都立高校の新たな取組み「エンカレッジスクール」とは?

都立高校の新しい取組みとして2003年度から始まった「エンカレッジスクール」。「エンカレッジスクール」には入試も定期試験もありません。社会生活を送るために必要な基礎学力を身につけさせる点に重点をおいた、新しい都立高校です。

都立高校の新たな取組み「エンカレッジスクール」とは?

試験なしで入れる都立高校・エンカレッジスクールの仕組み

エンカレッジ(encourage)とは「勇気づける・励ます」という意味で、東京都の新しい取組みとして2003年度からスタートしました。これまでの学校の学びのスタイルでは力を発揮できない・うまく行かない生徒のやる気を育て、社会生活を送る上で必要な基礎学力を身に付けさせることを目的として運営されている、全日制・学年制・普通科(専門学科)の高校です。

2021年現在、都立足立東高校、秋留台高校、練馬工業高校、蒲田高校、東村山高校、中野工業高校の6校があります。入試の際に学力判定の試験はなく、調査書や面接、小論文、実技などで考査を行います。また、中間や期末などの定期試験もありません(東村山高校を除く)。

東京都の教育委員会が発表しているエンカレッジスクールの特徴は、

  • 国、数、英を中心とした、30分授業
  • ひとり一人に目が届くよう1クラスを2人の担任が指導
  • レベル別習少人数授業
  • 豊富な体験学習や選択授業
  • 生活指導の徹底

となっています。

小学校・中学校では能力をなかなか発揮出来なかった生徒のやる気を育て、励まし、応援しながら、学校生活を充実させるための高校です。発達障害や学習障害があり特別な配慮が必要な生徒の学び直しにも力を入れています。

「エンカレッジスクール」以外にも、東京都には不登校生や高校中退者を積極的に受け入れている定時制・単位制の高校「チャレンジスクール」もあります。

不登校生のための都立高校「チャレンジスクール」とは?

エンカレッジスクールのメリット・デメリット

エンカレッジスクールのメリット

先で説明した通り、エンカレッジスクールに入試はありません。学力に不安があり、ゆっくりとしたペースで勉強したい、という生徒にはぴったりの学校です。また、進路指導(キャリアガイダンス)や資格取得に力を入れているエンカレッジスクールもあります。こうした様々な工夫により、中学校時代と比べ、充実した高校生活を送れるようになった生徒がたくさんいます。

エンカレッジスクールのデメリット

学力に不安がある生徒のやる気を起こさせるための高校ではありますが、残念ながら退学したり、通信制高校などへの転校を選ばれる生徒も少なくありません。エンカレッジスクールは全日制高校である以上、単位を修得したり3年間で卒業するための条件に必ず出席日数の規定が含まれています。

小学校・中学校時代に不登校を経験し、「通学」そのものに不安がある生徒だと、いきなり毎日通学することに抵抗を感じてしまうケースもあるようです。その点、通信制高校は「自学自習」を基本としているので、出席日数の規定はありません。「通学」に自信がない人は通信制高校も選択肢に入れてみると良いでしょう。

山手線沿線にある通信制高校・サポート校
中央線(快速)沿線にある通信制高校・サポート校
総武線(各停)沿線にある通信制高校・サポート校
おすすめの通信制高校一覧

東京都のエンカレッジスクール一覧

東京都のエンカレッジスクールは?

足立東高等学校

普通科(全日制)高校。2003年4月より都立高校初のエンカレッジスクール。
30分授業や少人数制、週2回体験学習を導入しているほか、資格取得にも力を入れています(英語検定、漢字検定、情報処理検定など)。
江戸川大学、和洋女子大学、城西国際大学などに指定校推薦枠もあるほか、大学・短大・専門学校に進学する生徒も多数います。エイチ・アイ・エス、三越伊勢丹、第一ホテルなど、大手企業への就職実積もあります。

■学校所在地:東京都足立区大谷田2-3-5
■最寄り駅:JR常磐線亀有駅

蒲田高等学校

開校は1977年、2007年4月からエンカレッジスクールになった普通科(全日制)高校。1年生からスピードミントンなどの生涯スポーツ、茶道などの伝統文化、農業・園芸、手話などの福祉ボランティア等、特色のあるさまざまな体験授業を週2時間実施。頭髪や服装指導を守らせ、規律ある学校作りを目指しています。大田区や蒲田警察と連携し、清掃ボランティアなど地域に根ざした活動も行っています。
日本大学、東洋大学、立正大学など四年制大学に進学する生徒もいます。羽田空港に近い高校らしく、空港関係の会社への就職実積が多数あります。

■学校所在地:東京都大田区蒲田本町 1-1-30
■最寄り駅:JR蒲田駅・京急蒲田駅

練馬工業高等学校

1963年創立の専門学科(キャリア技術科)・全日制の高校。2006年より東京都の工業高校で唯一のエンカレッジスクールに指定されました。将来の仕事に役立つ「資格取得」に力を入れており、1学年では「計算技術検定4級」「日本語ワープロ検定3級または4級」、2学年では「基礎製図検定」 「情報技術検定3級」の検定受験が必須になっています。
2015年度卒業生のうち、約70%が就職。建設業・製造業を中心に、幅広い業界で活躍しています。

■学校所在地:東京都練馬区早宮2-9-18
■最寄り駅:東京メトロ有楽町線・大江戸線平和台駅

秋留台高等学校

1977年開校、2003年度よりエンカレッジスクールに指定された普通科(全日制)高校。国語、数学、英語は小中学校の基礎からまでさかのぼって指導しています。学習プリントを使い、一人ひとりのスピードにあわせ、1クラスに3人の教員がついて個別指導を行っています。
インターンシップを中心とした就労支援体制を充実させており、2014年には「キャリア教育優良学校」として文部科学大臣賞を受賞しています。地域の中学校からの評価も高く、推薦選抜での応募倍率は2016年度(平成28年度)で3.00倍(男性3.32, 女性2.64)と非常に人気もあります。
厚生労働省が支援する地域若者サポートステーション(たちかわサポートステーション)と連携し、卒業時点で進路や進学が決まらない生徒に対するフォローも行なっています。

■学校所在地:東京都あきる野市平沢153-4
■最寄り駅:JR五日市線東秋留駅

地域若者サポートステーションとは

東村山高等学校

1968年開校の普通科(全日制)高校。2009年、東京都で第5校目のエンカレッジスクールに指定され、2010年度から、新たに進学応援型エンカレッジスクールとしてスタート。一般受験で大学合格を目指す「特別進学クラス」を設け、毎朝10分間の朝学習を実施するなど、進路実現に向けて力をつけるための取り組みを行っています。エンカレッジスクールの中では唯一定期試験があります。部活動も活発で、陸上競技部、女子バレー部などが都の大会で上位入賞を果たしています。
中央大学・日本大学・東洋大学・駒澤大学・横浜薬科大学など、多数の指定校推薦枠があります。

■学校所在地:東京都東村山市恩多町4-26-1
■最寄り駅:西武線東村山駅

中野工業高校

平成30年度からエンカレッジスクール指定校として生まれ変わった中野工業高校。2学年進級時に、自分の積み重ねた成績や希望、適性を考えてそれぞれ専門的に学習する類型を決定。さまざまな資格取得のための講座や会社見学、インターンシップなども積極的に行っており、就職内定率は100%を誇ります。
ものつくり大学、駿河台大学などの4年制大学や、二葉栄養専門学校、東京自動車大学校、東洋美術学校といった各分野の専門学校に進学する生徒もいます。

■学校所在地:東京都中野区野方3-5-5
■最寄り駅:西武新宿線「野方」駅より徒歩7分

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