と競争率も見て行きましょう。

学び直しができる高校、大阪府の「エンパワメントスクール」とは?

「生徒の力を引き出す」府立高校、エンパワメントスクールの仕組み

大阪府が府立高校に対して2015年度より行っている取組みが「エンパワメントスクール」の開校です。エンパワメントスクールとは「生徒の力を引き出す学校」という意味で、2016年現在、箕面東高校、長吉高校、西成高校、成城高校、岬高校の5校が指定されています。また、2018年度には布施北高校が新たに開校します。さらに2020年度までに10校程度に拡大する計画になっています。

「エンパワメントスクール」では基本的に、小学校レベルの学習から学び直しを行うカリキュラムを実施しています。集中力が続くよう、授業は1時限30分、英国数の主要3教科は15人程度の習熟度別授業、その他タブレットや電子黒板を活用した映像授業を取り入れ、効率的に学習ができる体制を整えています。その他、グループ学習や参加型体験学習で、忍耐⼒や互いを思いやる気持ちなど⼈間関係⼒を育成しています。

最終的には、卒業までに社会⼈として必要な「基礎学⼒」「考える⼒」「⽣き抜く⼒」をすべての⽣徒に⾝につけさせることを目標としています。

高校生の中退率が全国ワースト1の大阪府が抱える課題

大阪府が「高校生の学び直し」に力を入れる理由には、高校生の中退率が全国ワースト1位という背景があります。

府立高校(全日制課程)の中途退学者数の推移

  2013年 2014年 2015年
大阪府 中途退学者(人) 1960 1795 1741
中途退学率(%) 1.7 1.5 1.5
全国 中途退学率(%) 1.0 0.9 0.8

「授業内容を理解する前に、どんどん進んでしまうのでついて行けない」
「先生が一方的にしゃべるばかりで、⿊板写すだけの授業は楽しくない」
「学校へ⾏く意味がわからない」

このような高校生の不満を解消し、勉強のつまづきをきっかけに高校を中退してしまう、といった流れを断ち切り、中退者や不登校生徒を減らすことを目的としています。

大阪府は以前にも、二部制、三部制の単位制高校「クリエイティブスクール」を開校し、生徒の多様なニーズに応える取組みを行ってきましたが、現在は「エンパワメントスクール」に移行する流れを進めています。

通信制高校も「学び直し」に力を入れている高校のひとつです。通信制高校の多くは単位制なので、留年がなく、不登校経験者や高校中退者を多く受け入れています。さらに、入学時には学力考査(試験)も内申書の提出も不要な通信制高校もありますので、勉強に自信がない人は選択肢に入れても良いかもしれません。

おすすめの通信制高校一覧

大阪府のエンパワメントスクール一覧

大阪府のエンパワメントスクールをご紹介!

箕面東高等学校

1973年開校。2007年クリエイティブスクールに指定され、2015年からはエンパワメントスクールに改編した全日制・総合学科の高校。

朝は、授業の前に書き取りやプリントなどの「朝学習」を行い、授業効率を高めるところからスタート。1・2・3時限は、1コマ30分で英語・国語・数学を基礎から学ぶ反復授業を行います。

社会で生き抜く力を身につけるため、企業でのインターンシップも取り入れています。

■学校所在地:大阪府箕面市粟生外院5丁目4番63号
■最寄り駅:大阪モノレール「千里中央」駅、阪急千里線「北千里」駅、阪急箕面線「箕面」、阪急宝塚線「石橋」駅、JR「茨木」駅
■競争率:平成29年度1.21倍

長吉高校

1975年開校、2001年に大阪府立高校で初の全日制・普通科・単位制高校に改編。2015年度よりエンパワメントスクールに改編。

他の「エンパワメントスクール」同様、「朝学習」や主要3科目の1コマ30分の反復授業を取り入れています。

中国帰国・外国人選抜を実施しており、「多文化共生」をテーマに、タイ語やスペイン語教育、国際交流教室、諸外国の文化を体験するイベントなど、様々な取り組みを行っています。

■学校所在地:大阪府大阪市平野区長吉長原西3丁目11番33号
■最寄り駅:大阪市営地下鉄谷町線「長原」駅、「出戸」駅
■競争率:平成29年度1.05倍

西成高校

1974年開校。当初は全日制普通科高校でしたが、2003年度より普通科総合選択制に改編。「エンパワメントスクール」として「朝学習」や主要3科目の1コマ30分の反復授業を取り入れています。

「普通科総合選択制」では、選択できる授業は約60科目あり、通常の総合学科より選択の幅が大きくなっているのが特徴です。「総合科目」として「人文理数」「保育教育」「スポーツ健康」「福祉人間」「ITキャリア」「造形表現」の6つの分野の学習を行っています。

■学校所在地:大阪市西成区津守1-13-10
■最寄り駅:南海電気鉄道高野線「津守」駅
■競争率:平成29年度1.02倍

成城高校

1959年成城工業高校として開校。2005年多部制単位制総合学科の成城高校に改編。2016年度より全日制総合学科のエンパワメントスクールに改編。

総合学科として「数理・人文」「科学・芸術」「商業実務」「電気情報」「ものづくり」の5分野の学習を用意しています。「数理・人文」では、大学進学に対応した授業を行い、その他の分野では将来の仕事に役立つ資格取得に力を入れています。

■学校所在地:大阪市城東区諏訪3-11-41
■最寄り駅:地下鉄中央線「深江橋」駅、JR学研都市線・おおさか東線「放出」駅、JRおおさか東線「高井田中央」駅
■競争率:平成29年度1.66倍

岬高校

1979年開校。何度かのコース改編を経て、2016年度よりエンパワメントスクールに改編した全日制普通科 (1年は総合学科)高校。

総合学科として「海洋」「情報」「福祉・保育・スポーツ」「英語」の4分野を用意。全国でも珍しい「海洋」分野では、学校近くにある府立海洋センターと連携しも海浜生物の採取と観察やフグやワカメの養殖などを行い、「ふぐ取扱登録者」の資格取得を目指します。将来は食品業界や外食産業、水産養殖業への就職を期待しています。

■学校所在地:大阪府泉南郡岬町淡輪3246
■最寄り駅:南海本線「みさき公園」駅
■競争率:平成29年度1.07倍

布施北高校

1978年開校。2017年度よりエンパワメントスクールに改編した全日制高校で「普通科」と「デュアル総合科」があります。

1年生の間は、通常の1・2時間目の時間に「学び直し」を目的とし、国語・数学・英語の3教科を毎朝30分ずつ毎日勉強します。毎日の授業を通して、学習習慣を身につけるところからスタートします。インタンーシップや職業体験を1年次から行い、仕事や社会への理解を深めて行きます。学習カリキュラムは3系列で「モノづくり・ビジネス系列」「教育・福祉系列」「多文化・教養系列」があります。

■学校所在地:大阪府東大阪市荒本西1丁目2番72号
■最寄り駅:近鉄けいはんな線「荒本」駅、近鉄奈良線「若江岩田」駅
■競争率:平成29年度1.15倍

淀川清流高校

2018年4月に大阪府立北淀高等学校と大阪府立西淀川高等学校を統合し、エンパワメントスクールとして誕生。

「情報・アート」「ビジネス・教養」「環境・健康」「数理・人文」という4つの分野を学習することができ、生徒に個性や適性に合わせた授業を行っています。ユネスコスクールにも指定されており、外部講師の指導によるグループワークや外国人留学生との交流会等を実施。グローカル(グローバル+ローカルの造語)な人材の育成に力を入れています。

また、プロ仕様の画像編集ソフトを用いて地域の商店等と協働で広告を作成するなど、社会で即戦力となる生徒を育成するキャリア教育を実施しているのも特徴です。

■学校所在地:大阪府大阪市東淀川区豊里2丁目11‐35
■最寄り駅:阪急京都線「上新庄」駅、大阪メトロ「だいどう豊里」駅
■競争率:令和3年度 0.96倍

和泉総合高校

1963年大阪府立和泉工業高等学校として開校。2018年4月、エンパワメントスクールに改編。

工業系の進路実現をめざす「ものづくり」、保育、介護などの専門分野を学ぶ「くらしと保育」、社会人として必要な基礎学力と教養を身につける「ステップアップ」の3分野について学べます。新設された「アクティブラーニングルーム」では、タブレットPCなどICT機器を活用した授業を積極的に実施。2年次にはインターンシップによる就業体験を通して職業観や勤労観を育成し、社会で活躍するためのキャリアデザイン力やライフプランニング力を身に付けます。

■学校所在地:大阪府和泉市富秋町1丁目14-4
■最寄り駅:JR阪和線「信太山」駅、南海本線「北助松」駅
■競争率:令和3年度 0.98倍

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